雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

単衣は白き

2014-05-12 11:00:59 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百六十五段  単衣は白き

単衣は、
白き。
日の装束の、紅の単の衵など、かりそめに着たるはよし。されどなほ、白きを。
黄ばみたる単衣など着たる人は、いみじう心づきなし。
練色の衣どもなど着たれど、なほ、単衣は白うてこそ。


単衣は、
白い色のものが良い。
晴れの儀式の装束に、紅の単(ヒトヘ)の衵などを、ちょいとひっかけているのは良い。それでもやはり、白い方か良いですね。
使い古して黄ばんだ単衣など着ている人は、全く気に入りません。
淡黄色で真珠のような光沢がある練り絹の衣をわざわざ着ることもありますが、やはり、単衣は白くなくてはいけません。



単衣とは、裏地の無い仕立ての衣のことをいいますが、ここでは、衵(アコメ)の下に着るものを指しています。
紅の単の衵、とありますのは、衵は裏地があるのが普通ですが、裏地の無い単衣に仕立てたものもあったようです。夏などはそのようなものを着たようですが、それは引倍木(ヒヘギ)と呼ばれ、これもそれだと思われます。
当時、単衣は白い色のものが多かったようですが、何が何でも白くなくてはいけないというのは、少納言さまのお好みのようです。
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