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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

経済学の十大原理

2011-06-17 | 日記
 マンキューの説く「経済学の十大原理」をまとめておきます。

 簡潔にするために一部、タイトルを変更している記事もあり、引用の形式をとらずにリスト化していますが、実質的には引用です。



★人々はどのように意思決定するか

 1 人々はトレードオフ (相反する関係) に直面している

 2 あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である

 3 合理的な人々は限界的な部分で考える

 4 人々はインセンティブに反応する


★人々はどのように影響しあうのか

 5 交易 (取引) はすべての人々をより豊かにする

 6 通常、市場は経済活動を組織する良策である

 7 政府は市場のもたらす成果を改善できることもある


★経済は全体としてどのように動いているか

 8 一国の生活水準は、生産性によってほぼ決定される

 9 政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する

 10 インフレ率と失業率の間には短期的なトレードオフが存在する



 要は「個人レベル」→「相互作用」→「社会全体」という順序で分類されているのだと思います。



 このブログは政治・経済を(主な)テーマに、多様な内容を扱っています。つまり政治経済全般をテーマにしています。上記第5原理によれば、(このブログも)なんらかのテーマに特化したほうがよいのではないかという感じもしますが、(私は)全体的に考えることが重要だと思いますので、特化せず、このままいこうと思います。

 なお、上記のような考えかたをしているからか、私はマクロ経済学のほうが好きですが、この本のミクロ経済学の解説は楽しいです。

アメリカの景気は回復しつつある

2011-06-16 | 日記
REUTERS」の「脳裏よぎる米スタグフレーション、ギリシャ問題加わり強まる不安心理」( 2011年 06月 16日 15:08 JST )

 [東京 16日 ロイター] 米国で景気減速とインフレ高進を示すマクロ指標が出たことから、市場は再びリスク回避に動いている。これまでのソフトパッチ(景気の一時的後退)懸念ではない米スタグフレーションの可能性を警戒し株価は大きく下落、金利も低下した。

 日米の自然災害の影響が一巡すれば景気は回復に向かうとの見方も依然多く、市場は過剰反応との指摘もあるが、ギリシャ問題も加わり、市場のネガティブ心理はさらに強まっている。 

 <米国で景気減速とインフレ高進の指標>

 米景気減速がソフトパッチ(一時的後退)では済まない可能性をマーケットは感じ始めている。6月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス7.79と、前月のプラス11.88から大幅に悪化。同指数がマイナスとなるのは2010年11月以来で、プラス12.50を見込んでいたエコノミストは予想を大きく裏切られた。5月米鉱工業生産もプラス0.1%増と弱かった。 

 さらに5月の米消費者物価指数(CPI)のコア指数が前月比0.3%の上昇。前月比での上昇率としては2008年7月以降で最大となった。デフレ警戒から一転インフレ高進を警戒する必要性が出てきたとして、市場はリスク回避に動き、米ダウは178ドルの大幅安、米金利も再び3%を割り込んだ。

 ICAPエクイティーズ(ニューヨーク)のマネジング・ディレクター、ケン・ポルカリ氏は、悪いマクロ指標が毎日のように出てくると、経済の軟調局面は一時的に過ぎないというだけでは済まなくなると話す。 米景気減速とインフレ高進が同時に進めばスタグフレーションが起きる可能性が強まる。インフレを抑制するか景気刺激を続けるか、米連邦準備理事会(FRB)は難しい問題を抱えることになる。金融緩和後退が過剰流動性を減少させ、景気も減速すればインフレを抑制するという期待もあるが、歴史的にみれば一度スタグフレーションが始まると止めるのはやっかいだ。 

 相変わらず日本株は国内要因よりも海外要因に敏感で、日経平均は一時150円を超える下落と久々の大きな値動きとなった。アテネで財政緊縮に反対するデモが起きるなど、ギリシャ債務問題に再び暗雲がたちこめていることも嫌気された。 

 ただ、いずれ米景気は回復するとの見方も依然多く、市場の反応は「過剰ではないか」(国内証券投資情報部)との指摘もある。「米輸出はそれほど悪くなっていない。日米の自然災害による影響が一巡すれば景気は回復するとみている」(トヨタアセットマネジメント・チーフストラテジストの濱崎優氏)。

