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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山里山デザイン・プロジェクトの除草作業。昼は絶品パエリアで。原因不明で激減した昆虫が気がかり。スケバハゴロモ(妻女山里山通信)

2023-07-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
 貝母(ばいも:編笠百合)の球根の移植作業以来の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業です。今回は除草がメインです。農作業で忙しいメンバーもいるので、今回は4人。梅雨明け間近で蒸し暑く、クロメマトイに纏わりつかれてなかなか厳しい作業です。まずは安全第一で。信州も梅雨明けしました。

 まず長坂峠の除草。ノイバラとススキ、帰化植物のヨウシュヤマゴボウを刈ります。オオムラサキの幼虫が食するエノキが何本かあるのですが、樹下と周囲が藪にならない様に除草します。藪にするとイノシシなどの隠れ場所になってしまいます。また、冬期に幼虫が落ち葉の下に潜り込んで春を待つのですが、藪になると不可能です。ここは、昭和40年ぐらいまでは谷の下まで桑畑や果樹園でした。このすぐ左に東風越えという旧道があります。江戸時代、千曲川が洪水のときには松代藩の大名行列が越えた峠でもあるのです。

 ヨウシュヤマゴボウはヤマグワで根っこ深くえぐり土を被せます。気温は24度ですが、すぐに喉が渇ききつい作業です。

 陣場平のインセクトホテル。制作者が観察していますが、一番活躍するのは冬です。成虫で越冬する昆虫のホテルになります。

 陣場平ではオオブタクサを探して抜き取ります。昨年と前回の作業で徹底的に抜いたので激減しましたが絶滅はしていません。里山保全は帰化植物との戦いでもあるのです。貝母の種はほとんどが弾け飛びました。来年4月の満開が楽しみです。

 作業は11時で終わり、Kさんのログハウスを借りて昼食。まず掃除をしました。今回は久しぶりにパエリア。アルゼンチン赤エビ、ムール貝、ホタテ、タコ、マジックソルトに漬けた鶏肉、紫タマネギ、スナップエンドウ、ピーマン、バジルが具です。なんか米がアルデンテ過ぎましたが、美味でした。岸田売国奴政権、ドリームモータース事件、長野市や須坂市、千曲市の再開発の現状やら、グルメ情報やら、パルセイロの話、私がアマゾン放浪で何度も死にかけた話と話題はつきません。下界は31度ですが、山上は24度。まったりした時が流れました。

 ログハウスの階段が腐っていたので修理してくれました。さすがプロです手際が良い。山仲間で友人だった持ち主が亡くなって10年。家族もほとんど訪れなくなったので、私は撮影のたびに訪れるようにしています。人の気配や臭いがなくなると野生動物がいついてしまうからです。

 2時半ごろお開きに。下界はまだ暑いので息子と拙書の扉にもなっている倉科の三滝に行きました。いやあ涼しいです。この夏は猛暑というので暑い日はここに来て椅子とテーブルと食べ物と本を持って来ようと思いました。たまにツキノワグマも出ますが。

 ナツアカネ(夏茜)かアキアカネ(秋茜)が出現しました。ナツアカネ(夏茜)だと真っ赤になります。ただ未成熟だとこんな色です。区別できる胸部の横の黒い帯がちゃんと確認できなかったので、確実な同定はできませんでした。高校時代は、赤とんぼで校庭の空が真っ赤になるほどでしたが、もうそんな光景は見られません。

 マドガ(窓蛾)。しっかり開張しても12-18ミリぐらいの小さな蛾。幼虫の食草はボタンヅル。

 ニイニイゼミかヒグラシの空蝉(うつせみ)、抜け殻です。全体に艶があって、触覚の4番目の節(せつ)が3番目より長いのでヒグラシ(日暮)ですね。夕方になると山の方から、「カナカナカナカナ‥」と哀調のある鳴き声が聞こえる様になりました。アブラゼミも見ましたが、全体にまだ数は少なめです。
「ひぐらしは 時にと鳴けども 片恋に たわや女(め)我は 時わかず泣く」 作者不詳 万葉集 巻10-1982
 (ひぐらしは時間を決めて鳴くけれど、片想いに悩んでいる弱い私は、いつも泣いています)


 樹液バーには何もいません。千曲市のネオニコチノイド系農薬の空中散布が中止されて全滅した昆虫が2年で復活し始めたのですが。ここ2、3年ほど昆虫が激減しています。原因は不明です。異常です。長野県、長野市、千曲市も私の様に定点観測をしていないので知らないはずです。梅雨明け後にまた続けて観察します。

 イチモンジチョウ(一文字蝶)。 幼虫はウツギ・スイカズラなどの葉を食べます。

 シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)。尾部の形からオスでしょう。オオムラサキのメスを一頭確認しました。少ないです。トンボは不退転の勝ち虫として戦国武将に好まれました。兜の前立てに使われましたが、有名なのは前田利家と本田忠勝、武田信玄の武将、板垣信方でしょう。

 ヤマハギ(山萩)が咲き始めました。花枝が長いのが特徴です。古名は、芽子、鹿鳴草など。古くから愛された花で、秋の七草。万葉集には142首詠まれています。鹿が男性の象徴で、芽子(萩)が女性の象徴とされたからでしょうか。鹿が萩の花の匂いを好むという説もあります。左下にアリが取り付いている何かの蛹が見えます。大きさから、おそらくツバメシジミかルリシジミだと思います。
「わが岡に さを鹿来鳴く 初萩の 花妻どひに来 鳴くさを鹿」大伴旅人 万葉集 巻8-1541
 (我が岡に牡鹿が来て鳴いている。萩の初花のような美しい妻を求めて牡鹿が鳴いています)


 載せ忘れたので追加します。除草前に息子のヤマグワに珍しい虫が。スケバハゴロモの幼虫です。カメムシ目でセミやカメムシの仲間です。桑が食草で、昔はこの辺りは桑畑で、現在も山桑があるので今の時期はけっこう見られます。飛んできたのではなく、綿毛のようなしっぽで風に乗ってヤマグワの柄に止まった様です。

 2012年8月に妻女山で撮影したスケバハゴロモの成虫です。成虫は翅が透明で儚く美しい。ほかには似ているベッコウハゴロモもいます。

 松代方面の眺め。帰郷して10年前ぐらいは妻女山でも親子連れでカブトムシや昆虫採取に来た人がいました。ここ数年はまったく見なくなりました。なぜだか分かりますか。親の世代が山遊びや川遊びをした経験がないのです。刃物や火を使った経験もない。キャンプブームとかアウトドアブームとかいわれますが、実態はこんなものです。自然は子供だろうと未経験者だろうと忖度はしません。里山、川、海、野原や湿地帯、観光地。どこだろうと正しい知識と経験がないと大怪我をするか最悪死にます。このブログや拙書ではなるべくそういう知恵やリテラシー(読解力)を記するようにしています。

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