夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』

2024年02月09日 | 映画(か行)
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』
監督:外崎春雄
声の出演:花江夏樹,鬼頭明里,下野紘,松岡禎丞,岡本信彦,櫻井孝宏,小西克幸,
     河西健吾,早見沙織,花澤香菜,鈴村健一,関智一,杉田智和他
 
封切り日にイオンシネマ茨木にて。
 
ワールドツアー上映って何よって、『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(2023) のときにも書いていますね(笑)。
試しに「ワールドツアーとは」とネットで調べてみたら、
バドミントンとかゴルフとか、いろんなアーティストとかのワールドツアーが出てきたうえに、
「シングルプレイヤーの没入型ストリートモードです」などという説明も出てきて、余計にわからなくなりました(笑)。
この『鬼滅の刃』の場合は、単に世界各地で開催されるという意味のワールドツアーのようですね。
 
さて、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020)を観るまで何も知らなかったのはもちろんのこと、
昨年のワールドツアーの前後にもTVアニメ版を観たことなし、原作も当然未読のまま。
何も知らないまま観ると先日の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を観たときと同じことになるのではと懸念していましたが、
知らない人も虜にしてしまうのが『鬼滅の刃』の良いところ。なんて言うとガンダムファンに怒られるかしら。(^^;
 
本作が全体のどういう位置付けにあって前後はどうなっているのかはさっぱりわかりません。
ただ、わからなくても話についていけるようにはなっている。それどころか面白い。
 
竈門炭治郎はかつて鬼によって愛する家族を惨殺されました。
妹の禰豆子はかろうじて生き残ったものの鬼と化し、禰豆子を人間に戻したい一心で鬼殺隊に入った炭治郎。
 
本作は炭治郎が上弦の鬼を森の中で追いかけるシーンから始まります。
時透無一郎や禰豆子と共にいいところまで鬼を追い詰めているのに、この鬼の足がめちゃ速い。
もう無理か、でもあきらめたくないと思ったとき、以前我妻善逸から聞いた言葉を思い出し、
足の筋肉に全集中、里の人に喰らいつこうとする鬼に追いついた炭治郎。
 
ところが、を斬れば死ぬはずの鬼が死にません。
どうやらその鬼の首は偽りの首で、本当の首は心臓の辺りに潜んでいます。
そうこうしている間に日の出の時間を迎えます。
鬼である禰豆子は、日光を浴びれば燃えて死んでしまう。
 
皮膚がチリチリと焼けはじめた禰豆子を守るべきか、鬼を仕留めに行くべきか。
決められずにいる炭治郎を禰豆子は蹴り上げ、鬼を追えと無言で訴えます。
妹を守れなかったと泣きながら鬼を追いかけ、今度こそ本物の首を斬った炭治郎。
 
ところが、またまたところが!ですよ。
日に当たれば死んでしまうはずの禰豆子が可愛いままで生きていたのです。
人間に戻ったわけではない。
言葉もろくにしゃべれない鬼のままではあるけれど、燃えて死んだりはしなかった。
 
さて、鬼の中に日光を克服するものが現れたことを知った鬼の首領・鬼舞辻無惨は、
禰豆子を喰らえば、自分も日光のもとを歩き回れるようになると狂喜。
なんとしてでも禰豆子を捕まえようと考えます。
 
無惨の考えを知る鬼殺隊の頭目・産屋敷耀哉は、妻のあまねを通じて柱たちを集め、
傷の治癒が早くなる肉体を修得する条件について検証し、
その条件を満たすものを見極めるために柱稽古を開催するんですね。
 
と、私の理解するところを整理するために書いてみましたが、合ってます!?
本作を観に行くほとんどの人がもともとのファンでしょう。
私のように全然知らんけど観に行くという物好きはそうそうおらんかと思いますが、
初見でこれぐらいわかりやすい劇場版って、嬉しくなりませんか。
 
上記を書くために調べたのは、名前のみです。
「おやかたさま」と呼ばれている耀哉の字を調べようと「親方様」で検索しても出てこない。
「なんで?親方様というのがそもそもの聞き間違い?」と思ったら、「お館様」でした。ほーっ。
そっか、「親方」には「様」なんて付けませんよね。
 
いろいろとワケわからんところはいっぱいあります。
柱のひとり、南無三の法被を着ている温厚そうな人、どうしていつも白目で泣いているんですか。
ただ涙もろい人なの?
 
