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ロンドンから徒然に

政治家の評価

2010-09-07 | 旅・イベント
 ブレア元首相が “A Journey”という彼の自伝を発表し、各地の大手書店でサイン会を予定していました。最初に行われたダブリンでは、多くの抗議者が卵や靴を投げつけたりして逮捕者まで出た模様です。

 聞いた話ではサイン会自体もものものしく、住所を書かされ、ボディチェックをされた上、時計等の小物も一旦預けなければならないとのことなんですが、さらにはサインをしてもらった本も書店側が預かり、帰りに出口で渡すとのこと。
 どうして?
 これ、本を投げつける行為をおそれてのことらしいんです。いやはや前代未聞のサイン会です。

 実はロンドンでも明後日水曜日、ピカデリーのWaterstone’sでサイン会が予定されていましたが、今日これをキャンセルするとの発表がありました。ダブリン以上の警備の大変さを考慮してのことみたいです。

 ブレアが首相に就いた頃のことはよく覚えています。一国の首相を指すには不適切な表現かもしれませんが、ひとことで言うとカッコ良かった。
 若いし、弁は立つし、行動力はあるし。事実その後の労働党は評判もよかったし、経済も順調に伸びた、と少なくとも外から見ていてそう思えました。

 ところが件のイラク戦争。彼の“決断”のせいで、戦場で命を落とした若者の数は何百人にも上ります。いくら本の印税を全て戦争関連の被害者の救済に当てるとしても、身内にしてみたら許せるものではないでしょう。




 ベルリンには“壁”が残っている地区がいくつかありますが、おそらく一番長くそして有名なイースト・ギャラリー。文字通り、壁一面が大きなキャンバスと化しています。
 
 その中にあったゴルバチョフの似顔絵。
 考えてみたら彼の存在がなかったら壁の崩壊も、東西冷戦の終結もこんなに早くは実現できなかったんじゃないかという気がします。
 でも、その後の評価はその業績ほどの名声と人気が保たれているとは思えません。

 まことに政治家の評価というのは難しいものです。この後何十年も経って、このふたりはどういう歴史の位置づけになるんでしょう。