箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

メロディが癒してくれる

2017年12月20日 14時16分50秒 | 教育・子育てあれこれ


みなさんのなかには、歌を聞いて勇気づけられたとか元気になったという経験がある人も多いのではないでしょうか。

それは歌詞が前向きでポジティブな内容になっていることが大きい理由でないでしょうか。


たとえば、秋元康さんがつくる歌詞のなかには、よくポジティブな言葉がでてきます。

「365日の紙飛行機」には、

「折り方を知らなくても いつのまにか折れるようになる
それが希望 推進力だ さあ、楽しくやろう」


また、「風は吹いている」は、東日本大震災からの復興を願った歌詞になっています。

「それでも未来へ 風は吹いている
頬に感じる命の息吹
それでも私は強く生きていく」

このような前向きな歌詞に惹かれる人も多いでしょう。

私は秋元康さんは、素晴らしい詩のセンスをお持ちだと、いつも思います。

ただ、大勢の人々のなかには、今はがんばれとか、前を向いて歩んでいこうという歌は受け入れられないという状況の人もいるかもしれません。

地震で家族や家をなくした人が、悲しみや絶望感に打ちひしがれ、とても前向きにはなれない。

また、中学生の中にも、信頼していた人から裏切られ、大きな傷を負っている生徒が、そうかもしれない。

ポジティブは、悲しみに打ちひしがれている人には、かえってあだになることとあるかもしれません。

わたしは、前にもブログで書きました。
よく「悲しみを乗り越えて」と言いますが、悲しみは乗り越えることなんてできないと思います。

人は悲しみに打ちひしがれ、悲嘆にくれたあと、なんとか起き上がって、その悲しみを引きずりながら、それでも悲しみとともに生きていこうとするのが本当のところではないかと思うのです。

悲しみに沈んでいる間は、歌詞はいらないのかもしれません。

歌詞のないメロディだけの曲、たとえばピアノだけの曲の方が、むしろ自由に自分の温度で聴く人が受け止めることができるのかもしれない。

そのメロディが、その人にあわせ、悲しみや傷とその人自身を切り分け、悲しみや傷を負ったまま、それでも前を向いて歩いていこうという気持ちにさせてくれるのです。

メロディが人を癒します。

これが楽器だけでメロディを奏でるインストゥルメント曲のよさだと、私は思います。