あと、甘露寺さんが巨乳なのは知っていましたが、炊き出しをする女性陣がみんな巨乳爆乳。
冒頭の禰豆子まで巨乳ってどーゆーこと!? ちょっと目が釘付けになってもた。
 
『無限列車編』に比べると戦いのシーンがかなり少ないです。
その分、安心して笑えるシーンも多くて楽しかった。
このTVアニメ版の一気見も老後の楽しみになりそう。

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『コット、はじまりの夏』

2024年02月08日 | 映画(か行)
『コット、はじまりの夏』(原題:An Cailin Ciuin)
監督:コルム・バレード
出演:キャサリン・クリンチ,キャリー・クロウリー,アンドリュー・ベネット,マイケル・パトリック他
 
前述の『燈火は消えず』とハシゴ。同じくなんばパークスシネマにて。
 
第95回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたアイルランド作品。
コルム・バレード監督はこれが長編デビュー作なのだそうです。
 
アイルランドの田舎に暮らすコットは9歳の少女。
両親は牧場を営んではいるものの、父親のダンは酒浸りでギャンブル好きのろくでなし。
金もないのに母親のメアリーは子どもを産み続け、コットの上には姉3人、下には赤ん坊、さらに今も妊娠中。
誰もコットに注意を向ける者などおらず、学校でも変わり者扱いされている。
 
両親はそんなコットを持て余し、夏休み中、家から追い出すことにした様子。
親戚夫婦のもとに預けることで話がまとまったらしい。
預けた先にいつまで預かってもらうか期限など切らずに、
好きなだけどうぞと言えばいいさという両親の会話を聞いてしまう。自分は要らない子なのか。
 
父親の車に乗せられてたどり着いたのは、メアリーのいとこアイリンとショーン夫婦の家。
手入れの行き届いた家、豊かな自然、愛情深い夫婦。
優しさ溢れるアイリンと、ぶっきらぼうで目すら合わそうとしないが善人だとわかるショーン。
生まれて初めて自分の居場所を見つけたコット。
 
「珠玉の」と言いたくなる作品に巡り会うことは年間にそう何度もありません。
これはそう言いたくなる。
 
ろくでなしどころか人でなしであろう父親。
コットを愛してはいるけれど、父親の言いなりになっているのであろう母親。
姉3人は意地悪なことこのうえなく、赤ん坊は一日中泣きわめいている。
こんな環境でまともに暮らせるはずもなく、コットはいまだにおねしょをしています。
アイリン宅でも預けられた初日におねしょをしてしまって、叱られると思いきや、
「まぁ大変。このマットレスはずっと湿っているのを忘れていた」なんてアイリンが言ってくれる。
 
ほとんど口をきかないショーンとふたりで過ごさざるを得なかった日、
その場を離れたせいでショーンから怒られます。
言い過ぎたと思ってもそれを口に出せないショーンの謝り方もいい。
テーブルの上にそっと置いて行くひとかけらのお菓子。
 
人に怯えながら生きていたコットが、アイリンとショーンのもとで笑顔を見せる。
彼らが自分たちの息子を亡くしていたことをいけずなババァから知らされてショックを受けるも、
コットが単なる身代わりとして大切にされていたわけではないことがわかるから、
その後も亡くなった息子の服を着続ける描写にジーンと来ました。
 
元の家族のもとへは返さないで。心底そう願いました。
血のつながりだけがすべてではない。

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『燈火は消えず』

2024年02月07日 | 映画(な行)
『燈火は消えず』(原題:燈火闌珊)
監督:アナスタシア・ツァン
出演:シルヴィア・チャン,サイモン・ヤム,セシリア・チョイ,ヘニック・チャウ,ベン・ユエン,
   シン・マク,アルマ・クォク,ジャッキー・トン,ミミ・クン,レイチェル・リョン他
 
2日連続で仕事の後なんばパークスシネマに向かいました。
去年の暮れはそんな時刻になると新御大渋滞で、上映開始に間に合わなかったことも。
しかし年明けはたまたまなのか、がら空きとは言わないまでも空き空きで、
前日は18:05からの『レザボア・ドックス』、この日は18:00からの本作の上映開始に間に合いました。
 
