3月7日 おはよう日本
いま中部ヨーロッパで医師を目指す日本の大学生が増えている。
なかでも
チェコ ハンガリー スロバキア ブルガリア
4か国で学ぶ日本人の医学部生はこの10年余りで20倍以上に増え約500人にのぼる。
スロバキアの首都ブラチスラバにあるコメニウス大学。
医学部4年生の妹尾勇希さん。
この大学を選んだのは
学費が年間130万円と日本の私立大学の半分以下であること。
そして授業のほぼすべてが英語で行われることが理由だということである。
妹尾さんは女性医師の割合の多さが日本と異なる点だと話す。
(妹尾勇希さん)
「日本では女性がキャリアを考えて子育てして家庭を持つのが難しい印象があった。
日本で働きにくかったら海外に行くとか
そういう働き方が目指せるので
なお欧州に行ったらいいんじゃないかなって感じた。」
OECDが行った医師の男女比の調査では
スロバキアは女性の割合が57%と高く
コメニウス大学でも学生の6割が女性である。
妹尾さんも性別によって不利な待遇を受けることはないと感じている。
(妹尾優希さん)
「日本に比べると
男性が優遇されている印象は特にない。」
こうした事情はヨーロッパの医学部への関心の高まりに少なからず影響しているようである。
2月福岡で開かれたハンガリー大学医学部の進学説明会。
参加者は例年よりも4割増え
6割が女性だった。
主催した企業は
去年日本で明るみに出た医学部の不適切な入試での
女子学生への差別の影響を指摘する。
(ハンガリー医科大学事務局 中谷広報課長)
「医学部試験の不正入試の問題
意識されている参加者が多い。
日本の医学部を受けずに
ハンガリー含め海外の医学部を受験するということで
進路を変える方が増えている。」
一方で中東欧の医学部が人気なのは日本だけの話ではない。
その大きな理由が
卒業すればEU圏内で働ける医師免許が手に入るためである。
コメニウス大学の医学部には
ドイツ イタリア イランなど
世界中各国から学生が集まっている。
(コメニウス大学 副学長)
「留学生を受け入れることで学生間の競争が激しくなります。
日本など他の国から学生が来ることで
本校の文化的基盤が豊かになります。」
激しい競争の中で学生には猛勉強が求められる。
そんななかで頼りになるのは同じ目標を持つ日本人の学生である。
濱田省太さんはコメニウス大学で学年が1つ上の先輩である。
妹尾さんは
何をいつどのくらい勉強すれば単位が取れるのか
経験に基づいたアドバイスを求めてきた。
こうした日本人同士の関係は欠かせないと濱田さんは話す。
(濱田省太さん)
「同じどうしの人のつながりは強く
みんなで情報共有するので
自分は日本人が少なく苦労したので
後輩にはそんな思いはしてほしくない。」
妹尾さんは帰宅しても勉強漬けの毎日である。
勉強中 眠気をふせぎ集中力を持続させるために食べているのがゆで卵。
(妹尾優希さん)
「炭水化物を食べてしまうとかなり眠くなるので
ゆで卵は腹持ちが良く援用も満点なので。」
進級試験に受からなければ即退学という厳しい世界。
当初 妹尾さんの学年には日本人が8人いたが今は2人しか残っていない。
(妹尾優希さん)
「試験期間中は朝から晩まで勉強している。
それでも追い付かず心が折れて
大学に行けなくなる学生もいる。
試験では1,000~2,000ページの本を丸暗記しなきゃいけない。」
故郷から遠く離れたスロバキアで医師になる夢絵を追う妹尾さん。
目標はグローバルに活躍できる医師になることである。
(妹尾優希さん)
「フットワークを軽く
どこの国でも行けるのが私のアドバンテージだと思う。
もしEUと日本
ダブルで医師免許を取れたら
それを生かして働いていけたらと思う。」