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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

あんずの花の種類の多さに驚愕。千曲市森、あんずの里は満開。今週末見頃です(妻女山里山通信)

2015-04-07 | アウトドア・ネイチャーフォト
 昨年(2014年)より一週間も早く満開になってしまった千曲市森のあんずなんですが、その後の花冷えでなんとか持ちこたえているようです。花ちらしの豪雨や突風がなければ、なんとか今週末まで持つでしょう。やっとテレビのニュースでも紹介されたので、観光客も増えたようです。今年はずっと花曇りか小雨模様なので、写真の抜けが悪いですが、それも一興。趣があるのです。しかし、日曜は晴れるようです。混むでしょうね。あんずの里の見方? それは、とにかく歩くことです。山の上から集落の中まで。とにかく歩くことです。感性のアンテナをマックスにしておけば、必ず素敵な出合いがあります。それはあなた次第。あんずの里マップは、観光会館(案内所)などでもらえます。

 特に今や希少となった在来種は、山際や集落の民家の庭や畑にあることが多いのです。樹高があるので分かります。最初のカットは、あんず畑の最上部です。熊出没注意の看板さえある所です。この最上部までは、あまり観光客も来ません。静かに観賞や撮影ができます。

 禅透院の在来種のあんずとサンシュユの黄色い花。鐘楼の赤い欄干と松の緑との色合いが美しく、縦に延びた杉の幹の直線と共に面白い構図を作り出しています。

 あんず畑の道を歩いて、あんずの里スケッチパークを訪ねました。旧家の門構えを修復して、昔のあんずの里の原風景を再現しています。写真の左のあんずは、在来種が多く植えられています。右は、現在栽培されている品種の見本園です。その幾つかを紹介します。

「楊貴妃」原産地は中国。かなり甘いあんずでジューシーな様です。楊貴妃は若さと美貌を保つために、全身に杏仁油を塗っていましたが、杏仁にはシアン化合物が含まれているんです。現在はそれを取り除く技術があるそうですが、楊貴妃の頃はどうしていたのでしょう。シアン化合物は青酸に変化しますから身体に毒です。保湿抗菌清浄作用があるそうなので果実を食べるだけでなく杏仁油も利用したのでしょうが、楊貴妃からはいつも杏仁の香りがしたのでしょうね。楊貴妃の体臭は杏仁豆腐の香りだったのでしょうか…。
「信州大実」名前の通り身が大きく酸味が少なく生食用に向いています。有名な品種です。
「稲玉丸」古くから栽培されている、干し杏に適している小粒で酸味の強い品種です。干しあんずはつまみにもなります。あんずおこわも美味。

 在来種。ピンク色の筋が美しい品種で、種名は不明ですが、このあんずの木は毎年撮影に行きます。
「平和」主な品種のひとつで、花も美しく生食でも加工しても美味しいので、よく栽培されている品種。栽培にも手がかからないようです・
「フェルプス」有名なハーコットを生み出したアメリカ生まれの品種。

「ハーコット」カナダ生まれ。酸味が少なく大実で生食すると美味しいあんず。在京時代に森の伯父がいつもこれと、酸味の強い在来種あんずの組み合わせを送ってくれました。生食用では、これが一番人気ですかね。花も美しい。
「小笠原」青森県産。やはり赤い筋が美しい花。果実の味は分かりません。
「紅浅間」信州の小諸産。平和の自然交雑実生だそうです。果実が紅色なのが特徴。酸味と甘味がマッチした果肉ということです。この紅いあんずは食べたことがありますね。
 まあ、こんな感じであんずと一口に言っても、花の色も違うし、味も異なるのです。それぞれの用途があるということですね。昨年も紹介しましたが、まだまだ色々な種類があるんです。あんずの里の森だけでなく、倉科や松城の東条も有名ですが、松代藩の地域にはどこにもあんずの木があります。我が家にも大木がありました。残念ながら伐採してしまいましたが。それでも窓からは他の家のあんずの木が何本も見えます。今年は、梅とあんずと桜が少ない時間差で同時に咲いています。梅雨明け頃の果実が熟れる頃には、道路に落下したあんずの実が匂って、凄いんです。
 スケッチパークの方と話したら、干しあんずは梅雨時に天日干しするので、大実は向いていないということです。それに、干しあんずは酸味があった方が美味しく感じます。干しあんずでおこわも美味しいです。他にはシロップ漬け、焼酎漬け、紫蘇巻きあんず、杏ジャムなど。現在の杏仁豆腐は、アーモンドエッセンスですけどね。本来は薬用なので。かなり成分が強いので、あんずの種の使用には注意が必要です。前記の様に毒成分もありますし。
 自分で作るならあんずタルトなんかがお勧めですが、アマレットを使うといいですね。ラム酒もいいです。未熟果を果実酒漬けにしたものは、大好きなんですが、残留農薬の問題があるので商品化はされていません。個人が作ったものが少量売られています。在来種の農薬無散布かを確かめて買ってください。

 観龍寺の、これはあんずではなく桜です。妻女山の桜も週末は満開でしょう。真ん中は興正寺山門の枝垂れ桜。そして諏訪立川流の天才和四郎富昌作の「子持ち竜」。

 森のあんずの里の観光コースから外れた岡地地区の天満宮。枝垂れ桜とあんず、紅梅が満開でした。そして、幻の善光寺五重塔建立のための試作品とされる名工・立川和四郎富棟作の「惣金厨子」。結局、善光寺五重塔は、江戸幕府の許可が降りずに建てられることはありませんでした。枝垂れ桜越しに見る戸神山脈。

 興正寺の上から俯瞰したあんずの里。レンギョウ、ユキヤナギも満開です。里の庭では白木蓮も開いていました。あんずの花の下では、菜の花やカキドウシ、ホトケノザ、スイセンが咲いています。稲荷の大ケヤキの下ではトウダイグサが満開でした。信州の短い春は、気ぜわしく過ぎていきます。

 なんと、今朝は雪模様です。あんずの花と雪。椿と雪。なんともシュールな組み合わせです。

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