タイトルの「燈火」は「とうか」ではなくて「ネオン」と読ませています。
香港夜景を彩っていたネオンサインが2010年の建築法改正によって撤去されるように。
2020年には元の約9割が姿を消してしまったそうです。
本作はネオンサインの職人だった夫を亡くした女性が主人公。
台湾出身の有名女優シルヴィア・チャンが監督。主演も彼女自身が務めています。
 
大好きだった夫のビルが亡くなり、妻のメイヒョンは悲しみの淵で立ち上がれずにいる。
ボーッとしたまま暮らしていたある日、夫の衣類の中から鍵を見つける。
それは昔気質のネオン職人だったビルの工房の鍵。
訪れてみると、そこでは今も誰かが作業している痕跡があった。
 
それを一人娘のチョイホンに話すと呆れ顔。
ビルがネオン職人を辞めてからもう長いのに、工房がまだ使われているはずがなかろうと。
しかし納得できないメイヒョンが再び工房に行くと、若者がいるではないか。
 
彼の名前はレオ。ビルの唯一の弟子なのだと言う。
ビルが死んだことを知らなかったレオは、家賃などの支払いに困り果てていた。
一方のメイヒョンは、夫に弟子がいたことも、まだ工房を開けていたことも初耳。
ビルは最後に作りたいネオンサインがあったらしく、
メイヒョンはレオに教えてもらいながら夫の願いを叶えたいと思うのだが……。
 
冒頭のビルとメイヒョンが一緒にいるシーンがとても好きだったのですが、
途中からなんだかメイヒョンに腹が立ってきます。
夫婦仲バッチリだと思わせられた冒頭だったのに、いつも不機嫌なチョイホンの話によれば、
おおらかで優しくて面白かった父親に対して、母親はまったく理解がなかった。
あれほどビルが情熱を注いでいたネオンサインの仕事も、メイヒョンは収入にならないと言って辞めさせた。
チョイホンが進学を望み、そのために金を工面しようとしたビルに対しても、
娘のために借金するつもりかと言い放ったメイヒョン。
 
つまり、ここでメイヒョンがしようとしていることは、ビルのためというよりも、
ビルのことをないがしろにしてきたメイヒョンの自己満足のためのように感じられます。
 
母親に冷たくしきれないチョイホンが、メイヒョンの老後を思って年金の契約などをしても、
そんなのは要らないから断れと言い、じゃあ生活費はどうするつもりかと聞かれると、
チョイホンに養ってもらうからいいとのたまう。そりゃ娘は呆れてしまうでしょう。
 
そんなこんなでイライラさせられはしたのですが、とても温かなエンディングに唸りました。
終わりよければすべて良し。なんかええ映画を観たなぁという気持ちに。
 
エンドロールでは何人もの本物のネオン職人の略歴と共にその作品が映し出されます。
ネオンサインぎらぎらの街なのに、下品ではない。どこか惹かれます。

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『サン・セバスチャンへ、ようこそ』

2024年02月06日 | 映画(さ行)
『サン・セバスチャンへ、ようこそ』(原題:Rifkin's Festival)
監督:ウディ・アレン
出演:ウォーレス・ショーン,ジーナ・ガーション,エレナ・アナヤ,ルイ・ガレル,セルジ・ロペス,クリストフ・ヴァルツ他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『レザボア・ドックス』の次に。
 
あっちもこっちも性加害のニュースばかりで本当に嫌になっちゃいます。
アレン監督も前作公開時にいろいろと取り沙汰されて、アメリカでは未公開の憂き目に遭いました。
『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)が大好きだった私は、やっぱりそんな人だとは思いたくない。
 
……と思っていたのですけれど、これは全然駄目だったなぁ。(T_T)
 
かつて大学で映画について講義していたこともある作家モートは、
映画の広報担当者として活躍する妻スーに同行し、スペイン北部バスク地方の街サン・セバスチャンへ。
この街では映画祭が開催されているのだ。
 
スーが現在広報を担当しているのは、フランス人の若くてイケメンの監督フィリップ。
どうやらスーはフィリップにぞっこんらしいのが見た目にも明らか。
 
スーの浮気を疑うモートは不安のあまり体調不良に陥り、地元の女性医師ジョーの診察を受ける。
ジョーの夫は自由奔放な芸術家パコで浮気もし放題だから、夫婦間の喧嘩が絶えない。
そんなジョーのことも気になりはじめるモートだったが……。
 
