ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

読書

2021-04-14 21:44:21 | 日記

枝ばかりで茶色一色だった森に、柔らかな緑色がちらほら見え始めた。

やっと春が来た~!

春になると、どこか遠くへ行きたくなる。

実は昨年コロナで中止したお伊勢参りに、今月こそは出かける計画をしていた。

ところが、今回も中止することに、、、

コロナが再び増加傾向にあるとのことで、夫がやめようかと言い出して迷っていたのだが、いつもは元気な夫が珍しく体調不良になってしまったことで中止は決定的になった。

飛行機に乗れば、あっという間に行けそうだが、なかなか簡単には行けないものだ、、、

旅行が中止になって暇な時間が増えたので、好きな読書をしている。

最近読んで面白かったのが、内館牧子さんの「十二単衣を着た悪魔」

平安時代の源氏物語の世界へタイムスリップしてしまった若者が、戸惑いながらも弘徽殿女御(こきでんのにょうご)の個人的な陰陽師になって、平安時代の世で暮らし始めるという物語。

難しくてほとんど源氏物語の内容を知らなくても、この小説を読むとなんとなく源氏物語がわかってくるというのがいい。

思わず古典の源氏物語に挑戦してみようかなという気にもなってくる。

ところで源氏物語といえば光源氏だが、この小説では源氏物語の中で数えるほどしか登場しない弘徽殿女御という高貴な女性にスポットライトが当てられている。

なんでも著者の内館牧子さんが、源氏物語の中で一番好きなキャラクターなんだとか。

弘徽殿女御というのは桐壺帝の正妻で、最も格の高い弘徽殿に住み権勢を誇った女性となっている。

しかし、愛する夫の桐壺帝は桐壺更衣ばかりを寵愛し、弘徽殿女御の所にはほとんど来ることは無かった。

そんなわけで女としては寂しい人生だったが、その屈辱感や悔しさをバネに桐壺帝との間にできた我が子を帝にすることに命をかけた。

そして我が子の地位を脅やかすかもしれない桐壺更衣の産んだ子、光源氏を激しく憎んでいた、、、というので、源氏物語では弘徽殿女御は底意地が悪い女性となっているそうだ。

しかし「十二単衣を着た悪魔」の弘徽殿女御は、確かに平安時代では生きにくそうだが、現代に生まれていれば良かったと思うような男前の性格で、男に媚びることなく、したたかに強く逞しく生きていく女性として好意的に描かれている。(内館さんが好きだとおっしゃるだけのことはある)

他にも光源氏と六条御息所や藤壺などの女性たちとの関係や感情が面白かったが、つくづく1000年経っても人間は変わらないものだと思いつつ読んでいた。

そして物語の後半、平安の世で夫婦になった妻と子を亡くした主人公の感情の動きに心を打たれた。大切な人を失った切なさがひしひしと伝わってきて涙が止まらなかった。

というわけで、クスッと笑う場面あり涙する場面ありで、読み終えた今はちょっとした喪失感がある。あーもう読み終わってしまった、、、という感じがしている。

それにしても旅行は行けなかったが、おもしろい本に出会ったので良いとしよう。

さて次は何を読もうかな。。。

 


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