 また米コアCPIが上昇したのも新車と衣料品の価格が上昇したためであり、「サプライチェーン途絶に伴う供給制約の影響が現れた可能性が高い」(シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏)という 。衣料品も値上げが続けば、需要を抑制するため、高いCPIの伸びは一時的な可能性もある。米国も財政政策、金融政策ともに手詰まり感が漂っているが、悲観論が支配しているわけではない。 

(後略)


 米国で景気減速とインフレ高進を示すマクロ指標が出た、と報じられています。



YOMIURI ONLINE」の「米失業率、2か月連続悪化…製造業で震災影響も」( 2011年6月3日23時30分 )

 【ワシントン=岡田章裕】米労働省が3日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の就業者数は前月比5万4000人増と、増加幅が前月の23万2000人増から大幅に縮小した。

 市場の予想(15万人増=ロイター通信まとめ)も大幅に下回った。失業率は前月比で0・1ポイント上昇して9・1%と2か月連続で悪化した。

 景気動向を強く反映する民間部門のうち、小売業が前月の6万4000人増から8500人減となるなど、減少に転じる部門が目立った。東日本大震災の影響も受けた製造業は5000人減り、建設業は2000人の微増にとどまった。

 州政府など地方自治体が財政悪化に伴いリストラを進めているため、政府部門でも2万9000人減少した。


 米労働省が3日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は前月比で0・1ポイント上昇して9・1%と2か月連続で悪化した、と報じられています。



 「インフレが進み、かつ、失業率が悪化した」ということなので、

 マンキューの説く経済学の十大原理のうちの一つ、第10原理「インフレ率と失業率の間には短期的なトレードオフが存在する」に反しているのではないかとも思われます。

 そこで、「注意深く」報道を読むと、



 (読売の)報道には
非農業部門の就業者数は前月比5万4000人増と、増加幅が前月の23万2000人増から大幅に縮小した。
とあります。これは「ヘン」です。なぜなら、

   非農業部門の就業者数は2か月連続で増えているが、
   失業率は2か月連続で悪化した

と報じられていることになるからです。「非農業部門の就業者数が増えれば、失業率は改善するはず」です。



 そこで考えるに、

   就業者数が増えた(失業率が改善した=求人が増えた)ので、
   あらたに仕事を探す人(求職者数)が増えた

ということではないかと思います。

   求職者が増えれば、
   求人が増えていても失業率が「悪化」することはあり得る

からです。



 とすれば、
 米景気減速がソフトパッチ(一時的後退)では済まない可能性をマーケットは感じ始めている。6月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス7.79と、前月のプラス11.88から大幅に悪化。同指数がマイナスとなるのは2010年11月以来で、プラス12.50を見込んでいたエコノミストは予想を大きく裏切られた。5月米鉱工業生産もプラス0.1%増と弱かった。
と(ロイターで)報じられてはいるものの、

   増加のペースが弱くなってはいるものの、
      どこかで就業者数が増えているはず

なので、
 ただ、いずれ米景気は回復するとの見方も依然多く、市場の反応は「過剰ではないか」(国内証券投資情報部)との指摘もある。「米輸出はそれほど悪くなっていない。日米の自然災害による影響が一巡すれば景気は回復するとみている」(トヨタアセットマネジメント・チーフストラテジストの濱崎優氏)。
という見かたのほうが「正しい」と考えられます。



 アメリカの景気は回復しつつあるとみてよいのではないかと思います。

インフレ率と失業率の間には短期的なトレードオフが存在する

2011-06-16 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.20 )

