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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「別れを告げる」用例

2015年07月11日 | 日本国語大辞典-や・ら・わ行

 「別れを告げる」という用語は、日本国語大辞典・第二版では1671年用例が早い例として載っていますが、もっとさかのぼる用例があります。

故郷のわかれをつぐる鳥のねを聞きすててたつ旅衣かな
(38・文保百首、藤原実任、雑十首、18191)
『新編国歌大観 4私家集編2、定数歌編 歌集』1986年、角川書店、524ページ

恋衣かさぬるつまもなき物をわかれをつくる鳥の声かな
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、藤原季経、恋)594ページ
あかぬよの別れをつけし鳥よりも独かなしき鐘の暮かな
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、藤原隆信、恋)602ページ
『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年


「別れの床(とこ)」用例

2015年07月09日 | 日本国語大辞典-や・ら・わ行

 「別れの床(とこ)」という用語の用例は、日本国語大辞典・第2版では、『千載和歌集』(1187年)からの例が添えられていますが、さらに、270年ほどさかのぼる用例があります。

かぎりとはおもはぬものを暁(あかつき)の別(わか)れの床(とこ)は起(お)き憂(う)かりけり
(四〇・陽成院親王二人歌合、十巻本、36)298ページ
かぎりとはおもはぬものを暁(あかつき)の別(わか)れの床(とこ)を起(お)き憂(う)かるらむ
(四〇・陽成院親王二人歌合、廿巻本、36)297ページ
萩谷朴『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年


「読み置く/詠み置く」用例

2015年07月02日 | 日本国語大辞典-や・ら・わ行

 「読み置く/詠み置く」という単語の日本国語大辞典・第二版の記載例よりも古い用例があるので、紹介します。

名に流れたる海人小舟、初瀬の山と読置ける、其川野辺の縁あるに、
(「玉鬘」)
西野春雄校注『新日本古典文学大系57 謡曲百番』岩波書店、1998年、271ページ

名にし負ふ難波津の、名にし負ふ難波津の、歌にも大宮の、内まで聞こゆあみきすと、網子調ふる、海士の呼び声と詠み置ける、古歌をも曳く網の、目の前に見えたる有様、あれ御覧ぜよや人びと。
(「芦刈」)~国文学研究資料館HPの岩波・古典文学大系本文データベースより

男の人の国にまかれりけるまに、女にはかにやまひをしていと弱くなりにける時、よみおきて身まかりにける
(巻第十六・哀傷、858詞書)
佐伯梅友校注『古今和歌集』(岩波文庫)、1981年、200ページ


「読(よみ)」用例

2015年07月02日 | 日本国語大辞典-や・ら・わ行

 「読(よみ)」という単語には、接尾語として、「機(はた)の筬(おさ)の数を表わすのに用いる。」という語釈があります。日本国語大辞典・第二版では、『名語記』(1275年)からの例が早いのですが、133年さかのぼる用例があります。

久しくおともせぬ人に
とよみあまり二よみ三よみ思へどもなどまどほなるきそのあさ布
(108・基俊集、127)
『新編国歌大観 第三巻 私家集編1 歌集』角川書店、1985年、470ページ