凡凡「趣味の玉手箱」

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なぜ人ブタなのか

2006-01-17 20:01:01 | 中国知っ得情報
以前から威(せき)夫人のことを呂后が“人ブタ”と呼んだのか不思議に思っていた。まずは“人ブタ”事件をおさらいしてみよう。

漢の高祖劉邦が亡くなった後、政治の実権は呂后(皇太后となって呂太后)に握られた。

呂太后はわが手をまず威夫人とその子如意の血で染める。威夫人は高祖が漢王になった頃に山東省から来た姫である。高祖に寵愛されて、趙の如意を生んだ。高祖は自分と呂太后の間にできた子の恵帝よりも如意が自分に似ていると思い、常に太子である恵帝を廃して如意を太子に変えようと思っていた。

高祖が亡くなって、恵帝が即位した年、呂太后は威夫人の子、趙王如意に鴆毒(ちんどく:鴆は鳥の名で、この鳥の羽を酒にひたせば猛毒になるという。古来お家騒動に付き物の毒薬)を盛って殺害した。

さらに威夫人の手足を切り落とし、眼をえぐり、耳を焼き切り、薬で喉をつぶした。そして便所の中に捨てて、「人ブタ」と名付けた。

呂太后は恵帝を呼んで「人ブタ」を見せた。恵帝はそれが威夫人であると知るや、愕然とし激しく慟哭した。ついにそのまま寝付き、一年余りも回復しなかった。

これが、有名な人ブタ事件である。さてここで、「戚夫人を便所において、なぜ人ブタなのか」という疑問が起こる。また、用を足そうとする人以外の存在(人であれ、動物であれ)が便所の中にいることはあり得ないから(トイレは完全個室だろうから)わざわざ呂太后に案内される前に何か動いたら、恵帝もすぐ気づいたはずであろう。

この解が病院で読んだ本の中で見いだされたのである。解決の糸口はトイレの構造にあった。

図を見ていただきたい。上に小屋があって、人はその中で用を足す。人が排泄したものはスロープをコロコロと落ちて、四角く囲まれた柵内にブタが飼われていて、人の排泄物を食べて太ってゆくという非常に簡単な構図になっている。そして太ったブタを人間が食べてまたそのブタを人間が食べてという循環型社会がここに実現していたそうだ。

そう、戚夫人がいたのはトイレの中ではなくてブタの柵の中だったのだ。それで戚夫人のことを人ブタと呼んだわけである。これで合点。

http://blogs.yahoo.co.jp/moguma1338/15011569.html

参考:竹内康浩著、「正史はいかに書かれてきたか」、大修館書店、2002年6月10日発行


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