 第10原理:社会は、インフレ率と失業率の短期的トレードオフに直面している

 政府が経済の貨幣量を増やすと、インフレーションがもたらされる。しかし、少なくとも短期においては、失業水準の低下ももたらされるのである。このインフレーションと失業との間のトレードオフを表す曲線は、この関係を最初に調べた経済学者にちなんでフィリップス曲線と呼ばれている。
 経済学者の間でもフィリップス曲線は論争の種でありつづけてきたが、今日ではほとんどの経済学者が、インフレーションと失業との間に短期的なトレードオフが存在するという考え方を受け入れている。このことは単に、1年から2年という期間においては、多くの経済政策がインフレーションと失業とを逆方向に動かすということを意味しているにすぎない。(1980年代のように)インフレーションと失業がともに高い水準にあっても、(1990年代のように)両方が低い水準にあっても、あるいはその中間の状態であっても、政策立案者はこのトレードオフに直面するのである。
 インフレーションと失業との間のトレードオフは一時的なものではあるが、数年にわたって持続することもある。したがって、フィリップス曲線は、多くの面で経済の変遷を理解するうえで決定的に重要である。とくに、景気循環を理解するのに重要である。景気循環とは、雇用者数や財・サービスの生産量などで測られる経済活動水準の、不規則であまり予測できない変動のことである。
 政策立案者はさまざまな政策手段を用いて、インフレーションと失業との間のトレードオフを利用することができる。政府の支出を変化させ、税制を変更し、貨幣供給量を変化させることによって、政策立案者はインフレーションと失業の組合せを短期的に左右できる。このように、金融政策と財政政策は潜在的に非常に強い力をもっているので、政策立案者が経済をコントロールするにあたって、これらの政策手段をどのように用いるべきかは、つねに論争の対象となっている。


 (全員ではないが)ほとんどの経済学者はインフレーションと失業との間に「短期的な」トレードオフが存在すると考えている。「短期的」とは「1~2年程度」の期間を指しているが、場合によっては数年間続くこともある。この関係を表す曲線をフィリップス曲線という、と書かれています。



 著者は
 政府が経済の貨幣量を増やすと、インフレーションがもたらされる。しかし、少なくとも短期においては、失業水準の低下ももたらされるのである。
と述べています。

 したがって、「政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する」で私が書いた

   貨幣の量を増やせば(原因)、
    インフレーションが発生する…………………(b)

の成立は経済学的に証明されていると考えられます。なぜ、このようなことがいえるのかが「まだ」示されていないので疑問なしとしませんが、その根拠はこの教科書を読み進めていけば根拠が示されるはずです。したがって、(b) の是非はそこまで読み進めた段階で検討します。



 なお、本題に戻り、上記「短期的な」トレードオフについて考えれば、

   失業率をゼロにすることは不可能である
   =ある程度の失業は「やむを得ない」

ということになります。失業率を完全にゼロにしようとすれば、猛烈なインフレーションが発生するはずだからです。

 したがって景気対策(または雇用対策)は、「様子をみながら、すこしずつ」進めるべきである、ということになると思います。



 しかしわからないのは、このような「原理」が経済に存在しているのなら、なぜ日本銀行は金融緩和を積極的に行わないのか(行わなかったのか)です。

   雇用問題が解消(正確には改善)するうえ、
   デフレも終わる

という「一石二鳥」な政策を、なぜとらない(とらなかった)のか。それが疑問ですが、(b) が正しいことを確かめたあとで、この問題は再考します。

パレスチナ国家の承認を求める歩み

2011-06-16 | 日記
 パレスチナ問題が急速に進展しているようです。(下にまとめて)引用している報道によって、
  1. イスラエル包囲網が着々と構築されているが、
  2. アメリカの拒否権行使が予想されるため、包囲網は「事実上の効果」しかもたない
  3. しかしパレスチナ側は着々と歩みを進めている
ことがわかります。



 私は「イスラエルは追い込まれているが、当面は妥協しない」と予想していますが、

 「ヒラリー・クリントン国務長官の外交問題評議会での講演」に示されているオバマ政権の方針や、オバマ大統領が「民主化が前提の「政治面での多極化・核兵器のない世界」」を目指していると「推測される」ことなどを考えれば、

 アメリカは拒否権を行使しないかもしれません。

 この「可能性」があることは重要で、イスラエルにとってパレスチナ側の動きは「事実上の圧力」になっていると思います。



 なお、首相候補についての報道をみると、日本の報道は中国の報道に比べ、「遅い」感じがします。これは後々、日中の国力差として効いてくるかもしれません。

 また、この歩み(パレスチナ国家の承認を求める歩み)は台湾問題の解決にあたって、「先例」として重要になってくる可能性があると思います。



産経ニュース」の「イスラエル首相を批判 パレスチナ議長」( 2011.5.25 22:25 )

 パレスチナ自治政府のアッバス議長は25日、対イスラエル和平交渉が9月までに何の進展もなければ、国連総会でパレスチナ国家の承認を求めると言明、占領地からの撤退を和平交渉の出発点とすることを拒否したイスラエルのネタニヤフ首相を批判した。パレスチナ解放機構(PLO)の会合で語った。

