怖い夢

夢はよく見る。でもほとんど朝起きると瞬時に忘れてしまうことが多い。一時期、夜中に目が覚めたときとか、枕元に用意しておいたメモ帳に夢に出てきたモノやストーリーを大ざっぱに書き込んでいた。寝ぼけて書くから起きてから読んでも、字が読めなかったり、意味がわからなかったりすることがときどきあったけど、それでもかなりの量の夢記録ができた。でも、今思うと、あれは繰り返し同じ夢を見ていた時期で、その夢が何を意味するのか知りたくてやり始め、継続していたのだ。同じような夢を続けて見なくなったら、自然と、夢を見ても記録しようとしなくなった。

昨晩、朝起きて、怖くなる夢を見た。住んでいる家を追い出される夢だ。ちょうど今住んでいる家に引っ越してきたときの日のように、柱やふすまがやけにきれいで、家具もなにもない部屋に自分が佇んでいた。そして、その自分を玄関口付近からもう一人の自分が見ていた。そして、玄関を出ると、ドアの真ん中辺りには、ぼくの名前と思われる名前が半透明の四角の白い紙で覆われ、横に手書き縦書きで誰かの別の名前が書かれていた。どちらの名前も知らない名前なんだけど、紙で覆われていた方は自分の名前で、横に書かれていた名前が新しい住人の名前だと思わせる何かがあった。

「ああ、追い出されるんだ」と思いながら、ぼくはそのドアから離れていった。殆んどそれ以外は覚えていない。長いストーリーがある夢だったという記憶が漠然とあるけど、意識に残ったイメージは2つだけ。そして、目覚めて怖くなった。決していま立ち退きを迫られているわけではないけど、引っ越そうという考えは最近ずっとチラチラしている。そして、ここが長いので新しい家が気に入るかどうか、いっそのことここにずっと住んだ方がいいのではないかという迷いが、ここ1年くらい続いていることは確かで、それがメタモルフォーゼされてこの怖い夢になったのか…

ぼくにとって新しいタイプの夢だった。「追い出される夢」。今晩もまた繰り返し見るんだろうか。