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monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

初冬の月

2011年10月16日 | 日本古典文学-和歌-冬

おきいでて待ちこそ見つれ冬の夜にすみかへりたる山の端(は)の月(明題和歌集)

いざかくて居り明かしてむ冬の月春の花にもおとらざりけり(拾遺和歌集)

面影もかはりはてぬる冬の野に秋見しままの月ぞ残れる(正和三年詩歌合)

花におく露にやどりしかげよりも枯れ野の月はあはれなりけり(山家集)

影とめし露のやどりを思ひいでて霜にあととふあさぢふの月(新古今和歌集)

霜枯れの尾花が袖のしろたへにやどるも寒き冬の夜の月(明題和歌集)

霜ふかき野べの尾花は枯れはてて我が袖ばかり月ぞやどれる(新後撰和歌集)

冬枯れの杜(もり)のくち葉の霜のうへにおちたる月のかげのさむけさ(新古今和歌集)

ふけゆけばなほ影さむし浅茅生の霜にこほれる冬の夜の月(新続古今和歌集)

さらでだに長きをかこつ冬の夜にねられぬ月のかげぞさびしき(宝治百首)

(2009年12月1日の「初冬の月」の記事は削除しました。)


嵐(あらし)

2011年10月15日 | 日本古典文学-和歌-冬

外山(とやま)よりしぐれてわたる浮き雲に木の葉ふきまぜ行くあらしかな(風雅和歌集)

外山ふく嵐のかぜの音(おと)きけばまだきに冬の奥ぞ知らるる(千載和歌集)

ながむればそこはかとなく袖ぬれぬむなしき空の四方(よも)の嵐に(新千載和歌集)

木の葉散るあらしの風の吹くころは涙さへこそ落ちまさりけれ(新勅撰和歌集)

山里は世のうきよりもすみ侘びぬことの外(ほか)なる嶺のあらしに(新古今和歌集)

住みわびぬ人はおとせぬ柴の戸に嵐ばかりのゆふぐれの空(続拾遺和歌集)

日も暮れぬ人も帰りぬ山里はみねの嵐のおとばかりして(後拾遺和歌集)

冬の夜(よ)のながきをおくる袖ぬれぬ暁がたの四方(よも)の嵐に(新古今和歌集)

神無月わが身あらしの吹く里は言の葉さへぞうつろひにける(秋萩帖)


木枯らし

2011年10月14日 | 日本古典文学-和歌-冬

おのづ から染めぬ木の葉を吹きまぜて色々に行くこがらしの風(玉葉和歌集)

もみぢ葉の秋の名残のかたみだにわれとのこさぬ木枯らしのかぜ(続拾遺和歌集)

さびしさは馴れぬるものぞ柴の戸をいたくなとひそ峰のこがらし(続後拾遺和歌集)

世の中に吹きよるかたもなきものは木の葉ちりぬる木枯らしの風(続後撰和歌集)

かくばかり身にしむ色は秋もあらじ霜夜の月の木がらしの風(続千載和歌集)


冬の風

2011年10月13日 | 日本古典文学-和歌-冬

秋のうちはあはれ知らせし風の音(おと)のはげしさそふる冬は来(き)にけり(千載和歌集)

冬来(き)ぬと夕霜さむき浅茅生(あさぢふ)の枯れ葉の風の音(おと)ぞさびしき(新続古今和歌集)

水茎(みづぐき)の岡の萩はら秋すぎて枯れ葉にのこる冬の夕かぜ(亀山殿七百首)

山里の風すさまじき夕暮れに木の葉みだれてものぞかなしき(新古今和歌集)

霜枯れの野べに朝吹く風のおとの身にしむばかりものをこそ思へ(新拾遺和歌集)

梢には残る色なき冬枯れの庭にのみ聞く風のおとかな(新後撰和歌集)


寄時雨恋

2011年10月12日 | 日本古典文学-和歌-冬

思ひそむる杜(もり)の木の葉の初時雨しぐるとだにも人にしらせむ(新続古今和歌集)

わが恋は苔の岩屋の時雨かなおとにもたてずもるかたもなし(壬二集)

もらすなよ雲ゐる峯の初しぐれ木の葉はしたに色かはるとも(新古今和歌集)

わが恋は真木のした葉にもる時雨ぬるとも袖の色に出でめや(新古今和歌集)

ふりそむる時雨に身をばぬらせども燃えいづる恋の消ゆるよもなし(天慶二年二月二十八日貫之歌合)

帰るさのしののめくらきむら雲もわが袖よりや時雨そめつる(玉葉和歌集)

妹背山へだつる雲の夕時雨たがうき中の涙なるらむ(新千載和歌集)

ひとり寝(ぬ)る寝覚めの床(とこ)のさむければ時雨のおとをたえず聞くかな(続拾遺和歌集)

くれなゐに片敷く袖はなりにけり涙や夜半のしぐれなるらむ(新千載和歌集)

袖のみと思ふなみだのくれなゐを梢にみするむら時雨かな(続古今和歌集)

いで人の思ふと云ひし言の葉は時雨とともに散りにけらしも(玉葉和歌集)

(2009年11月16日の「寄時雨恋」の記事は削除しました。)