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伝統の“悪霊払い”守るために

2016-08-22 07:15:00 | 報道/ニュース

7月30日 おはよう日本


エジプト カイロ近郊。
悪魔払いの儀式“ザール”が行われるのは一般家庭のリビング。
ザールを執り行うグループのリーダー アフマド・シャンカハウイさん(60)。
6人の仲間と思に悪霊払いの儀式を行う。
今回の依頼主は
最近不眠症に悩まされているという30代の女性。
儀式はお香を焚いて女性の体を清めることから始まる。
「アッラーの許しをいただき儀式を始めます。」
そして歌と踊りが始まる。
♪ 私を助けたまえ
  地上の王たちよ
  慈悲を与えたまえ
小さなシンバルに笛や太鼓のリズム。
女性と思に激しく踊り
心と体に付いた悪霊を追い払おうとする。
終盤に差し掛かると演奏はさらに激しくなり
一心不乱に踊り続ける。
(儀式を終えた女性)
「心がだいぶ落ち着きました。
 医者に診てもらうよりいいです。」
(アフマド・シャンカハウイさん)
「すべてのストレスが取り除かれ
 体の状態がよくなっていくのです。
 ザールはスピリチュアルな儀式であり
 癒しの音楽でもあります。」
18世紀ごろアフリカ東部で生まれたとされるザール。
歌詞にイスラム教の要素が盛り込まれ
エジプト全土に広がった。
しかし近代化とともにザールは人々の暮らしから遠のいていった。
テレビ番組でも
(エジプトのテレビ番組)
「なぜヒステリー状態になり倒れるのか
 さっぱりわかりません。」
古くさい迷信だと面白おかしく取り上げられるようになった。
祖父母の代から儀式をつかさどる役目を担ってきたアフマドさん一家。
自身も伝統の儀式に見せられ
12歳で学校をやめてこの世界に入った。
当時のエジプトでは儀式の依頼が多く
一家は年中大忙しだったという。
しかし一時は数百あったザールのグループはいま激減している。
アフマドさんの子どもたちもあまり関心を示さない。
(アフマド・シャンカハウイさん)
「親世代から受け継いできた儀式に今の世代は関心がありません。
 この儀式は消えていってしまうでしょう。」
そんなアフマドさんに思ってもみない誘いがあった。
若者たちが集まるライブハウスで
ザールの音楽を披露してみないかと声がかかったのである。
この日も若者たちを前に演奏した。
当初は
実際の儀式とは異なる観客向けの演奏に抵抗があったというアフマドさん。
それでもステージを重ねるごとに
これまで身向きもしなかった若者たちが集まるようになり
手ごたえを感じるようになった。
(観客)
「普段はロックが好きですが
 始めて見てすごく面白かったです。」
「ユニークで新しいものが好きだから
 人気が出ると思います。」
ザールの精神世界や迫力ある音楽は
思いがけない場所で受け入れられた。
(アフマド・シャンカハウイさん)
「私は死ぬまでザールを続けていくつもりです。
 儀式はなくなったとしても音楽はステージでいき続けます。」

アフマドさんはライブハウスでの演奏をきっかけに
その音楽性が認められ
ヨーロッパ各地に招かれて海外公演をしている。




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