みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

歌舞伎座閉場式

2010年05月01日 | 歌舞伎
 こちらの記事にも書きましたが、現歌舞伎座で行われた最後の公演である、歌舞伎座閉場式を4階幕見席(当日はもちろん自由席ではなく指定席)で、観劇しました。(この場合観劇というのかは分かりませんが^^;)


 通常の興行で絵看板が飾られるスペースには、絵ではなく、当日のプログラムが。

 いつもとは違う熱気に包まれた歌舞伎座の幕が開くと、まずは松竹株式会社会長のご挨拶が。普段とは違う“式典”といった感じです。続いて、舞踊二題の上演がありました。

『都風流』
 長唄の舞踊です。主な立役の役者さんたちが勢ぞろい!!大好きな仁左衛門さん、吉右衛門さん、菊五郎さん、勘三郎さん、幸四郎さん、梅玉さん、三津五郎さん、そして團十郎さんたちが扮装なし、紋付袴で踊る素踊りです。普通の興行ではありえないすごい顔ぶれを見ただけでもうお腹一杯状態(笑)
 感想はただひたすら・・仁左さま素敵♪三津五郎さんはやっぱり踊りがお上手!などと思うだけ(笑)もう豪華すぎて・・・思考停止状態(笑)

『京鹿子娘道成寺』
 これまでいろいろなバージョンを含めて何度も見てきた、これぞ歌舞伎舞踊といった娘道成寺。配役表を見ると、白拍子花子が何人もいる・・・(笑)どうなるんだろう?と思いましたが、これも綺麗どころの女形ばかりの道成寺で、とても濃い舞台でした。メモをしていないので、どこか間違っているところがあるかもしれませんが・・・・。
 花子さんたちを踊るのは、玉三郎さん、福助さん、魁春さん、芝雀さん、時蔵さんたち。玉三郎さんがメインな構成でした。

 まず、道行は福助さんが花道に登場。はあ、綺麗・・・と思ったら、「二人娘道成寺」の時のように、スッポンから玉三郎さんが登場。ああ、これだけでも、もう豪華すぎるよ!!と思いました。最後に、私が歌舞伎に興味を持つきっかけとなった玉三郎さんの花子を歌舞伎座で見ることのできる喜びを噛みしめながら、遠く4階席からオペラグラスで見つめる・・・。本舞台での坊主との問答は再び福助さんのみ。福助さんが烏帽子を受け取りいったん引っ込み、紅白の幕が開くと、烏帽子をつけた時蔵さんの花子が登場。
 このように、それぞれの見せ場を最初は一人や二人で踊っていても、途中で玉三郎さんたちが登場したり、逆に玉三郎さんのみの踊りに後から福助さんが登場したり・・・というように、華やかなというか豪華すぎる道成寺でした。
 最後は、玉三郎さんと魁春さんが鐘に上り、芝雀さん、福助さん、時蔵さんも鐘の側に寄り添うというか、蛇体のようになり幕。
 あまりにも豪華すぎる娘道成寺は、まさに歌舞伎座の最後にふさわしかったです。

『口上』
 芝翫さんを中心に、坂田藤十郎さん、富十郎さんの三人の人間国宝たちが歌舞伎座閉場に関しての口上を述べられました。私たち歌舞伎ファンとはまた違った思いいれを持っている役者さんたち・・・。「うれしいような、さみしいような気持ち」というようなことをおっしゃった芝翫さん・・・・。藤十郎さんも、富十郎さんたちも、思い出がたくさん詰まっているんですよね。私も彼らの舞台を何度も見ていますが、役者さんにとっての特別の場所。感極まっている姿を見ると、こちらもぐっと胸にくるものがありました・・・。


 この後は45分休憩。これまでの歌舞伎の映像が流れていました。今は亡き役者さんにかかる掛け声もまた感動ものですね。私は映像も少し見ていましたが、幕見からいったん外に出て、表玄関から入場し、歌舞伎座の中ともお別れしていました。
 ロビーには奥様たちも大勢いらしていて、とても華やかでした!!音羽屋さんの舞台は結構観ているのですが、意外や意外に初めて富司純子さんをお見かけしましたが、凄く綺麗で素敵でした!!


