箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

2017年の終わりにあたり

2017年12月31日 09時47分33秒 | 教育・子育てあれこれ


2017年の最後の日を迎えました。

2017年をふりかえると、近年の脳科学の発達のともに、A I(人工知能)が話題になりました。

科学技術が進歩した一方で、今年も自然災害が猛威をふるいました。

台風では、私の地域も久しぶりにけっこうな被害が出ました。

科学がいくら発達したとしても、人間は大自然の力にはとうてい及ばないことを、あらためて実感します。

近年、子どもの貧困の問題がクローズアップされています。

また、箕面市でも年末に、虐待で4歳の子が、残念ながらいのちをなくしました。

閉塞感が漂う時代で、中学生が自分の将来に夢を描きにくい世の中です。

翻って、私の中学生時代は、「スポ根」のアニメが流行り、「努力すれば報われる」と多くの人が信じていました。

実際、努力したら報われました。

思えば、当時の日本社会は、就労→家庭→教育・子育てが循環していました。

大学4年で、好景気の中、就職の内定をとる→4月から「就労」。終身雇用制と年功序列制で給料が上がり、経済的に安定するので、人生の設計がしやすい。

いまでは、一生シングルで過ごす人もいますが、当時の価値観では結婚が主流で、男性の経済的な安定は、結婚を可能にしました。子どもが産まれ、「家庭」をもつ。

父親は「モーレツ社員」として家庭を顧みず働き、子どもの「教育・子育て」は、おもに母親(その当時は、専業主婦が多かった)が担い、「いい高校」「いい大学」への進学を目指す。

大学を卒業すると子どもは、就職する。

このように、就労・家庭・教育・子育ては循環していました。

しかし、いまやこの循環は大きく崩れてしまっているのが、いまの中学生がいる日本社会です。

その意味で、中学生が将来に希望をもちにくいのかもしれません。

しかし、私は思います。このような循環は、戦後の高度経済成長期の、わずか数十年続いてきただけです。

その循環の一方で、子どもに関する問題も噴き出しました。

熾烈な受験戦争、偏差値重視によるひずみが生まれ、「教育ママ」という言葉が生まれました。

青少年による校内暴力、非行、家庭内暴力、金属バット事件などが社会問題となったのもこの頃でした。

もう、いまや以前の循環にしがみつく価値は少ないですし、その必要はありません。


だから、いまの時代にふさわしい価値観を子どもたちに伝えたい。

それは、
個人としては、
思考力・判断力・表現力に結びつく知識・学力をしっかり身につけ、自立すること。


他者との関係においては、
人を大事にすること。
人とつながること。
文化や考え方のちがう人とも、おりあいをつけ、合意をつくりだすこと。
人を助けて協力しあうこと。
人にかかわり、その人が喜ぶことで、自分の喜びになること。

2学期末の学校だよりに私があいさつで書いた「個」と「集団」は、このような時代背景を意識しています。


では、来年の三中の生徒たちの成長を願い、保護者のみなさんのご健勝とご家族のご多幸を祈り、2017年のブログを終えます。

いいお年をお迎えください。