夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『コーヒー&シガレッツ』

2005年10月26日 | 映画(か行)
『コーヒー&シガレッツ』(原題:Coffee and Cigarettes)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:イギー・ポップ,トム・ウェイツ他

コーヒーとタバコにまつわる11本の珠玉の短編集。
『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)で
きっと日本にもファンの多いジム・ジャームッシュ監督が
「こんな組み合わせだったら楽しいな」と思った役者たちに出演交渉。
18年に渡って撮りためたという本作は、ひたすら幸せ。

1話目は『変な出会い』。
『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)の監督・主演のロベルト・ベニーニが、
初対面の相手と弾まない会話。
なんとか場をもたせてくれるのがコーヒーとタバコ。

こんな風に、いろんな立場の2人が喫茶店で交わす、
どうでもいい会話を隣で聞くような数分間、11編。
すべて、役者が実名のまま登場します。

『カリフォルニアのどこかで』では、
ロックの大御所、イギー・ポップとトム・ウェイツが共演。
「禁煙したから大っぴらにタバコを吸える」と
わけのわからない論理でタバコをおいしそうに吸い、音楽と医学について語ります。
DVD特典の監督インタビューによれば、
脚本を読んだトム・ウェイツが実に不機嫌な顔で
「これのどこがおもしろいんだ」と撮影現場に登場したそうですが、
その不機嫌さがまんま表れた本作は逸品。

前述の『ライフ・アクアティック』に出演していた
ビル・マーレイやケイト・ブランシェットも登場。
マーレイのメイド姿、ブランシェットの1人2役、最高。
ブランシェットのオーダーはちょっとかっこいい。
「エスプレッソを大きめのカップで。温めたミルクを添えて」。

最終話の『シャンパン』は、老いた警備員の休憩時間中の会話。
コーヒーをシャンパンに見立てて乾杯。
ほかのどの話にもコーヒーカップで乾杯するシーンがあり、
乾杯すれば不穏な空気もどこへやら。

映画をそこそこ観る人でなければ意味不明な会話も。
たとえば、『いとこ同士?』。
1人の携帯が鳴り、電話の相手に向かって「スパイク?」と話しかけます。
これを聞いていたもう1人が、後で「今のはスパイク・リー?」と尋ねます。
それに対し、「ちがうよ。スパイク・ジョーンズだ」。
スパイク・リーは『マルコムX』(1992)の監督。
スパイク・ジョーンズは『マルコヴィッチの穴』(1999)の監督。
元ネタをご存じなら楽しさ倍増です。

観ればまちがいなく、コーヒーが飲みたくなります。
コーヒーを飲んでも十分寝られる私は
立派なコーヒー中毒?

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