十八史略を読むⅡ-104 武帝の時代-7 曲学阿世
「十八史略Ⅱ 権力の構図:徳間書店、市川宏、竹内良雄訳、1986年12月七刷」から
武帝は身分,階級にとらわれず、事務能力を備え、聖人の教えに精通しているものを招聘することにした。
彼らを上京させるときは、沿道の諸郡に順次食事を提供させ、また、時期を、その郡の責任者が都に年次報告する時期に合わせ、同行させて旅費がかからぬよう配慮した。
こうして、“し川郡”からは公孫弘(こうそんこう)が選ばれた。公孫弘は武帝の質問に答えた。
「君主が天の法則に従順で,和の徳を身につければ、下々にもそれが行き渡って、人民は和合して暮らすものです。このように“心”の和が達せられれば、気にも和がもたらされ、気の和が達成されれば、“形”にも和がもたらされ、“形”の和がもたらされれば“声”にも和がもたらされ、かくて、天地万物の和がこれに呼応して起こるのです」
公孫弘がこの答書を差し出したところ、武帝はこれを第一等として、早速彼を登用し、宮中の金馬門に顧問役として待機させた。
同じ頃,斉出身で90余歳の“えん固”が賢良の科目によって朝廷に招かれていた。二人は同僚であったが、公孫弘は朝廷で“えん固”に顔を合わせると、いつも目をそらせるのだった。
あるとき、“えん固”は公孫弘をつかまえてこう言った。
「公孫弘どの、正しい学問を身につけてからものを言うが良い。学を曲げて世に阿(おもな)ってはなりませんぞ」
「十八史略Ⅱ 権力の構図:徳間書店、市川宏、竹内良雄訳、1986年12月七刷」から
武帝は身分,階級にとらわれず、事務能力を備え、聖人の教えに精通しているものを招聘することにした。
彼らを上京させるときは、沿道の諸郡に順次食事を提供させ、また、時期を、その郡の責任者が都に年次報告する時期に合わせ、同行させて旅費がかからぬよう配慮した。
こうして、“し川郡”からは公孫弘(こうそんこう)が選ばれた。公孫弘は武帝の質問に答えた。
「君主が天の法則に従順で,和の徳を身につければ、下々にもそれが行き渡って、人民は和合して暮らすものです。このように“心”の和が達せられれば、気にも和がもたらされ、気の和が達成されれば、“形”にも和がもたらされ、“形”の和がもたらされれば“声”にも和がもたらされ、かくて、天地万物の和がこれに呼応して起こるのです」
公孫弘がこの答書を差し出したところ、武帝はこれを第一等として、早速彼を登用し、宮中の金馬門に顧問役として待機させた。
同じ頃,斉出身で90余歳の“えん固”が賢良の科目によって朝廷に招かれていた。二人は同僚であったが、公孫弘は朝廷で“えん固”に顔を合わせると、いつも目をそらせるのだった。
あるとき、“えん固”は公孫弘をつかまえてこう言った。
「公孫弘どの、正しい学問を身につけてからものを言うが良い。学を曲げて世に阿(おもな)ってはなりませんぞ」