すべては愛する宗像のため

福岡県宗像市在住、井上正文のブログです。

池田会頭最後のスピーチ

2006年10月19日 | 青年会議所の活動
8日(日)全国会員大会郡山大会に於ける、日本JC池田会頭最後のスピーチを紹介します。長くなりますが、メンバーの皆さんは是非読んでください。

池田佳隆会頭

他人を思いやる心、家族を愛する心、祖先を敬う心、自然を慈しむ心、故郷を想う心、祖国を愛する心。
美しき日本の心、それは大東亜戦争に負けた我々日本人が見失ってきた大切な日本の魂(こころ)。
悠久の歴史と伝統に培われてきた美しき日本の大切な価値観。
かつて日本人は自分に厳しく、他人には優しい、とても思いやりに溢れる民族でした。
強靭な精神を持ちながらも、されど思いやりを忘れない、とても魅力的な人でした。そしてそれはまさに日本人としての自信と誇りだったのです。そんな本来の日本人の真の姿を呼び覚ますために、我々JCによる壮大な精神ルネッサンスが始まったのです。

もう戦争は二度としない、これからはお互いの国同士助け合って生きていこう、そう全世界で誓いあった1945年。でもその誓いは飽くなき人間の欲望の前では全く意味を為しませんでした。
あれから61年経った今でも殺戮や貧困が消えて無くなる気配は全くありません。それどころかこの地球上の至る所で毎日4万人もの尊い命が、殺戮や貧困の犠牲になって天に召されていきます。
飽食の状態にある平和ボケした日本にいると、こういうことに中々気が付かないのかもしれません。しかしこれが世界の現実なのです。
何の罪も無い可愛い盛りの子ども達の足が、今日も地雷で吹っ飛んでいます。ミサイルの破片で目がつぶれ、何も食べる物も無く、飢えて死んでいく子ども達が後を絶ちません。今、この時も私達と同じ、この地球という星に生まれながら、理不尽な苦しみから逃れることもできず、ただ死んでいくだけの哀れな罪無き市民が数えきれないほど存在しているのです。

何とかしたい、何とかせねばならない、ならば一体どうすればよいのか。
私達は今、やっと気が付きました。
殺戮や貧困の無い真の世界平和実現の為には、高潔な精神性と道義を兼ね備えた市民による国家の力が必要であると、今やっと気が付いたのです。
まやかしの平和主義者による平和を唱えれば、平和な文化が降ってくると教えてきた間違った戦後教育、そして歪んだ自由主義。偏った個人主義、国家否定論では真の世界平和が望めない現実に、私達は今やっと気が付いたのです。
JC運動の最終目的である世界平和の確立、そのためには利他の心でこの世界を救うことのできる道義国家が地球上に台頭せねばなりません。そしてその道義国家こそ私達、私達の愛する我が祖国・日本であるということに、今やっと気付いたのです。
ところが今、この国は与えられた使命、与えられた美しき日本の力を忘れてしまっているように思います。だからこそ、我々の市民意識変革運動は日本の魂(こころ)の復興を、美しき日本への回帰から始めなければならなかったのです。

類い稀な自然の恩恵を受けてきた我々の祖先。戒律の厳しい宗教に頼らずとも、我々日本人は太古の昔より森羅万象にいつも目を向け、利他の心溢れる思いやりの心溢れる道徳心が、勇敢にして高潔なる大和魂、そして指導者としての規範であり生き方の美学を説いた「武士道」を生み出してきました。
こうした日本固有の伝統的精神性や伝統的価値観は美しき日本の魂(こころ)として二千数百年に亘る我が国悠久の歴史の中でしっかりと育まれ、しっかりと伝承されてきたのです。
とりわけ「武士道」はリーダーの規範としての潔く尊厳のある美しい振る舞いを大切にしてきました。
自らの命を投げうってでも誠を貫く信念、日本人が最も美徳としてきた私利私欲とは対極にある考え方がそこにあったのです。

明治維新の頃、欧米を見聞した武士達は外国語をろくに話すこともできず、近代政治や欧米の文化、マナーは全く知りませんでした。彼らが身に付けていたものは日本の古典と武士道精神だけだったのです。それでも彼らは欧米人から大層尊敬されました。近代化している欧米の文化に驚きつつも武士としての威厳と日本人としての品格を常に持ち合わせ、何事にも堂々と振る舞っていたからです。今の日本人のように外国人に媚びたり、へつらって卑屈になったりするようなことは決してありませんでした。当時の日本人は日本人であることの自信と誇りを旨に、相手が外国人であろうと主張すべきは主張していたのです。

