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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

復活した小森ナスで作る信州郷土料理、丸茄子のおやき(妻女山里山通信)

2023-07-19 | 男の料理・グルメ
 善光寺平には伝統野菜の丸ナスがいくつかあります。小森茄子、川中島茄子、小布施茄子など沖積地に最も適した果肉が厚くて密度の高い、焼いても、煮ても、蒸かしても良しと何をしても美味しい茄子です。我が家は父が小森ナスを作っていたのですが、苗を作る人が高齢で止めてしまい、長いこと栽培されませんでした。それが近年伝統野菜を復活させようと、有志が栽培を始めたのです。

 写真は2004年8月、父が栽培していた小森ナスです。艶があってヘタの部分に鋭い棘があります。

 畑の様子。かなり大きな株になるので支柱を立てて、ナスが非常に重いので、時には枝を吊ります。 

 今回JAのスーパーの産直売り場で見つけた小森ナス。2個で税込み205円とリーズナブル。大きいのは直径が12センチあり、2個でなんと750グラムあります。

 生地は友人が作った幻の小麦粉、伊賀筑後オレゴン。通称いがちくです。純白ではなくやや灰色味がかっています。味噌は仲間と手作りの糀味噌。唐辛子は、焼いた青唐辛子をみじん切りにして、麹と醤油で漬け込んだものを使いました。ゴマ油でときます。紫蘇の葉で挟むのが我が家流ですが、今回は青紫蘇と赤紫蘇を使いました。

 出来上がりです。9個できました。シーズン初めなのでなんかとっちらかっています。材料すべてが市販のおやきとはまったく違います。コクのある深みとか素材の旨さは、他では味わえません。

●丸茄子のおやき レシピ
■材料(20個分)
信州丸ナス・・・・・・・・5個
中力粉(地粉)・・・・・・600g
水・・・・・・・・・・・・360cc(今回は準強力粉なので6割に)
信州麹味噌・・・・・・・・100g
ゴマ油・・・・・・・・・・大さじ1
青紫蘇の葉の大きなもの・・40枚
青唐辛子・・・・・・・・・1本(好みで)
 粉と味噌はやや多めに作るのがミソ。足りないと面倒ですが、余っても色々な料理に使えますから。

■作り方
1. ボウルに小麦粉、水を入れ、やや柔らかめの耳たぶの柔らかさに練る。
  濡れ布巾をかぶせて1時間以上ねかす。
2. 別のボウルに麹味噌、ゴマ油、好みで青唐辛子(焼いてみじん切り)をよく混ぜておく。
3. ナスを洗ってヘタを落とし、横に4等分の輪切りにする。輪切りにしたものに切れ込みを入れる。
4. 3の切れ目に2の合わせ味噌を、ナスの大きさに応じて小さじ1ほど挟む。
5. 手のひらに水をつけ、ねかしておいた小麦粉を適量手に取る。
6. ナスをのせ、周りから小麦粉をひっぱって包む。包んだら青紫蘇の葉ではさむ。
7. 大きめの蒸し器を火にかけ沸騰させておく。ナスをくっつかないように斜めに重ねていく。
8. 強火で20分ほど蒸して、箸がスッと入ればできあがり。

 2003年、次男が低学年の時に母さんに手伝ってもらって作った小森ナスのピザ。果肉がしっかりしているので、ピザにしても溶けてしまわず歯ごたえがあります。ピザ生地(pizza dough)も彼の手作りです。この頃彼は料理に興味を持って、自由研究でゴーヤチャンプルーを作ったりしていました。

 当時、父が送ってくれた小森ナスや夏野菜。伝統野菜は、化学肥料や農薬を嫌い、売り物にするには歩留まりが低くてなかなか育てるのが難しいのですが、味は大量生産のF1種などとは比べ物になりません。出始めの一番美味しい食べ方は蒸しナス。半分に切り、縦に1センチ幅に切れ込みを入れ蒸します。冷やして辛子醤油でいただくと最高です。アクが出てくる秋口のナスは、油で素揚げして生姜醤油でいただきます。ナスの辛子漬けもよく作りました。小森ナス、キュウリ、ボタンコショウ、ミョウガ、紫蘇の実、大根の味噌漬けなどをみじん切りにして作る郷土料理のやたら漬けも夏の定番です。息子達が育ち盛りの頃は、丸茄子のひき肉挟み揚げフライを妻がよく作ってくれました。
 在京時代、隣のブルーコメッツのジャッキー・吉川さんとは色々物々交換していたのですが、丸茄子も美味しいとすごく喜んでくれました。息子の友だちのお母さんにあげたところ、ナス嫌いの同級生が、お母さん僕このナスなら食べられると言ったと聞きました。もし、長野市や千曲市にいらしたらJAのスーパーや産直売り場で伝統野菜を探してみてください。

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