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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

特別企画「土偶展」国宝土偶と中部高地の土偶。女性を崇めた縄文時代の人々(妻女山里山通信)

2019-12-03 | 歴史・地理・雑学
 長野県立歴史館開館25周年記念の特別企画「土偶展」に行きました。「国宝土偶」〜縄文文化の多様な個性〜は、10.26(土)から11.10(日)まで開催され大盛況でした。駐車場は満車で県外ナンバーも見られました。国宝の土偶が5体も見られるのですから当然でしょう。もし東京の国立博物館で開かれたら、入場まで1時間の行列になっていたかもしれません。今回は、11.23(土)から2.2(日)まで開催中の「中部高地の土偶」〜暮らしに寄り添う小さな女神〜を見に行きました。撮影可能だったので紹介します。

(左)入り口の右側の部屋で、国宝の土偶が展示されています。もちろんレプリカです。有名な「縄文のビーナス」。茅野市の棚畑遺跡出土で、縄文中期のものです。ハート型の顔と平らな頭部。こういう髪型だったのでしょうか。妊娠を示す腹部と大きな臀部。(右)これも有名な「遮光器土偶」。縄文時代晩期の作です。遮光器土偶といわれていますが、実際はなんなのか分かっていないようです。宇宙人説などもありました。色々な想像を掻き立てる土偶です。

(左)縄文時代後期の「仮面の女神)。これも腹部が丸く膨らんでいるので妊婦でしょうか。仮面はなにかの祭祀の再現でしょうか。呪術的なものを感じます。(右)土偶の移り変わり。 縄文文化は、今から約15000年前から始まり、約2300年前まで、12000年以上にわたって続きました。歴史人口学の研究者、鬼頭宏氏の推計によると、縄文時代の人口は、早期の2万人から中期には26万人にまで増えましたが、寒冷化により晩期には8万人にまで減少しました。寿命は30歳ぐらい。乳幼児の死亡率は、非常に高かったと思われます。
 そして弥生時代になると中国から越に滅ぼされた呉の人々が移住し、その後滅びた越の人々も来ました。稲作や鉄器の生産を伝えました。滅ぼされた国と滅ぼした国の邂逅。それが魏志倭人伝に残る奴国大乱なのかもしれません。その後、卑弥呼が国を平定します。さらにその後、秦の始皇帝を欺いて徐福を長とする古代ユダヤの一部族ともいわれる人たちが移り住み、ヤマト王権の祖となったともいわれています。

(左)「中部高地の土偶」。最も古い板状の土偶。国宝はありませんが、重要文化財のものも多数展示されています。(右)三角形の土偶。手や足の便化といいますがどうでしょう。アマゾンの先住民の女性が、性器に侵入してくるカンジルという小さなしかし危険な魚から身を守るために身に付けた焼き物の三角形のタンガと呼ばれるものがあるのですが、それによく似ています。そんな魚が日本にもいたのでしょうか。ちなみに現在はTバックの下着や水着のことをいいます。

 縄文時代中期の「バンザイ土偶」。富士見町坂上遺跡で重要文化財。土偶の体には模様が描かれていますが、縄文人は入れ墨をしていたのでしょうね。衣服にも同じ様な文様があったと想像できます。

(左)非常に特異な形をした「中空土偶」。非常に想像力と創造力豊かな土偶です。(右)弥生時代になって現れて「土偶形容器」。亡くなった人の骨を入れる容器とか。弥生人の流入によって、縄文文化は衰退していきました。他にもたくさん興味深い土偶が並んでいます。

 会場の長野県立歴史館。後ろは、屋代城跡のある一重山(旧小島山)。地元で一重山と呼んでいた山頂は、この右下にあります。国土地理院が三角点を置いて命名する山頂は、地元の呼称とずれることが度々あるのです。妻女山はそのいい例です。

 駐車場から見上げる「森将軍塚古墳」。東日本最大級の前方後円墳です。
森将軍塚古墳。大和系と出雲系が結ばれ古代科野国の祖となる(妻女山里山通信)

(左)記念に買った黒曜石のストラップと黒曜石の破片。(右)前期の国宝展で買ったカタログや手ぬぐい、ピンバッチなど。

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