 ネタニヤフ氏が23日と24日、ワシントンでの演説で和平交渉に関する立場を表明して以来、アッバス氏の公式な反応が伝えられたのは初めて。

 議長はネタニヤフ氏の演説について「和平進展の基になるようなことは何も言わなかった」と指摘。国連で国家承認を求める目的は「イスラエルを孤立させることではない」と強調した。(共同)




産経ニュース」の「パレスチナ国連加盟を支持 アラブ連盟」( 2011.5.29 09:02 )

 中東の衛星テレビ、アルジャジーラなどによると、アラブ連盟は28日、カタールの首都ドーハで会合を開き、9月の国連総会で国連加盟を申請し国際的な国家承認を求める方針を示しているパレスチナ自治政府を支持することを決めた。

 米国の拒否権行使などが予想され承認の実現は厳しい状況だが、インドネシアで開かれた非同盟諸国会議の外相会議がパレスチナの国連加盟を支援する宣言を採択するなど、支持も広がっている。

 アラブ連盟の声明は、イスラエルがヨルダン川西岸などを占領した1967年の第3次中東戦争以前の境界を国境とし、東エルサレムを首都とするパレスチナの国連加盟を求めるなどとした。(共同)




日本経済新聞」の「トルコ大統領「パレスチナの国家承認に賛成」 9月にも国連決議」( 2011/6/15 23:02 )

 【アンカラ=花房良祐】トルコのギュル大統領が、パレスチナ自治政府が目指す国連での国家承認に賛成の立場を表明した。自治政府は国連で多数の賛成を得てイスラエルとの和平交渉を有利に進めたい意向。ギュル大統領は日本経済新聞記者に対し、パレスチナ自治政府の国連での国家承認を「間違いなく賛成する」と明言した。




産経ニュース」の「首相候補で合意できず ファタハとハマス」( 2011.6.15 10:19 )

 エジプトの中東通信などによると、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスと穏健派ファタハ幹部は14日、エジプトの首都カイロで、双方が合意した自治政府暫定内閣の組閣について協議したが、首相候補をめぐる溝が埋まらず合意には至らなかった。

 対立を続けてきたハマスとファタハは5月、エジプトの仲介で無党派の暫定内閣樹立に合意したが、組閣作業は難航。ただハマス側は、21日の次回協議にはハマスの指導者マシャル氏、ファタハを率いるアッバス自治政府議長が参加、暫定内閣のメンバーを発表できるとの見通しを示した。(共同)




CRJ online 中国国際放送局」の「ハマスとファタハ、新首相の人選で一致」( 2011-06-15 11:58:36 )

 パレスチナ・イスラム過激派組織ハマスの高官は14日、ハマスがパレスチナ民族解放運動ファタハと暫定政府の首相の人選について一致に達したことを明らかにしました。

 それによりますと、ファタハはファイヤド氏を新首相の人選にしないことに同意しており、これによってパレスチナ投資基金のムスタファ総裁とバルガウティ氏が新首相の候補となっています。また、首相と閣僚の候補者の最終リストは、ハマスとファタハが21日、カイロで会談を行う際に発表されます。

 なお、11日にファタハは、ファイヤド氏を自治政府の新首相の候補に指名すると発表したが、ハマスが強く反発しました。これに対してファイヤド氏は、「もしハマスに反対されれば、私は民族和解の障碍になるつもりはない」との態度を表明していたものです(朱丹陽)


「君が代」問題についての最高裁判決

2011-06-15 | 日記
 「君が代」問題について、最高裁判所のすべての小法廷で判決が出たようです。第一小法廷、第二小法廷、第三小法廷すべて、「合憲である」と判示しています。

 「君が代」の強制は「違憲である」と日弁連(日本弁護士連合会)は主張していますが、日弁連の意見は「たんに、(弁護士会という)一つの団体の意見にすぎない」ところ、最高裁(最高裁判所)の判決は「公権的な解釈」ですから、

   日弁連の意見は「参考」にするにとどめ、
   「公権的解釈」たる最高裁の判決に従うべき

だと思います。



 一応、「参考のために」日弁連の意見も下記に引用しておきます。

 しかし、弁護士会は「偏った」主張を社会に対して発表したという感じが否めません。これは弁護士会の果たすべき「公益性」に反しているのではないかと思われてなりません。



YOMIURI ONLINE」の「君が代起立斉唱、また合憲判断…最高裁上告棄却」( 2011年6月6日21時54分 )

