日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

竜巻の脅威 アメリカの対策は

2012-07-12 11:38:47 | 海外ネットワーク


  7月7日 NHK海外ネットワーク
 
  去年4月
  アメリカ南部をわずか2日間で約160の竜巻が襲った。
  瞬間的に風速90mにもなる竜巻もあった。
  木造住宅は跡形もなく壊れ当たり一帯ががれきに。
  非常に強い竜巻が直撃した場所では
  鉄骨とコンクリートで出来た建物さえ大きく壊れた。
  犠牲者は5州300人以上。
  全米を震撼させた。
  アメリカでは今年もすでに竜巻によって60人以上がなくなっている。
  竜巻の接近が予測される地域には
  気象当局が警報を出して住民に安全な場所に避難するよう呼びかける。
  
  一般家庭用の竜巻の非難シェルターでは
  4月の竜巻の際4人家族の命が救われた。
  しかしシェルターは設置に費用がかさむため広く普及しているわけではない。
  多くの場合
  人々は頑丈な建物の中に非難して竜巻が通り過ぎるのを待つ。
  
  ミシガン州の保育園。
  竜巻の被害を最小限に抑えようと毎月避難訓練を行なっている。
  0歳~5歳の子どもたち全員が参加する訓練は
  出来るだけ建物の中心部にある部屋に移動する。
  窓際では窓ガラスが割れ瓦礫が飛び込んでくるおそれがある。
  頭を守り低い姿勢を保つ。
  竜巻から身を守る行動を幼い頃から身につけさせるのがねらいである。

  アメリカでは如何に早く竜巻警報を出すかに力が注がれてきた。
  早く警報をだせば避難のための時間を確保できる。
  しかし竜巻をレーダーで確認するのは簡単ではない。
  ハリケーンと違って竜巻は直径が数百メートルのためレーダーでは捉えにくい。
  そこで地上で竜巻の動きを目で確認する
  “スポッター(発見者)”
  と呼ばれる人たちが頼りになる。
  事前に講習を受けた警察官や消防士、市民などで全米で約29万人。
  竜巻を見つけるとすぐに場所や進路を報告する。
  気象当局はレーダーによる観測状況と竜巻の目撃情報を合わせて進路を予測し
  警報を出す。
  ただ警報が出てから実際に竜巻が到達するまでの時間は平均で14分しかない。

  米海洋大気局予報研究開発部 デビッド・ステンスルッド部長
  「14分は非難の時間としては十分ではない。
   もっと早く警報を出して30分
   できれば45分くらいは確保したい。」

  より早く警報を出そうと進めているのは二重偏波レーダー
  従来のレーダーは電磁波を水平方向に発射して
  平面的に風の動きや雨の量を捉えるものだった。
  新しいレーダーは電磁波を垂直方向にも同時に出せる。
  3次元で立体的に分析するため
  竜巻の様子をより細かく把握することが出来る。
  従来のレーダー画面では
  赤くなった部分で強い雨が降っているが竜巻の場所ははっきりしない。
  新レーダー画面では
  木の枝や瓦礫などが空中に巻き上げられていることが青で示される。
  これで竜巻が発生していることがわかる。

  日本の気象庁などから国の防災担当者が竜巻対策に生かそうと視察に訪れた。
  特に注目したのは新しいレーダーの性能。
   
  防災科学研究所 清水慎吾さん
  「竜巻を捉えることは難しいことなので
   二重編波レーダーを使うとよりミスが少なくなることがわかった。
   生かせることはいっぱいあると思う。」

  さらに竜巻の発生を事前の予測する研究も進められている。
  新しいレーダーで得られたデータをスーパーコンピューターで解析する。
  実用化できれば竜巻が到達する30分前に警報を出せるという。

  米海様大気局予報研究開発部 デビッド・ステンスルッド部長
  「被害を正確に予測できるので
   米だけでなく世界の人々にも役立つ。
   2020年~25年頃には実現できるだろう。」

  竜巻に強い建物も登場した。
  住宅自体がシェルターになっている。
  ドーム型にしたことで風速130mの風にも耐えることが出来る。
  壁はコンクリートと鉄筋を三重に重ね強化した。
  竜巻でとばされた瓦礫や木の破片がぶつかっても壊れないとされている。
  窓を少なくし窓ガラスが割れて中にいる人が怪我をするリスクを減らした。
  建設費用は一般の住宅とほぼ同じ。
  4年前 連邦緊急事態管理庁によって
  竜巻やハリケーン対策に有効だと認定された。
  アメリカではいまこの建物を体育館や公民館など地域の避難場所として
  採用するところが増えている。
  政府は建設を希望する自治体に補助金を出している。
  すでに全米で約4,000棟が建設された。
  
  設計士 デビッド・サウスさん
  「最も誇りに思うのは
   ドーム型の学校が何度か竜巻に襲われても安全だったことだ。」

  竜巻の脅威にさらされるアメリカの人たち。
  型にはまらない発想と科学技術の進歩が
  アメリカの竜巻への備えを支えている。

  
  

コメント    この記事についてブログを書く
« 「怪盗ルパン」最後の作品出版 | トップ | 「安くてかわいい」がいい ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

海外ネットワーク」カテゴリの最新記事