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福岡県宗像市在住、井上正文のブログです。

ハート・ロッカー

2010年03月11日 | オススメ
映画「ハート・ロッカー(The Hurt Locker)」は今年度(第82回)のアカデミー賞で作品賞・監督賞・オリジナル脚本賞・編集賞・音響編集賞・音響調整賞の6部門を征した作品です。



これから観ようという方も多いでしょうから、内容については詳しく触れませんが、監督がキャスリン・ビグローという点でお分かりのように、この作品はいわゆる社会派映画とは異なります。

原題の「The Hurt Locker」は米軍のスラングで、「苦痛の極限地帯」「極限の苦痛を与えられる場所」という意味。

“ハート”は“heart(心)”ではなく“hurt”(苦痛)の方です。

脚本・製作のマーク・ボール氏はインタビューで、この作品について次のように語っています。

「戦争は人間性を失わせるが、気分を高揚させ実存的に深い意味を持つ。命を救うことや、または殺すこと、国のために戦うということ、それら全てに魅力と中毒性を感じる人々がいるのだ。」

明確な反戦メッセージがあるのではなく、かと言ってアメリカ兵士の勇敢さを讃えているわけでもなく、究極的な男の本質をとらえた、質の高い人間ドラマだと私は感じました。

ただひとつ難を言えば、手ぶれやズーミングを多用したドキュメンタリー・タッチのカメラワークが過剰というか、陳腐な印象を受けました。

オスカーを受賞したお陰で注目されていますが、過度な期待はせずに時間があれば映画館で、そうでなければDVDでご覧になってください。