お熱いのがお好き

禁酒法時代のシカゴでのマシンガンによる銃撃戦からこの映画ははなばなしく始まる。

ギャングの抗争現場での殺人を目撃したばかりにトニー・カーチス演じるジョー／ジョセフィンとジャックレモンの演じるジェリー／ダフネの二人がギャングに追われる羽目になる。

彼らはギャングから逃れるため女装して汽車でフロリダに向かう。その汽車の寝台車の中では、ウィスキーをそっと取り出し、女性バンドのメンバーたちと一緒に密かに飲む。

いかにも時代を反映しているシーンではなかろうか。

フロリダについてすっかりマリリンモンロー演じるシュガーの虜になったジョセフィンは鬘を取って男に戻り、シュガーと恋に落ちる。

マリリンとキスシーンを演じたトニー・カーチスは感想を聞かれて「ヒットラーと口づけするようなものです」と応えたと言うがどういういう意味か？？？（文春文庫ビジュアル版洋画ベスト１５０から）

一方、ジェリーは大金持ちのジョー・Ｅ・ブラウン扮するオズグッドに気に入られ、求婚される。

トニー・カーチスとジャック・レモンの女装が見事に決まっている。マリリンも可愛い。

マリリン・モンローはこの映画の中で「お熱いのがお好き」他、合計３曲を歌う。

ギャグが連発され可笑しい。

最後のジェリーがオズグッドに求婚される場面はこうである。

オズグッド「ママがウェディングドレスくれる」

ジェリー「着られないわ。きっと体つきが違うわ」

オズグッド「直せばいいよ」

ジェリー「だめよ。あなたとは結婚できない」

オズグッド「なぜ？」

ジェリー「本物の金髪じゃないの」

オズグッド「かまわない」

ジェリー「たばこも吸うの」

オズグッド「かまわない」

ジェリー「３年間男と一緒にいたの」

オズグッド「許すよ」

ジェリー「子供が産めないの」

オズグッド「養子を取る」

ジェリー「だめよ」

ジェリー（鬘を投げ捨てて）「わからずやね」「私男なの」I am a man.

オズグッド「完全な人はいない」Nobody is perfect.

データ
制作年　１９５９年
国　　　米国
女優　　マリリンモンロー、バーバラドリュー
男優　　トニー・カーチス、ジャック・レモン、ジョー・Ｅ・ブラウン、
パット・オブライエン、ジョージ・Ｅ・ストーン、ジョージ・ラフト
監督　　ビリー・ワイルダー
舞台　　シカゴ、フロリダ
ビデオ分類番号：０１１５２　

夏にお薦めの映画 七年目の浮気

この二日間本当に暑いですね。台所で冷蔵庫を開けたらひんやりとした風が肌に当たって、もう離れたくないという感じ。そうそう思い出しました。マリリンモンローが「下着は冷蔵庫で冷やしているので台所で着替えるの」という有名なせりふの映画がありましたね。

ビリーワイルダー監督の「七年目の浮気」という映画です。早速、マイビデオライブラリーから取り出して見てみました。

舞台はニューヨークンのマンハッタン。マンハッタンの地名はインディアンに由来するという出だしで始まります。５００年前、夏になると夫は妻と子供を避暑地に送り出します。夫たちはハンティングにせっせと精を出します。

時代は変わっても、人間のやることは同じです。マンハッタンの３階建てのアパートに住むトム・イーウェル扮する想像力たくましいがシャイなシャーマン氏も妻と子供を避暑地に送り出します。丁度良いタイミングでマリリンモンローが夏の期間だけ２階に住むことになります。

地下鉄排風口でのスカートが風で舞い上がるシーンが野球選手のディマジオとの離婚の契機となったことであまりにも有名ですが、随所におもしろいシーンがあり、飽きさせません。

マリリンモンロー、ラフマニノフのピアノ協奏曲２番野レコードを聞いて「これクラシック音楽ね。歌がないもの」

トムイーウェル「小さい頃ピアノを習ったことがある。この曲はなかなか難しいんだよ」と言ってチョップスティクをピアノで弾く。などなど。

最後の方でマリリンモンローがトムイーウェルに言います「部屋の片隅で、恥ずかしそうに座っている男性、はじめは気づかなくてもシャイな笑顔を見たら、女は男の人の本当の優しさに気づくの」と。マリリンモンローって本当に可愛いですね。

これは全編を通してスマートな映画、夏に見る映画のお薦めの一本です。