NHK・・・・9月定例県議会 閉会
福井県の9月定例県議会は7日、最終日を迎え、谷口忠応元議員が、公職選挙法違反の罪で有罪判決を受けて、辞職するまで議員報酬を受け取っていた問題を受けて、議員が逮捕・こう留された場合には身柄を拘束された日にさかのぼって報酬を支給しないとする、条例案が議員側から提出され、全会一致で可決されました。
また、放射線量を測定するモニタリングポストを増設し、すべての市や町を監視するための事業費などを盛り込んだ一般会計で、総額35億1700万円の補正予算案なども可決されました。
このほか、東京電力・福島第一原子力発電所の事故を受けて、国に対して原発の暫定的な安全基準を早期に示すよう求める意見書や、北陸新幹線の敦賀までの早期着工を求める意見書なども採択され、閉会しました。・・・・・・・・
昨日は9月県議会の最終日でした。福島原発事故をうけてなお、アジアの原子力推進機関の会議を開催しょうとする予算案に反対しました。反対は私ひとりでした。
また、新日本婦人の会からだされていた選択的夫婦別姓導入など民法改正を求める請願とポリオ不活性化ワクチンの早急な導入を求める請願は自民党などの反対で不採択となりました。
ただ注目すべきは子育て新システム撤回を求める意見書が自民党、共産党などの賛成多数で可決されたことです。民主党は反対しました。これも国民の声の反映ですね。ちょうど今日は子育て保育の新システムのシンポが開かれます。午後2時から、福井県社会福祉センターです。
自民党席からはげしい野次、怒号がとんだのは新幹線推進の意見書に反対する討論をおこなった時です。しかし、県民の声を冷静に聞き、さまざまなメリット・デメリットを総合的に検証することが必要ではないでしょうか。
みなさんのご意見もお寄せください。
今回は議事の関係で2回にわけて反対討論にたちました。
賛成討論をおこなった会派はなし、反対討論も私ひとりでした。
以下、内容を紹介します。
●さとう正雄県議の反対討論 その1
日本共産党の佐藤正雄です。
第56号議案 平成23年度福井県一般会計補正予算案は、1点、アジア12カ国の原子力の研究開発を推進する機関のトップ会合であるFNCAコーディネーター会合開催支援事業がふくまれているため反対であります。
日本国民にとって戦後最大の悲劇といってもよい福島原発事故から1周年で開催すべきは、原子力推進の会合ではなく、事故の教訓をふまえたものにすべきであります。
また、日本はベトナムなどに原発を輸出する計画です。9月には日本とベトナム間の事務レベル会議が再開され、実現可能性調査や資金、人材育成などの協議がおこなわれました。
しかし、ベトナム国内では福島原発事故をうけて慎重な検討を求める世論が高まっています。トゥオイチェ紙は「原発は慎重に」と書き、サイゴン経済時報は「原発を急ぐことはできない」と報道し、国営ベトナム通信は「ベトナムにかなりの地震リスク」と伝えています。先の国会では中東ヨルダンへの原発輸出は承認されませんでした。
巨大地震と津波のもとで安全を確保できなかった日本の原発技術を世界に拡散することなど到底許されることではありません。原発事故の収束もしておらず、危険な原発を輸出することは国際的な信用を失うだけであります。
福井県としてこのような原発輸出をたくらむ政府の戦略に加担すべきではありません。
つぎに請願陳情についての委員長報告に反対の討論をおこないます。
請願2号は「選択的夫婦別姓導入など民法改正を求める」ものであり採択すべきです。
1979年の国連総会で採択された女性差別撤廃条約を日本は85年に批准しています。昨年来日された国連の女性差別撤廃委員会の委員、ドゥブラブカ・シモノビッチさんは、
日本の民法に規定されているなかで、婚姻の最低年齢が男女で違うこと、離婚後の女性に再婚禁止期間があること、夫婦の氏の選択にかんして差別的であることをあげて、「今の時代にこのような規定がまだ残っていることが不思議です」と語りました。
選択的夫婦別姓制度や婚外子相続差別撤廃などを求める民法改正法案は1997年以降、「国会に提出されては廃案」という事態がくり返されています。
女性差別を撤廃し、日本が世界標準の普通の国になるためにも採択すべきであります。
請願3号は「ポリオ不活性化ワクチンの早急な導入」を求めるものであり採択すべきです。
国内ではポリオが1960年に大流行し、61年に旧ソ連とカナダからの生ワクチンの緊急輸入による予防接種が始まり、野生株ポリオウイルスによる患者は、80年の2人が最後となりました。
