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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

軽井沢ニュー・アート・ミュージアムへ草間彌生を観に。素晴らしい展覧会と美術館でした(妻女山里山通信)

2019-12-14 | 展覧会・イベント・コンサート
 金曜日に、軽井沢ニュー・アート・ミュージアムへ草間彌生を観に行きました。上信越自動車道が工事で車線規制なので下道で。国道18号を行き、途中で登って山際の浅間山ラインへ。浅間山ラインは眺めもいいし、雷電道の駅もあるのでおすすめですが、積雪期は避けましょう。アップダウンが激しいのです。スタッドレスを履いていても厳しいのです。

 11時20分ごろに着きました。2007年に商業施設として建てられたものを新たに美術館として内装のリニューアル工事を行いオープンしたできたてほやほやのミュージアムです。ガラスの外観。ピクトグラムが可愛い。私もキヤノンのマニュアルで、たくさんピクトグラムをデザインしたことがあります。それにしてもなんていう空の色。
軽井沢ニューアートミュージアムの公式サイト

(左)入り口。ガラス戸に頭をぶつけないように。(右)入ると奥まで書棚が続いています。アウトドアのコーナーも。拙書はありませんでしたが、持ってくればよかった。ソファーもあってゆっくり読書ができます。受付でパンフを頂いて一階のギャラリーへ。

(左)「A Book About Death」。マシュー・ローズ氏が世界のアーティストに呼びかけて集めたもの。(右)展示もマシュー・ローズ氏が行ったとか。キュレーターの女性が付きっきりで解説してくれました。感謝です。

(左)そこで教えていただいたオノ・ヨーコさんの作品。棺桶に植えられた樹木がたくさん並んでいます。カードの裏には本人のサインが。死ねば土に還ります。それを栄養にして育つ樹木。彼女は輪廻を表現したのでしょうか。(右)死がテーマということで、絶望感や戦争や犯罪をテーマにした作品が多いのですが、あえてそうではない作品を選んでみました。生き切った幸せな死というものもあっていいはずです。現在も鎮魂の日々ですが、ここ数年とても大切な人を失くしました。どんな偉い人も大金持ちであっても、死というものは極めて個人的なものです。

(左)人生というものは理不尽で残酷なものです。だからこそ生き切ることを考えて後悔しないようにと。昔、政財界や文化人の著名人が多数いるホスピスを取材したときに、もっと自分に正直に生きればよかったとか、やりたいことをやればよかったとかいう言質が多かったと。(右)死あれば生あり。「メメント・モリ」という藤原新也氏の本を思い出します。

(左)タントラの影響を感じます。ーーヒンドゥー教においては神妃(シヴァ神妃)になぞらえられる女性的力動の概念シャクティ(性力)の教義を説くシャークタ派の聖典群、仏教においては中世インドの主に8世紀以降に成立した後期密教聖典の通称であるーー(Wikipedia)。但し日本史に関してはWikiは捏造だらけです。(右)第二次世界大戦のときに若い米兵が持っていったピンナップ。戦争がもたらす精神崩壊。スターウォーズという一連のムービーは、単なるSF映画ではないのです。戦争により失われた愛や機能不全家族、PTSDが根底にあるのです。1977年公開。その後の「ロッキー」や「地獄の黙示録」などにも繋がっていくわけです。戦争は、それで巨額の富を得る極一部のものが企てるもので、99%の世界の人々は犠牲になるだけなのです。

(左)次にマシュー・ローズ氏の「週末計画」へ。(右)コラージュの作品がメインです。
 私も美大生時代に課題でフォトコラージュを作ったことがあります。下記のエッセイで観られます。
「村上春樹さんチョイスのバンドで「ピーター・キャット」ライブ演奏の熱い夜」国分寺・国立70sグラフィティ

(左)近づいてみると、モチーフがなにか分かったりして楽しい。(右)買おうかなとおもいましたが、かなりスノッブなTシャツですね。着てもいいのですが、面倒くさいやつと思われそう(笑)。でもいいと思います。

(左)FRAGILE EXCHANGE BOX(取り扱い注意の箱?)。観客参加型の作品。紙に好きなことを書いて入れます。入れたら好きな作品を一枚持ち帰れます。(右)「愛 と 無」が私の作品です。愛は自分の欲望に拘泥する愛ではなく慈愛に近いもの。無は無常。常ならず。諸行無常会者定離。なかなか興味深い作品が多数ありました。

(左)図書スペース。(右)その奥の庭にブライダルの作品。ここで結婚式を行うこともできるのだそうです。

(左)婁正綱(ろうせいこう)の作品。中国を代表する現代美術作家。(右)披露宴のテーブルセッティング。一見不思議な組み合わせですが、現代中国の歪を表しているのでしょうか。有料の二階にも展示があります。実際の披露宴もここで行われるのでしょう。

(左)小さな子供を連れてきても楽しい美術館だと思います。(右)草間彌生の「真夜中に咲く花」。
 二階は有料で1200円。基本撮影は禁止です。今井俊満の銀色と黒の海の絵はよかった。バックに伝統的な文様である青海波(せいがいは:発祥は古代ペルシャといわれる)が描かれていました。確かにイスラミックパターンを感じます。堂本尚郎の日本画と洋画の融合も素晴らしかった。草間彌生の絵は、印刷で観るとディテールや質感が分かりませんが、実際に間近で観ると、ひとつひとつ水玉を丁寧に描いていることが分かります。なので正円ではありません。凄い集中力と根気で描かれたものです。

 二階から一階を見下ろしたカットと庭を見下ろしたカット。二階はギャラリーがいくつもあってかなり広いです。気に入った作品は、何度も戻って鑑賞しました。

(左)婁正綱(ろうせいこう)の作品。(右)波や水しぶきがモチーフの作品で、ほとんどがモノクロですが、その奥行きの深さとダイナミックさは特筆に値します。現代の墨絵というべきでしょうか。感動しました。

 過去の展覧会の様子。床に絵の具をぶちまけている作品は迫力があります。作品の形態や展示方法も色々あり興味深い。

 屏風絵。見入ってしまいました。

 宇宙さえ感じるような墨絵です。スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」のあのシーンを思い出しました。

(左)スーベニアショップ。(右)今回買い求めたもの。まいにちオークションのカタログ。草間彌生が表紙のものと、アルフォンス・ミュシャが表紙のもの。それぞれ300円です。つつみ猫の布。草間彌生風の水玉のバッグがお洒落です。

 駐車場へ戻る道すがら。軽井沢は表通りだけでなく、こんな裏通りに入ることをおすすめします。標高1000mなので夏は避暑地ですが、冬は寒いところです。

 森のチャペル軽井沢礼拝堂。宇宙を感じるプルシアンブルーの空。
 軽井沢は美術館の宝庫です。次はマルセル・デュシャンの作品があるセゾン現代美術館や、草間彌生の作品もある軽井沢現代美術館にも行きたいですね。軽井沢絵本の森美術館、ペイネ美術館、ルヴァン美術館、田崎美術館、脇田美術館、軽井沢千住博美術館、軽井沢町歴史民俗資料館なども。

 遅いお昼は御代田町の名店「浅間 翁」へ。鴨ざるを頂きました。翁といえば知る人ぞ知る翁達磨グループ。美味しかったです。他の美術館にも行きたいのですが、残念ながら多くは冬季閉館です。セゾン美術館と軽井沢現代美術館には必ず行きます。
翁達磨グループ

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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