MoiMoi。のココデハナイ ドコカ。               

「この世界には私が撮らなければ誰も見たことがないものがあるのだと信じています」by ダイアン・アーバス。   

夏のひとこま(moimoi的ショートショート日記小説)

2005-11-16 | おバカショートショート小説2
子供の頃、祖父が霞ヶ浦(茨城県)に別荘を持っていて、
夏休みは親戚一同霞ヶ浦で過ごしました。
当時の霞ヶ浦はまだ、水も、とっても綺麗なうえ、遠浅なので大きな伊勢エビみたいなのが、
足下を泳いでいるのを発見したりしました。

1度ザリガニを助けてあげたら(何から助けたのかは憶えていないが)ず~と片手?をあげて、まるでありがとうと言っているようで別れが寂しかったのを憶えています。

あと、ヤギのフンがまるで大豆のようなものだというのも、ここで知りました。
回りはタバコ畑だらけでタバコは葉っぱから作られる事もここで知りました。

小学生の頃、よく鼻血をだしていました。
ある日、湖に入っている時、鼻につめていたティッシュが取れて水面に落ち、それを見つけて「金魚がおよいでる~」と大騒ぎした大バカ少年でした。

ただ1つ、いやだったのは、夏休みの宿題。
叔母に怒られながらやった苦い思い出があります。
そうそう、あそこは軍の基地があったみたいで、戦闘機みたいのが飛んで来て銃撃されました。
僕達も別荘から機関銃を持ち出して応戦し1機撃ち落としてパイロットを捕虜にし、宿題を代わりにやらせました。

夜も、よくゲリラが出没して別荘の周りで銃撃戦があり、ゆっくり寝ている時間がありませんでした。
銃撃戦がない、ある夜、そお~っと別荘を抜け出して、基地を見に行った事があります。
森を抜けて川を渡った所に、それはありました。

基地には大きなステージがあり、なんと上半身裸の綺麗なおねーちゃん達が身体をくねくねさせて踊っていました。あとで聞いたらアメリカのプレイボーイと言う雑誌に出ているプレイメートのおねーちゃん達だということです。

この日から僕は胸の大きな女の人が好きになったようです。
おねーちゃん達のダンスが終わるとメチャクチャ綺麗な女の人がステージに上がり、歌を歌い出しました。どんな曲だったかは憶えていませんが、最後に
「HAPPY BIRTHDAY to MR PRESIDENT」と セクシーな声で言った事だけは鮮明に憶えてます。

これが、僕が生まれて初めて聞いた英語でした。
この女の人は慰問の為基地にきていたマリリンとかいう女優だと言う事を知ったのは、そのずーと後の事でしたが。僕は夢中になり自分が基地の中に不法侵入している事も忘れて、どんどんステージに近付いて行きしまいには一番前のエプロンに釘付けになってしまいました。

さすがにここまでいくと、周りにいた兵隊さんも異変に気づき、僕は捕まってしまいましたが、マリリンさんが、兵隊さんをなだめてくれて、僕をステージに乗せてくれました。
僕はアメリカ人も初めて、ステージに上がるのも初めて、こんな綺麗な女の人を見るのも初めて。初めてづくしで、舞い上がってしまいました。

マリリンは「ハロ-、ボーイ」とか言って僕にキスをしてくれました。
この影響でその後、僕はキス魔になってしまいました。

マリリンは盛んに僕に英語で何か言うのですがスウェーデン語しか分からない僕にはさっぱり分からず困ってしまい、しょうがないのでステージに置いてあったフェンダーのストラトキャスターというギターを借りて「タータターターターターー、ズイーンダダダダア~、キューンババババババ。」とギターをハウらせアメリカ国歌を弾いてしまいました。

そしたら兵隊さんがみんな直立不動になり胸に手をあて、僕の演奏を聴いていました。
その時僕の後ろで僕のギター奏法を聴いていたバックバンドのギターリストが後にジミヘンというギターリストとして、世界のロック界を震撼させる事になったそうです。
ギターを弾き終えホットした僕に兵隊さんがみんな拍手をしてくれ、ブラボーとかモアモアとか言っていました。

僕の隣にいたマリリンは僕に抱きついてきて、「ファンタスティック」とか「ジーニアス」とか[I LOVE YOU」とか当時は何の意味か分からなかったんですが言っていました。
賞賛の嵐の中マリリンは右手を兵隊さんにふり、左手で僕をきつく抱きしめステージから降りました。

彼女はバックステージに僕をよんでくれチョコレートとか飴、コーラ、電気ハブラシ、パンツ、聖書、ふうせんなどをお土産にくれました。だんだん空も明るくなりはじめたので、そろそろ帰らなくてはとマリリンにバイバイと言い基地を後にしました。バックステージを出ると沢山の兵隊さんが整列していて、僕に敬礼しながら、握手を求めてきました。

僕もTACK、TACKとスウェーデン語でありがとうと言いました。
その後マリリンは不幸な死に方をしたため、この事件は忘れられてしまいましたが、彼女の最後の言葉が「moimoiに、もう1度会いたい」だったという事は一部の関係者しか知らなく、今では伝説になってしまいました。

あれから 何年たつのでしょう。
今でもこの日の事が忘れられない。
過ぎ去った、楽しい夏の想い出のひとこま。
今日も夕日は西の空へ落ちて行くのさ。

(BGMは ロバ-ト・マリガン監督「おもいでの夏」
作曲ミュシェル・ルグラン(アカデミー作曲賞)で)

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