十八史略を読むⅢー108 夢に天門にいたる
陶侃は大尉に昇進したのち、やがて死去した。かれは八州にまたがる軍の司令官として威名嚇嚇たる存在であった。だが、一説によると反逆の下心があったといい、次のような話が伝えられている。
彼はある夜、夢を見た。八枚の翼が背中に生え、一路点の門目指して翔(か)け上がったのである。ところが、九重の天を八重まで突破したところで、翼が折れて墜落した。それからというもの、権勢並ぶものなき身ながら、この夢を思い出しては自らを抑制したという。
陶侃は41年の長きに渡って軍の要職をつとめた。明敏で決断力に富み、絶対にごまかしを許さなかった
。行政官としての手腕も抜群で、南陵から白帝城に至る数千里の地域の住民は、誰一人として落とし物を
私物化するものもないほどよく治まったという。
「十八史略 Ⅲ 梟雄の系譜 :徳間書店、奥平卓、和田武司訳、1987年7月七刷」から
陶侃は大尉に昇進したのち、やがて死去した。かれは八州にまたがる軍の司令官として威名嚇嚇たる存在であった。だが、一説によると反逆の下心があったといい、次のような話が伝えられている。
彼はある夜、夢を見た。八枚の翼が背中に生え、一路点の門目指して翔(か)け上がったのである。ところが、九重の天を八重まで突破したところで、翼が折れて墜落した。それからというもの、権勢並ぶものなき身ながら、この夢を思い出しては自らを抑制したという。
陶侃は41年の長きに渡って軍の要職をつとめた。明敏で決断力に富み、絶対にごまかしを許さなかった
。行政官としての手腕も抜群で、南陵から白帝城に至る数千里の地域の住民は、誰一人として落とし物を
私物化するものもないほどよく治まったという。
「十八史略 Ⅲ 梟雄の系譜 :徳間書店、奥平卓、和田武司訳、1987年7月七刷」から