「REUTERS」の「脳裏よぎる米スタグフレーション、ギリシャ問題加わり強まる不安心理」( 2011年 06月 16日 15:08 JST )
米国で景気減速とインフレ高進を示すマクロ指標が出た、と報じられています。
「YOMIURI ONLINE」の「米失業率、2か月連続悪化…製造業で震災影響も」( 2011年6月3日23時30分 )
米労働省が3日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は前月比で0・1ポイント上昇して9・1%と2か月連続で悪化した、と報じられています。
「インフレが進み、かつ、失業率が悪化した」ということなので、
マンキューの説く経済学の十大原理のうちの一つ、第10原理「インフレ率と失業率の間には短期的なトレードオフが存在する」に反しているのではないかとも思われます。
そこで、「注意深く」報道を読むと、
(読売の)報道には
非農業部門の就業者数は2か月連続で増えているが、
失業率は2か月連続で悪化した
と報じられていることになるからです。「非農業部門の就業者数が増えれば、失業率は改善するはず」です。
そこで考えるに、
就業者数が増えた(失業率が改善した=求人が増えた)ので、
あらたに仕事を探す人(求職者数)が増えた
ということではないかと思います。
求職者が増えれば、
求人が増えていても失業率が「悪化」することはあり得る
からです。
とすれば、
増加のペースが弱くなってはいるものの、
どこかで就業者数が増えているはず
なので、
アメリカの景気は回復しつつあるとみてよいのではないかと思います。
[東京 16日 ロイター] 米国で景気減速とインフレ高進を示すマクロ指標が出たことから、市場は再びリスク回避に動いている。これまでのソフトパッチ(景気の一時的後退)懸念ではない米スタグフレーションの可能性を警戒し株価は大きく下落、金利も低下した。
日米の自然災害の影響が一巡すれば景気は回復に向かうとの見方も依然多く、市場は過剰反応との指摘もあるが、ギリシャ問題も加わり、市場のネガティブ心理はさらに強まっている。
<米国で景気減速とインフレ高進の指標>
米景気減速がソフトパッチ(一時的後退)では済まない可能性をマーケットは感じ始めている。6月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス7.79と、前月のプラス11.88から大幅に悪化。同指数がマイナスとなるのは2010年11月以来で、プラス12.50を見込んでいたエコノミストは予想を大きく裏切られた。5月米鉱工業生産もプラス0.1%増と弱かった。
さらに5月の米消費者物価指数(CPI)のコア指数が前月比0.3%の上昇。前月比での上昇率としては2008年7月以降で最大となった。デフレ警戒から一転インフレ高進を警戒する必要性が出てきたとして、市場はリスク回避に動き、米ダウは178ドルの大幅安、米金利も再び3%を割り込んだ。
ICAPエクイティーズ(ニューヨーク)のマネジング・ディレクター、ケン・ポルカリ氏は、悪いマクロ指標が毎日のように出てくると、経済の軟調局面は一時的に過ぎないというだけでは済まなくなると話す。 米景気減速とインフレ高進が同時に進めばスタグフレーションが起きる可能性が強まる。インフレを抑制するか景気刺激を続けるか、米連邦準備理事会(FRB)は難しい問題を抱えることになる。金融緩和後退が過剰流動性を減少させ、景気も減速すればインフレを抑制するという期待もあるが、歴史的にみれば一度スタグフレーションが始まると止めるのはやっかいだ。
相変わらず日本株は国内要因よりも海外要因に敏感で、日経平均は一時150円を超える下落と久々の大きな値動きとなった。アテネで財政緊縮に反対するデモが起きるなど、ギリシャ債務問題に再び暗雲がたちこめていることも嫌気された。
ただ、いずれ米景気は回復するとの見方も依然多く、市場の反応は「過剰ではないか」(国内証券投資情報部)との指摘もある。「米輸出はそれほど悪くなっていない。日米の自然災害による影響が一巡すれば景気は回復するとみている」(トヨタアセットマネジメント・チーフストラテジストの濱崎優氏)。
また米コアCPIが上昇したのも新車と衣料品の価格が上昇したためであり、「サプライチェーン途絶に伴う供給制約の影響が現れた可能性が高い」(シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏)という 。衣料品も値上げが続けば、需要を抑制するため、高いCPIの伸びは一時的な可能性もある。米国も財政政策、金融政策ともに手詰まり感が漂っているが、悲観論が支配しているわけではない。
(後略)
米国で景気減速とインフレ高進を示すマクロ指標が出た、と報じられています。
「YOMIURI ONLINE」の「米失業率、2か月連続悪化…製造業で震災影響も」( 2011年6月3日23時30分 )
【ワシントン=岡田章裕】米労働省が3日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の就業者数は前月比5万4000人増と、増加幅が前月の23万2000人増から大幅に縮小した。
市場の予想(15万人増=ロイター通信まとめ)も大幅に下回った。失業率は前月比で0・1ポイント上昇して9・1%と2か月連続で悪化した。
景気動向を強く反映する民間部門のうち、小売業が前月の6万4000人増から8500人減となるなど、減少に転じる部門が目立った。東日本大震災の影響も受けた製造業は5000人減り、建設業は2000人の微増にとどまった。
州政府など地方自治体が財政悪化に伴いリストラを進めているため、政府部門でも2万9000人減少した。
米労働省が3日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は前月比で0・1ポイント上昇して9・1%と2か月連続で悪化した、と報じられています。
「インフレが進み、かつ、失業率が悪化した」ということなので、
マンキューの説く経済学の十大原理のうちの一つ、第10原理「インフレ率と失業率の間には短期的なトレードオフが存在する」に反しているのではないかとも思われます。
そこで、「注意深く」報道を読むと、
(読売の)報道には
非農業部門の就業者数は前月比5万4000人増と、増加幅が前月の23万2000人増から大幅に縮小した。とあります。これは「ヘン」です。なぜなら、
非農業部門の就業者数は2か月連続で増えているが、
失業率は2か月連続で悪化した
と報じられていることになるからです。「非農業部門の就業者数が増えれば、失業率は改善するはず」です。
そこで考えるに、
就業者数が増えた(失業率が改善した=求人が増えた)ので、
あらたに仕事を探す人(求職者数)が増えた
ということではないかと思います。
求職者が増えれば、
求人が増えていても失業率が「悪化」することはあり得る
からです。
とすれば、
米景気減速がソフトパッチ(一時的後退)では済まない可能性をマーケットは感じ始めている。6月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス7.79と、前月のプラス11.88から大幅に悪化。同指数がマイナスとなるのは2010年11月以来で、プラス12.50を見込んでいたエコノミストは予想を大きく裏切られた。5月米鉱工業生産もプラス0.1%増と弱かった。と(ロイターで)報じられてはいるものの、
増加のペースが弱くなってはいるものの、
どこかで就業者数が増えているはず
なので、
ただ、いずれ米景気は回復するとの見方も依然多く、市場の反応は「過剰ではないか」(国内証券投資情報部)との指摘もある。「米輸出はそれほど悪くなっていない。日米の自然災害による影響が一巡すれば景気は回復するとみている」(トヨタアセットマネジメント・チーフストラテジストの濱崎優氏)。という見かたのほうが「正しい」と考えられます。
アメリカの景気は回復しつつあるとみてよいのではないかと思います。