雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

戦い終えて ・ 小さな小さな物語 ( 425 )

2013-02-06 19:15:30 | 小さな小さな物語 第五部~第八部
ロンドンオリンピックは、多くの感動を与えてくれて無事終了しました。
幾つかの問題点も表面化していますが、大きな混乱もなく終えることが出来たことは何よりでした。
伝えられている報道によりますと、例えばボランティアの活動とか、開会式や閉会式のプログラムにしても、肩を怒らせているような部分は少なく、成熟した先進国らしい運営であったようです。
次回はリオデジャネイロ、また違ったダイナミックな運営をしてくれることでしょう。


今回の大会は、わが国の選手たちの健闘も目立ち、大いに楽しませていただきました。一人一人の選手の活躍の裏には、スタッフや家族や仲間やライバルなどの様々な関わりが秘められていて、私などが知ることが出来るのは、テレビなどで報道されるごく限られたものですが、いずれも感動的なものでした。
結果としては、目的を果たした人、不本意な結果であった人、様々な感慨を描いているのかもしれませんが、あのすばらしい大会に参加したことこそが生涯の誇りになるはずです。


最近のオリンピックの運営については、幾つかの問題点が指摘されることがあります。
まず、商業化が凄まじいことです。スポンサー企業の問題をはじめ、運営団体、スタッフ、選手などを取り巻く「お金」に関わる戦いは、金メダル争奪以上の激しさだともいわれています。
同じように、金メダルを目指しての戦いは、スポーツマンシップに則っている間は美しいものですが、それも行き過ぎると、さまざまな副作用を産んでしまいます。ドーピングなどはその最たるものです。
国家の威信を示す絶好の機会と考えるのは、ほとんどの国家・地域がそうなのでしょうが、やはり、これも程度もののように思われます。勝者こそがすべてという考え方が行き過ぎれば、本来のオリンピック精神というものを見失ってしまう可能性があります。


「オリンピックが世界平和に貢献する」という考え方に私自身は懐疑的でした。
しかし、今回のオリンピックを観ていて、もしかすると、その可能性を秘めているのかもしれないという気がしました。
初めて女性選手が参加した国が、今回は三か国あり、参加するすべての国家・地域が女性選手を送り込んだそうです。ある陸上競技で、ユニフォームなどにハンデを負いながらも最後尾を全力疾走する女性選手を見ていると、このシーンだけで、今回のオリンピック大会は有意義であったように思いました。
今回の大会には、204の国家・地域が参加しました。これだけの国家・地域が代表を送り込む大会や会議などは他にないはずです。それを考えると、「オリンピックは参加することに意義がある」という言葉が生き生きとして輝いてきます。利害を異にする多くの国家・地域や、主張や価値観を異にする人種や宗教が、何はともあれ一つの目的を持って集まることが、不可能と思われる世界平和の実現への小さな一歩になるのかもしれません。
昨日十五日は、第二次世界大戦終戦の日。私たちはあの戦争の当事国であったことを忘れるべきではありません。
そして、今夜は京都五山の送り火。何も出来ない身ではありますが、ただ、ただ、合掌。

( 2012.08.16 )

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