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建築を旅する

caixa forum

2011-06-24 15:50:33 | Weblog
四年ほど前、ユーロがめちゃくちゃ高かった頃、スペインに旅行に行った。

その時に、caixa forumって言う、ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計した建物をマドリッドで見た。


廃屋の様な建物をリフォームしたっぽい情報があったんだけど、出会いは強烈で、この体験は行かないと判らないなあと思った。
よく見ると、古い建物がジャッキアップされたように、浮いている。


そこで、実は、ヘルツォーク&ド・ムーロンの建築以外に、驚いたものがあった。


パトリックブランの垂直植栽の作品である。

ほとんど、というか、完全に建築の外装であって、自然の植栽の力というか、インパクトはすごかった。
パトリックブランは当時、既に金沢21世紀美術館で常設の作品を発表していたので、知ってはいたけれど、このスケール感は、口をあんぐりするしかないものであった。いやあ、驚いた。


最近、ガーデンの人と話す機会が増え、随分前のショーモン国際ガーデンフェスティバルにパトリックブランが出品しており、その作品でデビューしたという話を聞いた。

写真を見せてもらったけれど、めちゃめちゃかっこいい造形だった。
やや曲線を描いて競り上がった形は、船の様にも木の葉の様にも見える、エレガントな形をしていた。

小さい頃、水槽が好きで、その水槽の植物が水を浄化している事実から、色々と実験をしているうちに、今のスタイルに行き着いたらしい。
単なるデザインやアートというだけではなく、生態系をその場所に作って行く作業が素晴らしい。
環境に合わせて、植物を選定し照明、水分補給のシステムを組み、環境に適した生物が順応するところまでが作品となっているとのこと。

その辺りは、いわゆるビオトープやナチュラルガーデンなんかの思想と同じだろう。


それが垂直になっただけなのに、そのことで、都市空間のあらゆる場所が植物の生息環境に変わって行く。
これは、単に垂直になっただけ、とは言えない、エポックメイキングな事なんだなと、あらためて感動した。