 東京都立高校の卒業式などで、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう教職員に求めた校長の職務命令が憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は6日、「合憲」との判断を示し、原告の元教職員13人の上告を棄却した。

 原告の敗訴が確定した。

 君が代の起立斉唱命令を合憲とする最高裁の判決は、5月30日の第2小法廷に続き2件目。前回は裁判官4人の全員一致の結論だったが、この日は、5人の裁判官のうち宮川光治裁判官が、「命令は明白に違憲とは言えないが、必要不可欠だったかどうか、さらに厳格に審査する必要がある」とし、審理を2審・東京高裁に差し戻すべきだとする反対意見を述べた。


 これは第一小法廷の判決です。



 第二小法廷の判決については、「最高裁、「君が代起立斉唱」は合憲」で(報道を)引用しているので、ここでは繰り返し引用しません。



東京新聞」の「君が代命令 三たび合憲 「賛成」判事も強制慎重」( 2011年6月15日 )

 東京都内の公立学校の式典で君が代斉唱時、教員に起立を求める校長の職務命令が「思想・良心の自由」を保障する憲法に反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(田原睦夫裁判長)は十四日、命令は合憲だとして、処分取り消しを求めた教員側の上告を棄却した。

 これにより、最高裁の三つの小法廷で起立斉唱命令に対する合憲判断が出た。

 結論は四裁判官の多数意見。第一、第二小法廷と同様、命令は「思想・良心の自由」の間接的制約になり得るが、公務員の公共性などに照らし「制約を許す必要性、合理性はある」と結論づけた。

 田原裁判長は起立と斉唱を分けて考えるべきだとし、「斉唱の強制は君が代に敬意を表したくないという内心の核心部分を侵害する可能性もあり、違憲かどうか審理を尽くすため二審に差し戻すのが相当」と反対意見を述べた。

 原告は現職と元職の中学教員計三人。二〇〇四年の卒業式と入学式で起立斉唱しなかったとして、都教委から戒告処分を受けた。

 判決後の記者会見で、原告の山口洋子さん(61)は「憲法を守るのが裁判所の役割なのに残念な判決だ」、山下訓弘さん(56)は「教育現場は自分のことで精いっぱいで、こういう問題を話し合う場もない」と話した。

◆3つの判決 補足意見7人、反対2人

 君が代の起立斉唱命令をめぐる最高裁の三つの判決では、三小法廷の計十四人の判事のうち、二人が反対意見を述べた。合憲の結論に賛成した十二人の判事からも、教育現場に「寛容さ」を求めるなど七人が補足意見を述べた。憲法が保障する精神的自由の重みを印象づけた。

 強制されて起立斉唱することが、人間の「内心(思想・良心)」をどのくらい侵害するのか-。多数意見と反対意見を分けたのは、この点をめぐる判断の差だった。

 多数意見は、君が代に敬意を示せない教員にとって起立強制が精神的苦痛になると認めた上で、儀礼的行為ととらえ、内心に与える影響を重くみなかった。

 しかし、反対意見を述べた二人は、起立斉唱行為を内心の「核心」により近いものと位置付けた。

 田原睦夫判事(弁護士出身)は「斉唱命令は内心の核心的部分を侵害しうる」と指摘、宮川光治判事(同)も「斉唱する行為は教員らの歴史観で譲れない一線を越える行動で、思想・良心の核心を動揺させる」と説明。ともに、やむを得ない強制と言えるかどうか厳格に審査すべきだとし、審理の差し戻しを訴えた。

 一方、補足意見を述べた七人の多くが、命令に従わない教員の処分などに慎重さを求めた。「思想・良心の自由」が憲法上、厳しく守られる基本的人権である上、起立を強いる行政と反発する教員との対立が子どもに悪影響を与えるのを憂慮したからだ。

 須藤正彦判事(弁護士出身)は「教育は、強制でなく自由闊達(かったつ)に行われるのが望ましい。強制や不利益処分は可能な限り謙抑的であるべきだ」とし、教育行政に「寛容の精神」での工夫、配慮を求めた。

 ともに裁判官出身の千葉勝美、大谷剛彦両判事は、君が代斉唱は「自発的な敬愛」に基づいて行われるべきだと強調。金築誠志判事(裁判官出身)も教育環境が悪化し、生徒らに影響を及ぼす恐れを念頭に「すべての教育関係者の慎重、賢明な配慮が必要だ」とくぎを刺した。 (小嶋麻友美)


