忠犬オリーブの心臓まひ

山口県の5人殺人事件容疑者の愛犬オリーブは、動物愛護団体に引き取られていたが、容疑者が山中で身柄を確保されると、その1分後に心臓まひで死んでしまったという。犬の超能力を感じるとともに、容疑者とオリーブの間にあった情愛の濃さを感じた。統合失調症の人で、唯一の癒しとして愛犬の存在を挙げる人が多いが、独特な能力で会話ができるのかもしれない。孤立した小さな集落の人間関係は、親近感が強い半面、強い軋轢も生じやすい。それぞれの経済的基盤がどういったものだったのかわからないけど、いったん憎悪が生まれると、ある意味で逃げ道も和解の道もないだけに、増大する一方になるのだろう。いわゆる田舎では集団心理の作用が仲間と敵を作りやすく、互いの言動への認知が肩よりやすい。その中でただ一人孤立していった容疑者の理解者はオリーブだけになったのだろう。幻聴や妄想からの逃避も唯一オリーブとの会話だったのではないか。管轄の保健所や民生委員、村役場の人たちは、どこまで本気でこの容疑者の集落内での孤立を解釈しようとしていたのだろうか。こうした悲劇は全くの想定外だったのだろうか。