ところが、その予防接種によって現在も年間数人の患者が発生しています。原因は、接種に使われる毒性を弱めたポリオの生ワクチンです。
生ワクチンは、流行時に感染の拡大を防ぐために効果的です。しかし、100万人に2人から4人はワクチンで感染してしまうと、WHO(世界保健機関)は公式に認めています。
日本では生ワクチンを使用していますが、欧米を中心に、ポリオを制圧した国は、不活化ワクチンを使用しています。このワクチンは毒性を除いてつくるため、生ワクチンで起きるまひなどの危険性がありません。
いま、政府が来年度からの実施を言いはじめたため、現在のワクチン接種を控える動きが広がっていると伝えられています。しかし、保育所などの集団生活の場では、仮にほかの子が生ワクチンを接種していれば、その子のうんちなどからポリオウイルスがでて感染の危険があります。
したがって、そういう危機回避のためにも早期の導入を求めるわけであります。
なお、陳情4号「地方財政の充実強化」をもとめるもの、陳情5号「舗装工事の入札制度」改善をもとめるものは、おおよそその趣旨に賛同であり、採択を求めます。
以上、申し上げ反対討論といたします。
●さとう正雄県議の反対討論 その2
日本共産党の佐藤です。
「緊急事態法の早期制定を求める意見書案」は、2004年当時の経過も書かれているようにもともと戦争準備の有事法制として国民の人権制約を目的として起案されたものであり、反対です。
今回の大震災と原発事故から国民が求めるものは、国民の居住や通信の自由などを規制する国民統制ではありません。大震災と津波などへの対策の強化であります。そして、いったん苛酷事故をおこせば容易に収束できず国民の生活と安全、経済活動を破壊しつづけているやっかいな原子力発電をなくし、その脅威をとりのぞくことであります。
また、そもそもかつて民主党が提案していた緊急事態基本法については、人権制約が受容される場合のある自然災害と、予測がつき外交上などの措置が検討されるべき武力攻撃とを一緒くたに「緊急事態」としているところが「根本的な欠陥」であります。
世界各地に侵略をつづけてきた歴代のアメリカ外交が世界の人たちの恨みをかい、テロリズムをうみだす土壌となっているのは皮肉なことです。
日本は憲法9条を守り、いかす外交こそ、テロの危険の増大を除去し、国民と国土の安全の土台です。アメリカいいなりで、憲法改憲、世界へ戦争をしかける国となることは、アメリカのようにテロの高い危険にさらされることになりかねません。
世界有数の原発が集中地である福井県と福井県議会こそ、戦争とテロを抑止する最大の「武器」である憲法9条を擁護する活動に力を尽くすべきであります。
つぎに、北陸新幹線の早期認可を求める意見書案に反対の討論をいたします。北陸新幹線問題については一般質問でも取り上げました。
第一に県民が本当にのぞんでいるのか、ということです。県民のなかにも反対の声と運動が高まっていますが、朝日新聞の世論調査でも、「新幹線の県内延伸は必要」が35%、「必要ない」56%であります。
鯖江市や越前市などではもっと特急の停車を増やしてほしいという要望もされていますが、駅へのアクセスも不便となり、新幹線では利便性が低下する地域となるでしょう。
やはり、行政として時代と県民のニーズを読むことが必要です。県民の行政へのニーズのなかで、新幹線がどういう位置にあるのか、冷静な調査と議論こそ必要です。
第二に、福井県の論立ての問題です。民主党の糸川衆議院議員は、福井県が主張する北陸新幹線の県内延伸を「複軸型国土構造への転換」との論理について、「国土交通省の考えが変わらない気がする。複軸化、は使いづらい」との見方をしめしたと報道されていました。糸川氏はJR北陸線をあげて、太平洋側の災害に対応するバックアップ機能が全くないわけではない、と県の論理の「弱み」を指摘した、とのことですが、この糸川氏の見解は妥当なものだと思います。
一般質問でも指摘しましたように、いま、最大の問題は、その全国的にみても素晴らしい北陸本線が新幹線計画によって、県単位の第三セクターに切り刻まれてしまうことです。各県にJR並みの管理運営能力は期待できません。富山県の例をみても、在来線維持に毎年20億円もの負担は行財政的にも大変なことです。金沢以西については、北陸線を切り刻むような新幹線計画は中止すべきです。
第三に、北陸地域と関西・中京地域への交通に支障が起りうる危険があるということです。