『歌舞伎座手締式』

 幕が開くと、もうびっくり!!!5段くらいの緋毛氈のひな壇に黒紋付袴姿の役者さんがズラッと並んでいます。雀右衛門さんはいらっしゃいませんでしたが・・・、病気療養中で現在は舞台に立っていらっしゃらない猿之助さんは車椅子で・・・そして澤村藤十郎さんのお姿も・・・。とにかく壇上は豪華すぎて、オペラグラスで一人一人のお顔を見つけたりするだけで精一杯。
 一人一人の細かい表情は追えませんでしたが、目を真っ赤にしている人もいました。彼らにとっては、子供のころから過ごしてきた場所であるし、特別な場所ですよね。見ているこちらもウルウルしてしまいました。
 芝翫さんのご挨拶に続き、藤十郎さんの音頭で場内全員で手締めとなりました。

 歌舞伎らしく、カーテンコールなんてなく、あっさり終わった閉場式。でも、これはこれで歌舞伎らしい終わり方・・・。名残惜しいけれど、これから3年・・・ではなく2年と11ヶ月後にまた新しく生まれ変った歌舞伎座が、役者さんにとっても、歌舞伎ファンにとっても、すばらしい空間になるような芝居小屋になることを祈っています。

 
 この日の筋書(パンフレット)とチケットホルダー。筋書は、当日のプログラムはもちろん記載されていますが、歌舞伎座の歴史、さよなら公演のデータ、歌舞伎座で活躍した名優たち、役者さんの写真が掲載されていました。





 この日のためのチケットホルダーを開くと、中も歌舞伎座の写真が!!豪華すぎます。これは宝物にします。そして、歌舞伎座閉場式という歴史の一部に役者さんや他の歌舞伎ファンの方達と共有できたことは、本当に光栄であります!
 さて、気が早いですが、閉場式の次は、新しい歌舞伎座のこけら落としを楽しみに2年11ヶ月間待ちましょうか。

 そして、本当に「ありがとう」

さようなら!そして、ありがとう!歌舞伎座!!!

2010年05月01日 | 歌舞伎
 4月30日をもって、戦後開場された第4期歌舞伎座が建替えの為に閉場となりました。日付が変わってしまいましたが、今日行われた閉場式には、友人夫妻のご好意で夜の部を観劇することができました。歌舞伎座閉場式の記事は後日記事にいたしますので、取り急ぎご報告のみこちらでさせていただきます。

 GWが始まったばかりの銀座はいつにもまして人が多かったですが、歌舞伎座前は人、人、人!!!!報道陣、歌舞伎ファンたちでたくさん!!歌舞伎座前も、通りの向こうにもカメラを持った人たちが最後の別れを惜しんでいます。私もその一人。歌舞伎座内外の写真を、写真集ができるくらい撮ってしまいました。全部は無理ですが、ごく一部を、今後何回かに分けてご紹介するつもりです。



 歌舞伎座さよなら公演のカウントダウン時計は、いよいよ最後の「1日」を表示しています。本当に最後なんだ・・・。



 終演後、最後のお客さん全員を送り出した歌舞伎座正面玄関の扉が閉まった瞬間・・・・。その前に、最後の姿を見届けるファンの前に歌舞伎座の支配人さんが挨拶に来てくださいました。



 学生時代に歌舞伎ファンになってから、約10年間通いました。まさに、私の青春と言っても過言ではありませんし、今の私はありません。歌舞伎に出会わなければ、お能にも興味を持たなかったし、今お稽古している鼓もやっていなかったでしょう。初めて歌舞伎座を訪れたときのこと、歌舞伎が好きなおばあちゃんや、まだ元気だった頃の祖父と一緒にお芝居を見に行ったこと。役者さんの美しさにうっとりしたこと。笑ったり、涙したこと・・・。数々の役者さんたちの襲名公演など節目の舞台に立ち会ったこと。もう今では会うことのできない役者さんたちのこと。素敵な思い出がたくさんたくさん詰まっている歌舞伎座・・・。新しく生まれ変わるのももちろん楽しみなのですが・・・やはりこの建物で、この空間でお芝居を楽しむことができるのも今日が最後だと思うと、いろいろな思い出が甦り、涙が出てきてしまいました。
 きっと役者さんたちはもっともっといろいろな思い出があるのでしょうね。一人一人の思いがたくさん詰まった歌舞伎座。他の劇場とは違う空気、存在感、そして歴史の重み・・・。そして何よりも人情があって、温かみのある芝居小屋でした。その歴史の一部を、役者さん全員、他の歌舞伎ファンの方たちと皆で見届けることができたことは、本当に光栄なことです。今回は震災や戦災での焼失ではなく、ちゃんとしたお別れですもんね。
 といっても、やはり今はとても寂しくて仕方ありません。家に帰って、これを書きながら、涙ぐむなんて、他人から見たらバカにしか映らないかもしれませんけど・・・。でも、歌舞伎座の内外の写真を撮りながら、やはりこれは建替えが必要・・・とも思いましたし、これから歌舞伎を続けていくために、そして、さらに発展させるためにはしなくてはいけないこと。そうは頭で理解していても、やはり名残惜しい・・・・。


 歌舞伎座の前からなかなか離れることができなかったけれど、最後に、ちゃんとお礼を言うことができました。


 ありがとう!歌舞伎座!!