RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

世紀の日本画 (後期・その2)

2014-03-21 21:30:00 | 美術
見てきました

東京都美術館

会期は2014年1月25日から2014年4月1日。

今回の「世紀の日本画展」
東京国立博物館で開催の「クリーブランド美術館展」「人間国宝展
この3つの展示で『日本美術の祭典』とされています。
(東京国立博物館開催の展示はすでに終了しています。)

2月に、前期を見てきましたが、今回、後期を見てきました。
(記事はこちら→「世紀の日本画 (前期)」)
前期と後期ですべての作品が入れ替わりました。
後期は2回に分けて書いていきます。
「その1」は描いたので今日は「その2」です。

《第4章 花。鳥。そして命を見つめて》
ここでは花鳥風月といったものが展示されています。

田渕俊夫「流転」
画面いっぱいに描かれているのは薄。
左から右へ、春夏秋冬の薄を描いています。
生き生きとした季節から枯れたものまでリズミカルに描かれています。
細いのにまっすぐ立つ力強さを感じます。
「流転」という題にふさわしく、繰り返す薄を見ているとなんだか人生の不思議を考えてきてしまいます。

今井珠泉「飛翔」
黄金の背景に生い茂る木々。
そこに飛んできたのは大きな鷹。
力強く、また風をまとっているかのよう。
先輩の告別式に出席した際に実際に目にした光景だそう。
なんて素晴らしい光景。
その景色を描きまとめるのも素晴らしい。

齋藤満栄「秋晨」
画家の毎年秋の楽しみは静岡県の三島へ菊を見に行くこと。
そしてそれを描いているのだそう。
赤と白の大きな菊が咲き誇っています。
ぼやけた背景が幻想的に見せています。

前田青邨「芥子図屏風」
6曲1双の屏風です。
尾形光琳の「燕子花図屏風」を真っ先に連想させますが、そこから影響を受けているそうです。
金地に緑色の芥子が目にも鮮やか。
左隻にはつぼみの芥子。
右隻には真っ白な花を咲かせた芥子。
眩しいぐらいです。
葉は葉脈が見えるほど丁寧に描き込まれています。
華やかです。

小林古径「孔雀」
屏風です。
緑色の羽根を広げた孔雀。
その美しさは神々しいほど。
堂々とした姿、色彩の美しさ。
惚れ惚れしてしまいます。

小茂田青樹「虫魚画巻」
前期と後期で巻替えで後期には金魚、蛾、鰻が描かれていました。
特に美しいのは蛾。
暗闇の中、灯りに集う虫たちは幻想的です。

《第5章 風景の中で》
ここには風景画が展示されています。

速水御舟「比叡山」
御舟が群青中毒にかかっていたときの作品。
比叡山が青の濃淡で描かれています。
山の端が白くなっているため輝いているようにも見えます。
静かな美の世界。

近藤浩一路「十三夜」
今までこの画家を知らなかったことを後悔しました。
それぐらい好みの作品。
墨で描かれた作品です。
仏塔を背景に、そこに向かう道が描かれています。
街灯がぼんやりと道と通行人を照らしています。
夜空には星がきらめきノスタルジックな雰囲気も。
"光と影の魔術師"、"外光水墨派"などと呼ばれていたようですが、その名のとおり。
幻想的で美しい世界です。

平山郁夫「絲綢之路天空」
シルクロードの砂漠を行くラクダの隊商。
褐色の地は永遠に続いているかのよう。
シルエットで描かれたラクダたちが効果的。
乾いた空気まで伝わってきます。

今村紫紅「熱国之巻(熱国之朝・熱国之夕)」
紫紅がバンコクなどに行った際に見た景色から着想を得た作品。
架空の熱国です。
立ち並ぶヤシの木、波打ち際の鳥、赤や黄の砂漠。
にぎやかで楽しい日常が描かれています。

福王寺一彦「螢(二)」
夜の闇。
ところどころ明るいのは蛍の光。
静かで幻想的な夏の夜です。

小田野尚之「くつおと」
今は廃駅となっている博物館動物園駅。
かつて上野公園にあった京成線の駅です。
東京都美術館の近くにあり、現在も駅の出入り口は見ることができます。
階段を上ってくる2人の姿が描かれています。
逆光となっているため表情は見えません。
なんだか静かで冷たい空気が流れ、幻想的です。