私は 一般質問で北陸新幹線の金沢までの延伸で危うくなる在来線特急の便数維持についても対策を要求しました。東村総合政策部長は「しらさぎの便数に影響が出る懸念があるが、JRから今のところ金沢以西の便数を見直すとはきいていない」として、石川、富山両県と連携してJRに便数確保を要請すると答えました。
また、在来線特急について、新幹線がくる富山などでも維持を求める議論があるとのことですが、JRが並行路線である在来線特急と新幹線を同時に経営するメリットはなく、現実的な話になりにくいでしょう。
北陸地域と関西・中京地域間のビジネス、観光などの大動脈である在来線特急の利便性を維持・発展させるためには現行の福井県内での新幹線計画を凍結し、在来線特急を現行どおりJRに責任をもって運行を求めることが一番であります。
ふりかえりますと、私の1期目、栗田知事時代に、私は「新幹線を関西につなぐというが、関西から期待の声はきかないし、福井からの働きかけもない。進め方としてはいかがなものか」と取り上げたことがあります。当時は、議会、理事者ともほとんど関西との協力は議論になっていませんでした。
滋賀、京都、大阪の各議会の議事録を調べても、理事者も議員側も北陸新幹線を取り上げたことすらありませんでした。
いま、関西との関係では原発問題、新幹線問題、広域連合問題など俄然、共通課題が噴き出してきた感があります。
福井の新幹線を大阪がお金をだして応援しようという橋下知事の狙いは新幹線で福井県を関西広域連合に「釣り上げよう」ということにあるとみなくてはなりません。
しかし、米原接続の新幹線では、いまの特急と利便性は変わりません。
さらに滋賀県内でも、「在来線に影響がでる新幹線はごめんだ」の声があがっています。
京都新聞によりますと「ルート周辺の湖北・湖東などの3市長が困惑や憂慮を示している。地元の経済的な利点が見えない半面、整備に伴う負担金が課されたり、並行在来線が地元自治体が運行を支える第三セクター化されるなど、デメリットが大きくなると懸念するためだ」と報道しています。
しかも、関西広域連合となれば、福井県はただの僻地となり、財政も関西地域の巨大開発に優先的にすいあげられることになります。
地域間格差の是正どころか、格差はますますひどくなるでしょう。
ここはあらためて、冷静な調査・研究と議論をよびかけまして反対討論といたします。
福井県の9月定例県議会は7日、最終日を迎え、谷口忠応元議員が、公職選挙法違反の罪で有罪判決を受けて、辞職するまで議員報酬を受け取っていた問題を受けて、議員が逮捕・こう留された場合には身柄を拘束された日にさかのぼって報酬を支給しないとする、条例案が議員側から提出され、全会一致で可決されました。
また、放射線量を測定するモニタリングポストを増設し、すべての市や町を監視するための事業費などを盛り込んだ一般会計で、総額35億1700万円の補正予算案なども可決されました。
このほか、東京電力・福島第一原子力発電所の事故を受けて、国に対して原発の暫定的な安全基準を早期に示すよう求める意見書や、北陸新幹線の敦賀までの早期着工を求める意見書なども採択され、閉会しました。・・・・・・・・
昨日は9月県議会の最終日でした。福島原発事故をうけてなお、アジアの原子力推進機関の会議を開催しょうとする予算案に反対しました。反対は私ひとりでした。
また、新日本婦人の会からだされていた選択的夫婦別姓導入など民法改正を求める請願とポリオ不活性化ワクチンの早急な導入を求める請願は自民党などの反対で不採択となりました。
ただ注目すべきは子育て新システム撤回を求める意見書が自民党、共産党などの賛成多数で可決されたことです。民主党は反対しました。これも国民の声の反映ですね。ちょうど今日は子育て保育の新システムのシンポが開かれます。午後2時から、福井県社会福祉センターです。
自民党席からはげしい野次、怒号がとんだのは新幹線推進の意見書に反対する討論をおこなった時です。しかし、県民の声を冷静に聞き、さまざまなメリット・デメリットを総合的に検証することが必要ではないでしょうか。
みなさんのご意見もお寄せください。
今回は議事の関係で2回にわけて反対討論にたちました。
賛成討論をおこなった会派はなし、反対討論も私ひとりでした。
以下、内容を紹介します。
●さとう正雄県議の反対討論 その1
日本共産党の佐藤正雄です。
第56号議案 平成23年度福井県一般会計補正予算案は、1点、アジア12カ国の原子力の研究開発を推進する機関のトップ会合であるFNCAコーディネーター会合開催支援事業がふくまれているため反対であります。
