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揺れる香港 市民の思いは

2020-07-26 07:14:34 | 報道/ニュース

7月1日 NHKBS1「国際報道2020」


イギリスから中国に返還されて以来
一国二制度のもと高度な自治を保ってきた香港は
歴史的な転換点に立たされている。
香港はどうなるのか。
民主派のリーダー
香港の憲法にあたる香港基本法の作成にあたった弁護士
金融都市香港のビジネスマン。
揺れる香港を見つめる三者三様の思いは。

香港国家安全維持法を歓迎するひとがいる。
席与善さん(64)は貿易会社の社長。
(貿易会社 社長 席与善さん)
「デモの影響で多くの店は閉められ
 正常なビジネスができなくなっている。
 今回の国家安全維持法は必要だと思う。」
席さんは上海出身。
幼少期に文化大革命(1966-76)を経験し
一族は財産を没収された。
その後 香港に渡り
政治とは距離を置きながら生きてきた。
(席さん)
「政治について発言しないように教育されました。」
中国本土と香港に拠点を持つ席さんにとって
本土との関係は死活問題である。
席さんだけでなく香港の多くの経営者は
“デモによる混乱が経済を脅かしている”と考えている。
実際 今年3月に発表された国際競争力を示す指標で
ニューヨーク ロンドンに次ぐ3位だった香港は6位に転落した。
去年から続くデモが影響したとみられる。
(席さん)
「市民の生活の安定が何より重要だ。
 香港が国際的な金融センターでなくなったら損失は計り知れない。」
一方 香港国家安全維持法は“香港のあり方を根底から覆すものだ”と批判するひとがいる。
「香港の民主の父」と呼ばれる李柱銘さん(82)。
(弁護士 李柱銘さん)
「今回中国政府は北京で香港の法律を作った。
 これは全く“香港基本法”に違反している。
 一国二制度に対する裏切りだ。」
香港の憲法にあたる香港基本法。
返還前に作られたもので
社会主義を掲げる中国本土と一線を画し
香港の高度な自治を50年間約束している。
李さんは草案を作る委員会の香港側の代表の1人だった。
李さんは当時
“中国共産党は改革開放による経済成長を狙っていたため
 香港の政治への関心は強くなかった”と指摘する。
( 李さん)
「香港をまるごと中国に返還すれば香港は不安に陥り
 外国の投資家も撤退することになる。
 鄧小平氏はそれを望まなかった。」
返還当時の97年
香港は中国本土と比べて圧倒的な経済力を誇っていた。
中国は
香港が西側諸国との経済的な窓口となることを期待していたのである。
(当時 鄧小平氏)
「早く経済を発展させよ。
 中国は何千年も貧乏だった。
 今こそチャンスだ。」
その後 中国は“政界の工場”として急速に経済発展を遂げる。
そして習近平指導部が誕生。
香港への統制を強める。
2014年
中国政府は白書を発表し
返還以来初めて
香港に対して“全面的な統治権を持つ”と表現した。
(李さん)
「我々にとって驚く内容だった。
 白書について間違いだとはっきり伝えたが
 イギリスを含め各国政府は問題無いと言った。」
この年 市民の抗議活動に揺れた香港。
宗主国だったイギリスは現地の状況について
“民主主義へ前進している”と評価。
国際社会も中国の変化を問題視しなかった。
そして去年
香港で市民による抗議活動が拡大。
中国は直接 香港での法の制定に踏み切ったのである。
(李さん)
「長い歳月を香港で暮らし
 すべて香港が良くなるために考えてきたはずだった。
 中国政府が基本法違反だと言える人は誰もいない。
 全員が中国政府にひざまずいている状態だ。」
こうしたなか
今回の法律が施行されてもなお
危険を顧みず抗議活動を続けようという人がいる。
中国メディアから名指しで非難を受けた民主派リーダーの李卓人さん(63)である。
(民主派 リーダー 李卓人さん)
「我々が信じてきた民主主義の放棄を迫られている。
 放棄しなければ逮捕され刑罰は免れないだろう。」
覚悟を持って活動を続ける李卓人さん。
きっかけは31年前のあの事件である。
1989年6月4日
中国北京で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧され
多くの死傷者がでた天安門事件。
李さんはその事件の現場にいた。
しかしその記憶さえ中国本土では語ることを禁じられている。
自由に民主主義を訴える社会を作りたい。
事件後 香港に逃れた李卓人さんは
天安門事件の記念館を設立。
事件発生の6月4日には毎年追悼集会を開催し
歴史を継承してきた。
(李さん)
「天安門事件から30年間
 私は見てきた。
 中国共産党は市民を民主運動に参加させず
 締めつけることで民主主義を消すのだ。」
6月 李さんのもとに裁判所からの出廷命令が届いた。
今年 追悼集会を開催したことが違法だと指摘されたのである。
それでも抵抗の意思は揺るがない。
(李さん)
「香港の民主と自由を何十年も堅持してきた。
 これを続けるのが信念だ。
 必ず香港市民とともに闘い続ける。」
 
 


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