岩橋英遠「道産子追憶之巻」
約29mにもなる長ーい作品。
北海道の四季を夜・朝・夕と1日の時の流れで表現しています。
始まりは冬の夜。
冬眠する熊、フクロウが描かれ、白樺の木々のすきまから真っ赤な太陽が顔を出します。
白木蓮の花が幻想的。
って今書いてて思ったのはあれは白木蓮だったのか、辛夷だったのか。。。
この2つ、いまいち見分けつけられないのです。。。
雪が解け木々が色づく季節がやってきます。
激しい雨を抜けると緑が広がり空には虹。
田んぼの上を無数のとんぼが飛びかい、夕日で山際は真っ赤に染まります。
稲を刈ると少しずつ雪が景色を覆ってきます。
ひっそり静まる景色。。
豊かな自然が感じられとても美しい作品です。
近くでじっくり見て、離れて全体を眺めて。
どちらから見ても素晴らしい。

《第6章 幻想の世界》
ここでは画家の心眼に映った幻想の世界が展示されています。

中島清之「緑扇」
夏の夕日に照らされた竹林。
折り重なる葉のリズミカルな配置が面白い。
金・銀箔がきらめきを与えています。

郷倉千靱「西王母」
丸みを帯びた西王母が描かれています。
顔つきや体つきはインド彫刻的です。
フクロウや孔雀などが描かれ異国の雰囲気あふれる作品です。

馬場不二「松」
金地に描かれた力強い松。
病気により体力低下していた中、"死んでも描き上げる"と6月から8月下旬の間に書き上げ院展に出品。
院展開催中に亡くなりました。
太い幹からは命のきらめきと強さを感じます。

守屋多々志「無明」
4曲1隻の屏風です。
月に照らされた竹林。
そこに階段があり尼僧が歩いていきます。
左上には大きな月。
白い梅の花が静かに光ります。
大胆な構図がこの作品をより一層不思議なものにしています。
無明とは心理に暗いこと、だそう。

吉村誠司「硝子を透して」
空中に浮かぶようなメリーゴーランドにピエロに、と楽しそうなモチーフが描かれています。
背景が暗いためそれらが浮かび上がるように見え、静かな雰囲気があり幻想的。
脳腫瘍の手術をし、復帰後3か月で描き上げたそう。
それゆえの描く楽しさがつまっているような印象です。

《第7章 人のすがた》
最後です。
人を描いたものが展示されています。

片岡球子「面構(歌川国芳)」
1966年から彼女がライフワークとしていた「面構」
画面右側に描かれた歌川国芳が左側に描かれた国芳作品を眺めているというもの。
大胆な構図です。
片岡球子は国芳の権力にも屈しなかった自由な心意気に感銘を受けていたそう。

北野恒富「茶々殿」
白銀調という色彩を抑えた大正画風に描かれたもの。
10代初めの茶々を描いた作品。
美人と名高い茶々ですがどことなく寂しげな表情に見えます。

手塚雄二「市民」
上野の国立西洋美術館にあるロダン「カレーの市民」を描いたもの。
頭を抱える人など重苦しい雰囲気の人々が描かれています。
彫刻を日本画で表現するという面白い作品。
シルエットで描かれて力強さを感じます。

倉島重友「川風」
光が当たり眩しく輝く水面を背に立つ少女。
インド北部カシミールの光景。
水つぼを運ぶという大変ですが重要な日課。
目に力強さを感じます。

平山郁夫「日本美術院血脈図」
紅白の幕を垂らした日本美術院を背景に、馬に乗り、右手を挙げている岡倉天心、その周りを横山大観、下村観山、菱田春草ら創立メンバーが取り囲むようすが描かれています。
手前には安田靫彦や小林古径、前田青邨も。
白い鳩が飛び、全体的に輝く黄色が使われ眩しい感じです。
日本美術院への敬意、といった感じでしょうか。
その歴史は素晴らしいものだなぁ、と思います。

以上になります。
とてもおもしろい展示でした。
錚々たるメンバーの作品だらけで近代日本画の流れが分かりやすかったかと思います。
秋には近代美術館で日本美術院創立メンバーの一人、菱田春草展もあります。
楽しみです。



ブログランキングよかったらお願いします