日本国民にとって戦後最大の悲劇といってもよい福島原発事故から1周年で開催すべきは、原子力推進の会合ではなく、事故の教訓をふまえたものにすべきであります。
また、日本はベトナムなどに原発を輸出する計画です。9月には日本とベトナム間の事務レベル会議が再開され、実現可能性調査や資金、人材育成などの協議がおこなわれました。
しかし、ベトナム国内では福島原発事故をうけて慎重な検討を求める世論が高まっています。トゥオイチェ紙は「原発は慎重に」と書き、サイゴン経済時報は「原発を急ぐことはできない」と報道し、国営ベトナム通信は「ベトナムにかなりの地震リスク」と伝えています。先の国会では中東ヨルダンへの原発輸出は承認されませんでした。
巨大地震と津波のもとで安全を確保できなかった日本の原発技術を世界に拡散することなど到底許されることではありません。原発事故の収束もしておらず、危険な原発を輸出することは国際的な信用を失うだけであります。
福井県としてこのような原発輸出をたくらむ政府の戦略に加担すべきではありません。
つぎに請願陳情についての委員長報告に反対の討論をおこないます。
請願2号は「選択的夫婦別姓導入など民法改正を求める」ものであり採択すべきです。
1979年の国連総会で採択された女性差別撤廃条約を日本は85年に批准しています。昨年来日された国連の女性差別撤廃委員会の委員、ドゥブラブカ・シモノビッチさんは、
日本の民法に規定されているなかで、婚姻の最低年齢が男女で違うこと、離婚後の女性に再婚禁止期間があること、夫婦の氏の選択にかんして差別的であることをあげて、「今の時代にこのような規定がまだ残っていることが不思議です」と語りました。
選択的夫婦別姓制度や婚外子相続差別撤廃などを求める民法改正法案は1997年以降、「国会に提出されては廃案」という事態がくり返されています。
女性差別を撤廃し、日本が世界標準の普通の国になるためにも採択すべきであります。
請願3号は「ポリオ不活性化ワクチンの早急な導入」を求めるものであり採択すべきです。
国内ではポリオが1960年に大流行し、61年に旧ソ連とカナダからの生ワクチンの緊急輸入による予防接種が始まり、野生株ポリオウイルスによる患者は、80年の2人が最後となりました。
ところが、その予防接種によって現在も年間数人の患者が発生しています。原因は、接種に使われる毒性を弱めたポリオの生ワクチンです。
生ワクチンは、流行時に感染の拡大を防ぐために効果的です。しかし、100万人に2人から4人はワクチンで感染してしまうと、WHO(世界保健機関)は公式に認めています。
日本では生ワクチンを使用していますが、欧米を中心に、ポリオを制圧した国は、不活化ワクチンを使用しています。このワクチンは毒性を除いてつくるため、生ワクチンで起きるまひなどの危険性がありません。
いま、政府が来年度からの実施を言いはじめたため、現在のワクチン接種を控える動きが広がっていると伝えられています。しかし、保育所などの集団生活の場では、仮にほかの子が生ワクチンを接種していれば、その子のうんちなどからポリオウイルスがでて感染の危険があります。
したがって、そういう危機回避のためにも早期の導入を求めるわけであります。
なお、陳情4号「地方財政の充実強化」をもとめるもの、陳情5号「舗装工事の入札制度」改善をもとめるものは、おおよそその趣旨に賛同であり、採択を求めます。
以上、申し上げ反対討論といたします。
●さとう正雄県議の反対討論 その2
日本共産党の佐藤です。
「緊急事態法の早期制定を求める意見書案」は、2004年当時の経過も書かれているようにもともと戦争準備の有事法制として国民の人権制約を目的として起案されたものであり、反対です。
今回の大震災と原発事故から国民が求めるものは、国民の居住や通信の自由などを規制する国民統制ではありません。大震災と津波などへの対策の強化であります。そして、いったん苛酷事故をおこせば容易に収束できず国民の生活と安全、経済活動を破壊しつづけているやっかいな原子力発電をなくし、その脅威をとりのぞくことであります。
また、そもそもかつて民主党が提案していた緊急事態基本法については、人権制約が受容される場合のある自然災害と、予測がつき外交上などの措置が検討されるべき武力攻撃とを一緒くたに「緊急事態」としているところが「根本的な欠陥」であります。
世界各地に侵略をつづけてきた歴代のアメリカ外交が世界の人たちの恨みをかい、テロリズムをうみだす土壌となっているのは皮肉なことです。
