おかえりなさい
こちらのお席にどうぞ
★コトッ(カクテルグラスを用意します)
僕が大学4年生のとき、とても変わり者だけど、尊敬している先輩がいました。
隣の研究室の大学院生なのですが、外見は
メガネをかけた水嶋ヒロっぽく、趣味は紅茶
と読書
あまりモテるので、逆に女嫌いでホモ疑惑(笑)まであった人で、理系の研究室にはかなり不釣合いな人でした
★コト コト コトッ(シェイカーを用意します)
研究室に出てきて、まずすることは新聞を読むこと。
★トクトク(ブランデーを30ml入れます)
隣の研究室といっても、隣が教授、うちが(当時)助教授の研究室で、共同スペースもあったので、お互いの交流はありました。
そして、その先輩は後輩の面倒見のいい人でした
★トクトク(ラムを30ml入れます)
ある日、先輩が僕に唐突にこう言います。
「もじっとくん、愛について語ろうか」
この先輩はこの手の語り合いがすごく好きなんです。
しかも聞き上手な上に、僕自身がうまく表現できないところは的確に補足を入れてきます。
もちろん読書が趣味な人なので、語るときは今まで読んできた恋愛小説のエッセンスをわかりやすく語ってくれます。
★ツー(オレンジキュラソーをティースプーン1杯分入れます)
いままで本と言えば、教科書と宗田理さんの
僕らのシリーズくらいしか読んだことがなかったのですが、ものすごく本に興味がわいてきました
★ツー(レモンジュースをティースプーン1杯分入れます)
愛について語ったあとに薦められたのが、この2冊
潮騒 (新潮文庫) 三島 由紀夫 (著)
不朽の名作。
純愛って、こういうのをいうのかな…って思えます。
情景の描写もとてもよく、まるで目に浮かぶようでした。
やけっぱちのアリス (新潮文庫) 島田 雅彦 (著)
こちらは一転、ハチャメチャな青春小説。
いや、青春をバカにした感じもある小説ですね。
主人公がレズに好かれ、主人公が好きになった相手はゲイや先生に好かれていたり、何やらで…
(面白いんですが、好き嫌いが分かれそうなので、僕としてはオススメしません
)
★ツー(グレナデンシロップをティースプーン1杯分入れます)
その先輩が他にもいろんな本を薦めてくれたおかげで、僕も読書が趣味だといえるようになりました
★カランカラン カポ カポッ(シェイカーに氷を入れ、ストレーナーとトップをかぶせます)
愛のほかにも友情や、学生として何をすべきか、ニュースに至るまで、いろんなことを語り合いました。
(たまに助教授に見つかり「サボるな!」と怒られましたが)
★シャカシャカ(シェイクします)
ご結婚された話は聞きましたが、元気にしてるかなぁ?
★カパッ トクトク(カクテルグラスに注ぎます)
さて…
愛について語りませんか?
★お待たせしました、サーウォルターです。
サー・ウォルターはイギリスに実在した貴族で政治家であり、探検家であり、作家であり、詩人です。
エリザベス女王の前の水たまりの上に、ウォルター卿は自らのマントを広げて渡らせたという逸話がある、英国紳士の鏡とも言える人物です(実話かどうかは別としてw)
なるほど、このカクテルも淑女に接する紳士のように、鮮やかかつ気品にあふれたカクテルです
ただし、忘れてもらっては困るのがアルコール度数の高さ。
ほとんどブランデーとラムなので、数字にすると意外に強烈
(32~34度ほど)
ステキなものにトゲがあるのは美女に限ったことではなさそうです。