大東亜戦争に負けた後、GHQの占領政策によって、かつての日本のあり方すべてが否定され、アメリカナイズすることが格好いいことだと教えられました。その結果、私たち戦後生まれの日本人は、日本人として身に付けていなかればならないはずの日本固有の伝統的精神性や伝統的価値観をろくに教えられずに育ってきたのです。
武士道をはじめとする美しい価値観や伝統的な道徳心さえ、戦前の軍国主義を復活させようとするものとして、戦後は全く教えてきませんでした。
こんな馬鹿げたことがこの国では61年も続いているのです。
戦後アメリカからもたらされた自由・リベラルという言葉を曲解した進歩的知識人と称する人達が、こうした日本固有の伝統的精神性、伝統的価値観を徹底的に破壊しました。同時に彼らは国家・地域社会・公のために身を尽くすといった奉仕の精神までも否定してしまったのです。その結果、利他の心や奉仕の精神が嘲笑されるおかしな社会がつくられ、世の中で最も大切な人と人との絆まで破壊されてしまいました。

自由は我々人類にとってとても大切なものです。そしてまた自由に基づく競争も我々人類が向上していく上では、とても大切なものです。しかし規範なき自由がもてはやされ、規制なき競争が過ぎれば、人と人との間には埋め難い亀裂や取り返しのつかない格差が生まれ、やがて醜い殺し合いにまで発展してしまうということを、私達は歴史から学んできたはずです。
今こそ、戦後61年に亘って続けられてきた、この戦後体制を破棄し、すべての国民がこの国に生まれて本当によかった。日本に生まれて本当によかった、心の底から思えるような、心の底から言えるような自信と誇りに満ち溢れた真の自立国家、美しき国・日本への回帰をはかることが、敗戦国日本の本当の意味での戦後復興であると私は考えています。
日本は今、右とか左とかそういった二方対立の古くさいイデオロギーではなく、美しき日本の「中庸の美徳」に基づいた新しい概念が、殺戮や貧困の無い真の世界平和を導きうるニュージャパンイデオロギーの時代へと突入したのです。

我々Jayceeは真摯に捉えなくてはなりません。私はJCが本気にさえなれば、必ずや理想社会を築けるものと信じております。ただしそのためには我々Jayceeが市民の意識を変革しうる力を充分に発揮できねばなりません。本気で理想社会を築いていこうとするのであれば、我々JayceeがJC運動本来の意義と目的を常に明確にし、手段が目的と化したJCごっこから脱皮せねばならないのです。
役職に就くことが目的となってしまった何ら社会に貢献しえないJC、無意味な過去のしがらみにとらわれ、変革の能動者たりえないJC、飲んで食べて宴会をすることが目的となりサロンと化したJC、そんな手段が目的となってしまったようなJCごっこから一日も早く本気で脱却を図り、誰のための何のためのJC運動なのか、全国4万人のメンバーが本当に志を同じくすることができたならば、豊かな社会を築き上げるとするこのJCはその本懐を遂げるものと信じております。

2006年、真の社会変革に向けて確実に動き出したこの小さな流れを、より大きなうねりへと変え、世界中を震撼させうるような、さらに大きな波動へと変えることができるかどうかは、全国719の青年会議所、全国4万人の同志の皆さんの英知と勇気と情熱にかかっているのです。
どうか真の世界平和のために、明るい日本の未来のために、子ども達の笑顔溢れる地域社会貢献のために、本気になって動いてください。
自分達に与えられた力を信じて本気になって闘ってください。もう後戻りしている時間はありません。JCごっこして遊んでいる時間はないのです。不退転の覚悟を決めて前へ進んでください。勇気を出して過去のしがらみを断ち切り、誠のJC運動に邁進してください。
地域の子ども達が、日本中の子ども達が、世界中の子ども達が、皆さんが本気になって立ち上がるのを待っています。助けを待っています。
どうか本気になって動いてください。
これが(社)日本青年会議所第55代会頭としての皆様への最後のお願いです。

人の命には限りがあります。だからこそ与えられた限りあるこの命を美しく活かそうではありませんか。
ここにいる誰もが必ずいつかは天に召されます。だからこそ天から与えられた限りある命の炎を美しく煌煌と輝かせようではありませんか。そしてこの与えられた命がいつ潰えようとも、納得して瞼を閉じることのできる美しい生き様を子ども達に見せていこうではありませんか。それこそが真のリーダーたる誠のJayceeの姿であると私は信じています。

真の世界平和が訪れるその日まで、JCはJCだけは最後まで決して諦めてはいけません。
真の世界平和が訪れるその日まで、私達の命の光が消えようともJC運動の理想の光を絶やしてはなりません。
真の世界平和が訪れるその日までJC運動は不滅です。