日本は憲法9条を守り、いかす外交こそ、テロの危険の増大を除去し、国民と国土の安全の土台です。アメリカいいなりで、憲法改憲、世界へ戦争をしかける国となることは、アメリカのようにテロの高い危険にさらされることになりかねません。
世界有数の原発が集中地である福井県と福井県議会こそ、戦争とテロを抑止する最大の「武器」である憲法9条を擁護する活動に力を尽くすべきであります。
つぎに、北陸新幹線の早期認可を求める意見書案に反対の討論をいたします。北陸新幹線問題については一般質問でも取り上げました。
第一に県民が本当にのぞんでいるのか、ということです。県民のなかにも反対の声と運動が高まっていますが、朝日新聞の世論調査でも、「新幹線の県内延伸は必要」が35%、「必要ない」56%であります。
鯖江市や越前市などではもっと特急の停車を増やしてほしいという要望もされていますが、駅へのアクセスも不便となり、新幹線では利便性が低下する地域となるでしょう。
やはり、行政として時代と県民のニーズを読むことが必要です。県民の行政へのニーズのなかで、新幹線がどういう位置にあるのか、冷静な調査と議論こそ必要です。
第二に、福井県の論立ての問題です。民主党の糸川衆議院議員は、福井県が主張する北陸新幹線の県内延伸を「複軸型国土構造への転換」との論理について、「国土交通省の考えが変わらない気がする。複軸化、は使いづらい」との見方をしめしたと報道されていました。糸川氏はJR北陸線をあげて、太平洋側の災害に対応するバックアップ機能が全くないわけではない、と県の論理の「弱み」を指摘した、とのことですが、この糸川氏の見解は妥当なものだと思います。
一般質問でも指摘しましたように、いま、最大の問題は、その全国的にみても素晴らしい北陸本線が新幹線計画によって、県単位の第三セクターに切り刻まれてしまうことです。各県にJR並みの管理運営能力は期待できません。富山県の例をみても、在来線維持に毎年20億円もの負担は行財政的にも大変なことです。金沢以西については、北陸線を切り刻むような新幹線計画は中止すべきです。
第三に、北陸地域と関西・中京地域への交通に支障が起りうる危険があるということです。
私は 一般質問で北陸新幹線の金沢までの延伸で危うくなる在来線特急の便数維持についても対策を要求しました。東村総合政策部長は「しらさぎの便数に影響が出る懸念があるが、JRから今のところ金沢以西の便数を見直すとはきいていない」として、石川、富山両県と連携してJRに便数確保を要請すると答えました。
また、在来線特急について、新幹線がくる富山などでも維持を求める議論があるとのことですが、JRが並行路線である在来線特急と新幹線を同時に経営するメリットはなく、現実的な話になりにくいでしょう。
北陸地域と関西・中京地域間のビジネス、観光などの大動脈である在来線特急の利便性を維持・発展させるためには現行の福井県内での新幹線計画を凍結し、在来線特急を現行どおりJRに責任をもって運行を求めることが一番であります。
ふりかえりますと、私の1期目、栗田知事時代に、私は「新幹線を関西につなぐというが、関西から期待の声はきかないし、福井からの働きかけもない。進め方としてはいかがなものか」と取り上げたことがあります。当時は、議会、理事者ともほとんど関西との協力は議論になっていませんでした。
滋賀、京都、大阪の各議会の議事録を調べても、理事者も議員側も北陸新幹線を取り上げたことすらありませんでした。
いま、関西との関係では原発問題、新幹線問題、広域連合問題など俄然、共通課題が噴き出してきた感があります。
福井の新幹線を大阪がお金をだして応援しようという橋下知事の狙いは新幹線で福井県を関西広域連合に「釣り上げよう」ということにあるとみなくてはなりません。
しかし、米原接続の新幹線では、いまの特急と利便性は変わりません。
さらに滋賀県内でも、「在来線に影響がでる新幹線はごめんだ」の声があがっています。
京都新聞によりますと「ルート周辺の湖北・湖東などの3市長が困惑や憂慮を示している。地元の経済的な利点が見えない半面、整備に伴う負担金が課されたり、並行在来線が地元自治体が運行を支える第三セクター化されるなど、デメリットが大きくなると懸念するためだ」と報道しています。
しかも、関西広域連合となれば、福井県はただの僻地となり、財政も関西地域の巨大開発に優先的にすいあげられることになります。
地域間格差の是正どころか、格差はますますひどくなるでしょう。
ここはあらためて、冷静な調査・研究と議論をよびかけまして反対討論といたします。