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関西の孔子-楊震

2006-02-26 21:05:59 | 十八史略を読む Ⅲ
十八史略を読む-Ⅲ-34 関西の孔子-楊震

「十八史略 Ⅲ 梟雄の系譜 :徳間書店、奥平卓、和田武司訳、1987年7月七刷」から

関西(かんせい:黄河にのぞむ函谷関以西の地で都長安を中心とする現在の陝西省南部をいう)出身で"関西の孔子"と評判された学者で、大尉(三公の一)となった楊震が自殺した。

かれが、ある日、生徒を教えていると、講堂の前に、鳥が三匹のウナギをくわえて降り立った。

「先生が三公に昇られる瑞兆だ」

こう言った師範代は、そのウナギをつかまえて楊震に差し出して、すすめた。

「先生は、政治の舞台に出られるならば、貴い身分になられますぞ」

その後、楊震は東莱郡の知事となった。

ある夜、管下の県令の一人が訪れてきて、懐からワイロを差し出した。

「夜中のことゆえ、だれも気づいておりませぬ。安心してお受け取り下さい」

「天は気づいておるし、地がきづいておる。君も気づいておるし、わしも気づいておる。どうして誰も気づいていないなどと言えるのだ」(楊震の四知として知られる)

県令は、顔を赤らめて引き下がった。

のち、楊震は、はたして、三公に取り立てられた。当時宮廷では宦官や安帝の乳母の王聖がのさばっていて、楊震のところにも、身内のものの引き立てを押しつけてきたが、彼はすべてハネつけた。

そればかりか、これら君側の奸を除くように帝に諫言した。しかし宦官たちは共謀して楊震を陥れたため、彼は三公の印綬を取り上げられてしまった。

その非力を恥じて、彼は自殺したのである。

葬儀の日には、天下の名士が続々とかけつけて彼の死を悼んだ。丈余もある鳥が墓前に飛んできて、天を仰いで悲しげに涙を流した後、またいずこともなく飛び去ったという。

*汚職役人に聞かせてあげたい話ですね。すべての役人が"楊震の四知"を読めば、収賄・贈賄事件は激減するでしょうに。

*20ウナギの産卵地はマリアナ諸島沖だそうです。東大の研究グループが生後二日と見られるウナギの仔魚(しぎょ)を数百匹マリアナ諸島の北西約370kmの海底にある海山で捕獲したとのこと。その場所から産卵場所をスルガ海山とほぼ特定。生まれたウナギは北赤道海流と黒潮に乗って約3000kmを旅して日本にたどり着くそうです。長い旅路を終えて食卓に上がる貴重なウナギの旅の苦労も味わいながら食したいと思います。

(ウナギの記事は日本経済新聞2月23日朝刊から)


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