

最近、多少目が悪くなり、読書が苦痛になる。
特に昔の文庫本は文字が小さく読みずらい。だが、気に入って何度も読み返す性質なので、昔からの蔵書は捨てられず、ただでさえ狭い部屋のお荷物となる。
今は出版関係の仕事をしているのか、家業を継いでいるのかわからないが、
高校時代の友人が当時、ミニコミのようなものを始めて自作の短編小説やら詩やらを編集しては周囲に回覧させていた。面白半分に深夜ラジオに投稿するハガキ職人のような感覚で自分もいくつか投稿していた。
卒業後、何年かしてその彼から手紙が来た。小さな出版社に勤務する傍ら、自身で発行しているミニコミ誌が添えられていた。
手紙には昔、投稿した自分の短編小説のことが細かく書かれていた。
「お前の書いたのとよく似ている。ぜひ読んでみてくれ」と、一編、小説を紹介された。
「キャッチ=22」舞台は第二次大戦中のアメリカ空軍基地。
さまざまな奇人、変人、あるいは狂人が死地に向かう。
そこには軍規22項「狂気に陥ったものは自ら請願すれば除隊できる。ただし、自分の狂気を意識できる程度ではまだ狂っているとは認められない」など
不条理な軍事規定が兵をしばりつけている。
全編これ不条理のかたまりで、ストーリーの時間軸すらバラバラ。
だから冒頭からまじめに読むとわけがわからない。
が 読み進むうち 頭の中でひとつひとつのエピソードがジグソーパズルのようにかみ合う。
どこから読もうが読み始めが読者にとっての冒頭シーンとなる。
「世の中こんなもんすよ」と作者が自嘲気味に笑っているように思えただけの
、初めて読んだ20代の頃からずいぶん時間もたっている。
世の中で現実に起こるさまざまなことが、この小説を後追いしているかに思える場面にいくつか遭遇もした。
「ね 言ったでしょ こんなんでしょ」と作者は相変わらず半笑いだ。