 これは第三小法廷の判決です。



日本弁護士連合会」の「会長声明集 Subject:2011-5-26 公立学校教職員に君が代斉唱の際に起立・斉唱を強制する大阪府条例案提出に関する会長声明

橋下徹大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」府議団は、本年5月25日、大阪府議会議長に対し、政令市を含む府内公立学校の入学式や卒業式などで君が代を斉唱する際、教職員に起立・斉唱を義務づける条例案を提出した。さらに、橋下府知事は、「国旗・国歌を否定するなら公務員を辞めればいい」と述べ、政令指定都市の教職員も含めて、起立・斉唱しない教職員について免職処分の基準を定める条例案を9月の府議会で審議する意向を示している。

地方自治体の首長が当該自治体の教職員に対し、免職を含む処分の制裁を公言して君が代斉唱時の起立・斉唱を求め、これを条例によって強制することはかつてない事態であり、思想・良心の自由等の基本的人権の保障に加え、教育の内容及び方法に対する公権力の介入は抑制的であるべきという憲法上の要請に違反するものとして、看過できない。

個人の内心の精神的活動は、外部に表出される行為と密接に関係しているものであり、自己の思想・良心に従って君が代斉唱時に起立を拒否する外部的行為は、当然、思想・良心の自由の保障対象となる。そして、君が代については、大日本帝国憲法下において天皇主権の象徴として用いられた歴史的経緯に照らし、現在においても君が代斉唱の際に起立すること自体が自らの思想・良心の自由に抵触し、抵抗があると考える国民が少なからず存在しており、こうした考え方も憲法19条の思想・良心に含まれるものとして憲法上の保護を受けるものと解されるから、国や地方自治体が、教職員に対し君が代を斉唱する際に起立・斉唱を強制することは、憲法の思想・良心の自由を侵害するものと言わざるを得ない。なお、地方公務員である教職員は、「全体の奉仕者」ではあるが、そのことが、公務員の職務の性質と無関係に、一律全面的に公務員の憲法上の権利を制限する根拠となるものではないことは言うまでもない。

また、国旗・国歌法制定時には、上記の過去の歴史に配慮して、国旗・国歌の義務づけや尊重規定を設けることは適当でない旨の政府答弁が国会でなされ、同法に国旗・国家の尊重を義務づける規定が盛り込まれなかった経緯がある。こうした立法経緯に照らせば、君が代斉唱時に起立を義務づける条例は、条例制定権を「法律の範囲内」とした憲法94条に反するものである。

さらに、教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じてその個性に応じて行わなければならないという教育の本質的要請に照らし(1976年5月21日旭川学力テスト事件最高裁大法廷判決)、子どもの学習権充足の見地からは、教育の具体的内容及び方法に関して、子どもの個性や成長・発達段階に応じた教師の創意や工夫が認められなければならない。したがって、子どもの学習権に対応するため、教員には、公権力によって特定の意見のみを教授することを強制されないという意味において教育の自由が保障されている。この趣旨は、教育行政の独立を明確に定めた教育基本法16条1項にも現れている。

ゆえに教員の思想・良心の自由及び教育の自由に対する強制は特に許されず、教育の内容及び方法に対する公権力の介入も抑制的でなければならない(当連合会2007年2月16日付け「公立の学校現場における『日の丸』・『君が代』の強制問題に関する意見書」、2010年3月18日付け「新しい学習指導要領の問題点に対する意見書」、2011年2月9日付け「『国旗・国歌』を強制する都教委通達を合憲とした東京高裁判決に対する会長声明」)。

当連合会は、上記観点に立って、大阪府議会に対し、提出された条例案が可決されることのないように求めるとともに、大阪府議会及び府知事に対して、府内公立学校の教育現場に介入して、教職員に対し君が代斉唱の際の起立・斉唱を含め国旗・国歌を強制することのないよう強く要請する。


2011年(平成23年)5月26日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児


 これは最高裁の判決が出される「直前」に、弁護士会が発表した声明です。



 最高裁の判決は、日弁連の声明を「(ほぼ完全に)否定した」ことになります。



■関連記事
 「大阪府の「君が代条例」案について
 「アメリカ合衆国国歌 "The Star-Spangled Banner"」