最後に、戦争の世紀と呼ばれた20世紀が生んだ天才科学者アルベルト・アインシュタインが私達日本人に遺した言葉をお伝えして終わりにしたいと思います。

「近代日本の発展ほど世界を驚かせたものはない。万世一系による天皇を戴(いただ)いていることが、今日の日本をあらしめたのである。私はこのような尊い国が世界に一カ所ぐらいなくてはならないと考えていた。世界の未来は進むだけ進み、その間、幾度か争いは繰り返されて、やがて最後の戦いに疲れるときが来る。そのとき人類は、まことの平和を求めて、世界的なリーダーをつくりださねばならない。このリーダーは、軍事力や経済力ではなく、あらゆる国の歴史を抜きこえた最も古き最も尊き国柄ではなくてはならない。世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰る。それには、最も高き精神文化を宿した日本に立ち戻らねばならない。我々は神に感謝する。我々人類に日本という尊い国をつくっておいてくれたことを」

生涯JC、これからも共に手を取り合って頑張ってまいりましょう。
1年間本当にありがとうございました。

鳴り止まぬ拍手の中、ホルストの組曲「惑星」が会場に流れ、やがて静かに暗転。
そこへ“Jupiter”の曲と共に平原綾香さんが登場。
平原綾香/Jupiter(作詞:吉元由美・作曲:G.Holst)
今も尚、この時のことを思うと胸が熱くなります。

JC最後の年、多くのメンバーに祝福され、JCを卒業する今。
まだまだやり残したこと、できなかったこともありますが、
世の中の出来事に目を向ければ、悲しいことや恐ろしい現実がそこにあり、
JCが今こそ本気で地域と国のため、世界平和の実現に向けて、勇気をもって活動しなければならないと考えます。
生涯JC、そんな想いで残りの命の光が消えるその日まで、私も頑張ろうと心に誓いました。

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感動!! (Z007)
2006-10-19 18:17:32
あ~いいね、やっぱ。池田会頭サイコー。

更新がないので私も心配していたうちの一人ですが、感動の長編ブログ編纂のためだったのかと安心しました。
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久しぶり~ ()
2006-10-20 07:54:04
や~心配してました。約10日ぶりですね。



まぁ君と同じで「ジュピター」を聞くとあの時の感動が甦ります。卒業式に出れた事を嬉しく思います。残り少ないけど頑張りましょうね
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久しぶりパート2 (30)
2006-10-20 10:43:21
元気そうで安心しました~郡山大会お疲れ様でした。あと2ヶ月半お互いに頑張りましょうね。
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Z007さまへ (井上)
2006-10-20 14:47:51
あらためて会頭スピーチを読み、

内容もすばらしいのですが、

あれだけ長いスピーチを原稿も見ずに話されることに感心します。
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つさまへ (井上)
2006-10-20 14:49:38
お久しぶりです。

今日はシニアの例会でお会いできますね。

皆様のお越しを楽しみにしています。
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30さまへ (井上)
2006-10-20 14:52:44
ご心配おかけしてすみません。

またいつもブログを読んでくれてありがとうございます。

30さまもお体にはお気をつけください。
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宗像人 (みかん好き)
2006-10-20 19:55:55
宗像人として日本人としての使命。

この世に生を頂いた本当の意味を感じます。

『七転び八起き』人は八度生まれ変わり、人として未熟な所を修行するのだそうです。

卒業はゴールではなく通過点

一生涯JC運動は続けます。この燃えるような想い『もう一度生まれ変わり入会しよ」
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待っていました! (魔女っこM)
2006-10-20 23:16:19
 お元気そうで何よりです☆

私は、少し体調を崩していましたが、このブログを拝見して、力が湧いてきました。



 最近は、様々な思いを巡らすことが多く、

自ら命を絶つ子どもたちをこれ以上生み出してはいけない。

私には今、何ができるのか。

私のやっていることは正しいことなのか。

などと悩む日々が続いておりましたが、このブログを拝見し、初心に返ることができました。



 私なりの教育に対する熱い想いを胸に『初志貫徹』の精神で今後も頑張っていきたいです。

 



 生まれ変わっても、教育者でありたい。そう思える日が来るのを信じて…。
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ブログに歌詞が・・・ (m)
2006-10-22 15:04:15
理事長さまへブログに歌詞を載せるのは著作権法により、確認をしないととやばいのでは・・・?
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みかん好きさまへ (井上)
2006-10-23 08:07:42
いつもコメントを読まさせていただき、なるほど!と納得します。

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