夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『EO イーオー』

2023年05月15日 | 映画(あ行)
『EO イーオー』(原題:EO)
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:サンドラ・ドルジマルスカ,ロレンツォ・ズルゾロ,マテウシュ・コシチュキェヴィチ,イザベル・ユペール他
 
シネ・リーブル梅田にて2本ハシゴの1本目。
 
第95回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたポーランド/イタリア作品。
監督はポーランドの鬼才と言われるイエジー・スコリモフスキ。
鬼才か奇才かいつも迷います。そして、結局変態だわというところに落ち着く(笑)。
だけど本作はもっと変態度が高いと身構えていたため、意外に穏やか(?)でした。
 
主人公はロバ。CGで擬人化されたやつとかじゃないですよ。
正真正銘ホンモノだから、もちろん何も喋りません。嘶(いなな)いたり、鼻息荒くなったりするだけ。
 
サーカス団の心優しき美女カサンドラの相棒として大切に扱われてきたロバのEO。
あるとき突然、動物愛護を理由にサーカス団から引き離される。
カサンドラとも離ればなれになったEOは、ポーランドからイタリアへ。
 
物言わぬロバのロードムービーとは、なんと斬新。
サーカス団から没収されたEOがどれだけ手厚く扱われるのかと思いきや、
相変わらず荷物を運ばされたり子どもを乗せさせられたり。
 
トラックから抜け出して街をうろついているところを捕まえられるけど、
捕獲者がサッカーの試合に出場している間はEOもそれを観る。
すると勝利の馬と崇められて、祝勝会にも連れて行かれます。
それが災いして、乱入したライバルチームに殴打され、死にそうになる。
 
けれど死なせてはもらえない。
死の淵から生還したEOはまたしても働かされ、やがてサラミになる運命。
 
EOが何を思っているのかを考えると、なんだか悲しくなってしまう。
ロバって、とはえらく扱いが違うのですね。
 
なんと表現してよいかわからない作品です。
ロバにもこんなにも表情があるのだということを知りました。
人間って、勝手です。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『帰れない山』 | トップ | 『レッド・ロケット』 »

映画(あ行)」カテゴリの最新記事