私たちが使う言葉は、もろ刃の剣です。
相手を喜ばせることもできますが、傷つけることもあります。
思春期の中学生は傷つきやすいのです。
教師の何気ない一言で、生徒を傷つけることがあります。
そうなると、たいへん。
とくに、生徒の思いや心情に、土足で踏み込んだときや教師の感性が鈍っていて、「いま、ここでそれを言うの」と、生徒が思うことがあります。
私も、教職を重ねるほどに、学級担任ほど、その子を知らないので、三中の子にはかなり気を遣います。
担任の一言に傷ついた生徒のことを聞くと、その担任と話して、どこがどう誤っていたのかを考えるようにします。
一方、子どもを笑わせせることはかなりむずかしいです。
ジョークやおもしろいことを言って、笑わすのなら、さほど難しくはないです。
しかし、笑顔にするのは、その子のこころにエネルギーを注入しなければならないので難しいのです。
そのためには、その子やその子のうしろにある背景を理解しておく必要があります。
この意味で、プロの教師は、子どもに学習をさせるプロであることはいうまでもなく、対人関係のプロでなければ務まらないと思うのです。
「タマネギは人を泣かせることができる。
しかしながら、人を笑わせることができる野菜は、まだ発明されていない。」
アメリカの喜劇俳優であるグルーチョ・マルクスは、そう言いました。
彼は、「悲劇よりも喜劇の方が難しい」とつぶやいたそうです。