モート役のウォーレス・ショーンは、言っちゃ悪いけどハゲちび小デブ。
大画面で見ていたい人ではありません。ごめんなさい。
この人の妻役がもうオバハンではあるというもののイケイケお色気たっぷりのジーナ・ガーション
彼女がモートと結婚したのは知性に惹かれたからであって、
作家だといってももう小説を書けそうにもないモートに興味はありません。
 
スーが若い監督に入れ上げるのもたいがい「オバハンの妄想」ですが、
まったくイケてない中年男が美人女医と良い仲になれるなんて考えるのは確実に「オッサンの妄想」
ワインを飲んで酔ったふうのジョーに向かって、「酔ったのはワインのせい?
それとも僕との魅力的な会話のせいかな」なんてほざくシーンはゾワーッとしました。(--;
 
だから、大嫌いなんだってば、オッサンとかオバハンの妄想。
ものすごくがっかり。
『サンクスギビング』の序盤で無残にも頭をちぎられたジーナ・ガーションが
最後まで美しいまま出演させてもらえていたことだけで良しとしましょかね。
 
あー嫌い。大嫌い。
年間ワースト3入りする気配すらある。まだ2月初旬だけど。(^^;

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『レザボア・ドッグス』【デジタルリマスター版】

2024年02月05日 | 映画(ら行)
『レザボア・ドッグス』(原題:Reservoir Dogs)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル,ティム・ロス,マイケル・マドセン,クリス・ペン,スティーヴ・ブシェミ,
   ローレンス・ティアニー,カーク・バルツ,エディ・バンカー,クエンティン・タランティーノ他
声の出演:スティーヴン・ライト
 
1991年のアメリカ作品のデジタルリマスター版がなんばパークスシネマで上映されていました。
クエンティン・タランティーノの名を一躍世に知らしめた作品として有名ですね。
2005年のイギリスの映画雑誌『エンパイア』が発表したインディペンデント映画ベスト50では1位に選ばれています。
当時の対抗馬は『ユージュアル・サスペクツ』 (1995)などなど。
 
それはきっと私が『パルプ・フィクション』(1994)を教えたからだと思います。
本作のDVDも弟の部屋にあったのを思い出し、観に行ったというわけです。
 
ロサンゼルスの裏社会を牛耳る大物ジョーは宝石店に押し入ることを計画。
息子エディを司令塔に指名し、確かな腕を持つと見込んだ6名を実行メンバーとして集める。
もしもお互いの本名や出身地などを知れば、何かの拍子にポロリとそれを口走ってしまうかもしれないと、
素性を隠すためにコードネームで呼び合うことに。
 
ジョーが決めたコードネームは、ミスター・ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、ミスター・オレンジ(ティム・ロス)、
ミスター・ブロンド(マイケル・マドセン)、ミスター・ピンク(スティーヴ・ブシェミ)、
ミスター・ブルー(エディ・バンカー)、ミスター・ブラウン(クエンティン・タランティーノ)。
 
計画は簡単に実行できるものと思われたが、警報が鳴るが早いか警官が駆けつける。
ホワイトは、銃で撃たれて重篤なオレンジを抱えて車に乗り、なんとか集合場所の倉庫にたどり着く。
しばらくして現れたピンクは、メンバーの中に警察のイヌがいるに違いないと主張。
次にやってきたブロンドは、現場から人質として連れてきた若い警官を拷問し、誰がイヌかを吐かせようとするのだが……。
 
それぞれのキャラクターがよく書き込まれていて面白いですよねぇ。
自分で脚本を書いて、出演もして、明らかな低予算でこんな1本を撮り上げたタランティーノ。
そりゃみんな大騒ぎしたことでしょう。
 
私も30年以上ぶりに観ましたが、やっぱり楽しい。グロいシーンも多いけど。
弟のお気に入りだった作品であることも含めて、いろいろと懐かしくなります。
エディを演じたクリス・ペンはその後40歳のときに亡くなり、もうとっくにこの世にいません。
一方で、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、スティーヴ・ブシェミといった俳優たちは、
相当なオッサン、いえ、ジジイになってはいるものの、まだ現役。
 
懐かしさでいっぱい。
観に行ってよかったと思います。

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