名大柔道部ログ

名古屋大学柔道部のブログです。
日々の練習や出来事を記録していきます。

我未だ木鶏たりえず

2014年12月07日 22時03分32秒 | 部員日記

「未だ木鶏たりえず」

 これは戦前の大横綱、双葉山が大台の70連勝に大手の懸かった取組で安藝ノ海に敗れ、その夜に友人に打電した言葉である。何事にも動じない木鶏のような強さを目標として相撲道に精進し、そして負けたとき、まだ木鶏のような状態になれていないという気持ちを表して放った言葉だ。私もそのような境地に立つことが出来るのかなとふと考えているとき、私の下半身はふんどしによって痛いほどガチガチに絞められていた。

 今年も我が名大柔道部に負けられない戦いがやってきた。皆も周知の通り、年に一度開催される名大唯一の部活対抗試合「Kato sumo festival in 2014」である。昨年の「Kato sumo festival in 2013(http://blog.goo.ne.jp/mei-j/e/f5ec46912cc50b297d90db72e27c71f2)」では圧倒的な強さを見せた我が柔道部が優勝をさらった。この大会で我が柔道部は、参加した場合にはすべての大会で優勝を積み重ねている。そのため、我らが求めているものは常勝ではなくもはや必勝であり、優勝することが息をすることと同じような精神状態を求めて日々精進している。そして、今年も優勝を狙うべく、そのような精神状態に達した最強の三戦士を召喚した。

 まず、団体戦の流れを作る先鋒を担うのが魔都市佐原出身の悪童「及川仁士」。家族代々の柔道家であり、そのDNAには勝利への執念が刻み込まれている。大会前日のオファーであったが契約金20億佐原ドルで出場を決めてくれた。(写真真ん中)

 

 

 次に勝負の分かれ目を担う中堅を務めるのは前年に続いての参加となる本田。部活を引退後レアキャラと化した彼が人前に出ているのに驚いている人がいるかもしれないが、実は色々と忙しく部活に行きたくても行けないらしい。多忙な日々の中、スケジュールの調整を重ね参戦が実現した。

 

 最後に、全ての責任を負う大将にはシカゴからの刺客 K.Takuzo氏を据えた。銃社会のアメリカで、銃弾の雨の中、傘を差しながら学校に登校していた彼にとって平和な日本は刺激がないらしく、より高い刺激を求めての参戦となった。(写真左手前)

 

 また、作戦参謀には昨年と同様に百選練磨のブラジルの弁護士ハモン氏を招聘した。いつになく最強のメンバーが集まり気持ちがたかぶる中、我々は優勝できるかを考えているのではなく、どのように優勝しようかを考えていたものだ。

 

 

 今年の大会にはラグビー部から2チーム、応援団からの1チーム、剣道部から1チームが参戦しており、柔道部を入れて計5チームのリーグ戦として争われる。全チームが総当たりとなるので、その実力が鮮明に表れてくる方式となっている。もちろん我が柔道部は全勝を目指すが、考えることは目の前の敵を倒すことのみである。そして、ついに大会の幕が切って落とされた。

 

 第一試合に迎えるのはまさに他の参加チームの中で最強と思われるラグビー部Aチームであった。太く鍛え上げられた両脚を持ち、猪突猛進にタックルをかます彼らには昨年もだいぶ苦しめられた。そして、私は早くも天王山を迎えたと感じていた。

 その初戦を先鋒の悪童及川が迎え撃つ。相手の先鋒は及川とかなり身長差のある黒く日焼けしたラガーマンである。

 

 その取組、始まると同時にラガーマンはタックルを仕掛けてくる。しかし、次の瞬間に倒れているのはラガーマンであった。及川が体をかわし、相手が自分の勢いで飛んでしまったのだ。「柔よく剛を制す」を皆が目の当たりにした瞬間であった。一方、次鋒の本田は完全に剛よく剛を制すで、相手に体を浴びせ倒していた。

「ふんっ」

 

 その後も、柔道部は大将のK.Takuzoの覚醒もあり、木鶏のように何にも動じることなく勝ち星を重ねた。

 

 全勝で迎えた最終戦、その相手は応援団。団長を中心にまとまった手強い軍団であり、常に他人の応援をしている彼らにとって自分自身のために戦うのはおそらくこの大会くらいであろう。そう考えると、応援団には底が見えず我らのふんどしは足の震えで緩み始めていた。

そして、最終戦が始まる。

 我々は無想の勝利を手にしていた。もうそこに記憶はない。我らは木鶏たり得たのだ。ここで、我々の全勝優勝が確定した。その後行われた個人戦でもさらなる刺激を求めるK.Takuzo氏が敵を一掃し、見事優勝を果たした。

 

 もはや必然の優勝に、閉会式後も我らには優勝の笑みはほとんど見られなかった。

 

 そう、我らは木鶏たり得たのだ。

 

 

 ちなみに帰り際に知らない人から一緒に写真を撮ってほしいと言われたので一応王者として撮ってあげた。

 

コメント (7)
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