プールは小学生のころ、とても苦手だった。7月になるといつも屋外のプールで体育の授業があって、あまり上手く泳げなくて、喘息持ちだったから怖かった。中学に入ることには喘息発作はおきなくなっていたけど、あれって、咳が続くと息を吐くばかりで吸えないので、意識が遠くなって死にそうになる。
そんなぼくが中学で田舎に転校して、今度は川で泳がされた。毎年7月初めに河原で花火大会があって、慣例だったのか、その翌日に中学生がゴミ集めをするかわりに、学校が川の一部を独占(?)できた。で、泳ぎに目覚めたのは、この川だったかな。相変わらず呼吸が下手だったけど、川幅50mくらいあるところを楽に泳ぎきることができるようになった。
高校生になってからはほとんど泳ぐことがなくなった。海には毎年行っても、海は泳ぐというより遊ぶ感じだから・・・。でも、外国での生活で、あるときスウェーデン人2人に誘われて市営プールに行って、彼らのすごい泳ぎに感心させられて、泳げるってかっこいいよなって思った。まあ、彼らは選手だったというからかっこいいのは当然だったんだけど、そのとき、いつかプールでのきれいなフォームの泳げるようになりたいと思うようになった。
で、7,8年前からスポーツジムのプールでスクールに入った。コーチはすごく上手く泳ぐ人だったけど、泳げない人用のドリルのような「引き出し」のない人だったので、1年くらいでやめた。それにウェートトレーニングで右肩の鍵板を部分断裂して、クロールやバタフライのプルの動作に痛みを感じるようになって、プールはぷかぁ~っと浮いてゆっくり泳ぐ癒しの場となってしまった。そんなときに、無料の初級コースで知り合ったのがkコーチだった。
彼女はまだ22,3歳だったと思う。夜遅いクラスに行くと、コーチとぼくと二人きりになることもあって、いろいろな話をきくことがあった。「わたしはお父さんの顔を知らないんだ」とか、いろいろなプライベートな話をしてくるようになって、失恋や、母親のこと、病気のことetc..。いつのころからか、ぼくは自分の娘か妹のような感じで接するようになっていた。
そんな彼女が、2年くらい前に結婚相手を見つけた。ぼくは最近、プールから遠ざかっているけど、少し年上の人で、「甘えられる人」らしい。SNSにもそれらしき人の話題が書いてあって、すでに同居しているようだ。ぼくも母子家庭だったので彼女の「夢は専業主婦!」という話しに素直に共感したものだ。ジムのコーチしているわりに、「家でお菓子食べてテレビでドラマ見てるのが趣味」という彼女だけど、元彼とのデート話しのなかの結婚への憧れが初々しくて、きっと結婚したらガチンコで主婦を頑張っちゃうタイプなんだろう。
先日、広い通りを挟んで、彼女と会った。向こうが気づいて、マスクを外して手を振ってきた。目の悪いぼくは初め分からなかったけど、分かったときに、自然と体が動いて、ピョンピョンしてしまった。言葉のない会話だったけど、「小さな幸せ」がポケットにいっぱい詰まっているようで、うれしかった。みんな、みんな、それぞれに幸せになってほしいと思う今日この頃です。
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