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ロンドンから徒然に

Tantrum

2014-07-09 | 日常
 「自分の人格の中で政治的意見に関わる部分はそんなに大きくはない。本当ならばたった今の政治の惨状などから離れて、人間というものを悠然と広く見る視点に立ちたい。下品で浅ましい争いに背を向けて一人になりたい。」

 これは数日前の朝日新聞のコラムにあった作家の池澤夏樹氏の弁なのですが、それでもなお「今は声高に言わなければならないことが多い。」との一文から始まっています。
 事実最近このコラムで取り上げられることは政治に関することも多く、いつも感心させられます。

 で、僕自身も残念ながら“政治的人格”はあまり持ち合わせず、このブログでも(多少の皮肉は込めてあっても)真っ正面から政治ネタを取り上げるなんてことはないのですが、遠くイギリスに住んでいても、今の日本のきな臭さは伝わってきて、何だか落ち着きません。

 そこで新聞を読んだり、ネットでニュース(動画も含めて)を確認したりするのですが、安倍首相の発言や行動に注目しても、あれっ?あれっ?と疑問符ばかりが浮かびます。いや、その内容が正しいとか間違いだとか言う以前に、何だか矛盾した内容や行動が多くて、どう解釈していいものやら分からないんですね。

 これは一体何なんだろう?
 なんて思っていた時に、こちらの児童本にtantrumという言葉を見つけました。英和辞典を引くと“不機嫌、かんしゃく”とか載っているんですが、よく小さな子供がモノをねだって床に寝っ転がってダダをこねていますよね。どうもああいうことを指すみたいなんです。

 で、こんなこと書くのは非常に失礼だとは重々承知しているのですが(本当にすみません)その時首相の姿が浮かんで、何となく僕の抱いた矛盾感の説明に思い至ったのです。
 
 そうか、あれは子供(首相)がどうしても自分の欲しい、例えば鉄砲みたいなおもちゃ(つまり自分は楽しめるけれど下手すると人を傷付ける)を手に入れたくて、大きな声でダダをこねて、その親たち(自民党と公明党)もそのむちゃくちゃな行動を持て余して、よしよしと買ってやろうとしているんだ。
 特に片方の親(自民党)は親バカか、あるいは子供に何か負い目があるか(首相の人気がなければ選挙に勝てませんしね)。もう一方(公明党)は普段平和的な親を自認しているだけに、それなりに子供を説得しようとしたけれど、結局妥協して、他のおとな(主たる選挙民である学会員)への言い訳に必死。「いや、本当にもう限定した場所と機会でしか使わせませんので…わかったわよね、●●ちゃん」
 そんなこと子供はその場しのぎでうんと言うに決まっていて、すぐに忘れて好き勝手に使いますよね。

 だから僕は首相をかばうことにしたんですよ。子供だったら例えば以下のような行動を取ってもまぁ仕方ないと許されるんじゃないかと。

 放送で批判されるのがイヤならそこの会長や委員に自分の肝煎りの人間を据えて睨みを利かせればいいし、
 原発を再稼働したければ原子力規制委員会に(内規には違反するけれど)業界から報酬をもらっているような利害関係の一致した人間を入れればいいし、
 幹事長が閣議決定を急ぐなと諫めるようならそれをすげ替えて別の人間を交渉相手に据えればいいし、

 かつて「国民の半数以上の思いを反映しなくていいのか」と叫んで、憲法96条の要件を三分の二から過半数に改正しようとしたけれど、その試みに失敗したら、その国民の半数以上が反対、あるいは「検討不十分」と思っている集団的自衛権は、勝手に閣議だけで決めればいいし、(だから「国民の半数以上の思いを反映しなくていいのか」という自分の言葉がブーメランのように戻ってきても無視すればいいし。)
 同じく半数以上の国民が反対している原発再稼働だって、無視して進めればいいし、

 それに秘密保護法の成立の後、「もっと時間をかけて審議すべきだった」と反省してみせても、そんなこと次のことを決める時にはもう忘れてもいいし、

 「日本の原発は世界一厳しい基準だ」とさえ強調しておけば、具体的な内容も説明せず、テロ対策もなく、避難路も確保しておかなくてもいいし、

 「米軍の船に乗っている日本の女性やお子さんを助けなくていいのか」といつも同じ台詞を用いて勇ましく自己陶酔しておけば、いくらそのリアリティのなさを専門家に指摘されても、集団的自衛権の具体例を説明したことになるし、

 臨機応変に質問に答えるのが苦手ならば受け付けずに(幹事社の質問は事前に通告させて回答を紙に書かせて準備すればいいし)用意した自説で殆ど時間を費やして、広報官に予定時間を過ぎたと言わせればいいし、
 そんな風に不測の事態への対応が苦手でも、有事の際の最高責任者は自分だし、

 ……etc. etc. まぁ子供だからということで、許してあげましょうよ。
 えっ、やっぱりそんな子供はいやだ?でもそうやって甘やかしたのは経済成長の一点欲しさに他のことに目をつぶって投票した僕ら選挙民なんですよ。
 いや、違うか。こんなことは全然選挙の時には争点にしなかった彼の方が一枚上だったのかも?子供といってもあなどってはいけません。

 あぁ、今日は一気に書いちゃったから、お叱りを受けることもあるだろうな。でも僕も政治的人格から見たら子供だから、まぁそこは大目に見て下さい。

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