HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

情報という武器で

2007-10-01 | 日常
 独裁政権がその権力を維持するための一番有効な手段は何か?それはおそらく情報の統制でしょう。かつての日本や東欧や今の北朝鮮がそうであるように、人民に真実は伝えずに政府に都合のいい情報だけを流し、反対勢力が広がるきっかけを与えないようにするのが常套手段です。
 ミャンマーの軍事政権がインターネットを導入するに当たっては、きっと内部でも議論があったに違いありません。しかし、情報産業の利権を得るために導入に踏み切りました。その裏では、都合の悪いサイトやブログは容易に閉鎖や遮断ができるとの甘い考えもあったようです。

 そして今回のミャンマーのデモ。きっかけになったのは僧侶に対する軍部の暴行を暴いたブログでした。そして次に決定的な段階に至ったのが、民主化勢力の象徴とも言えるアウン・サン・スーチー女史とのデモ隊の遭遇の写真がネットで流されたことでした。あの写真を見た時は僕も鳥肌が立つような感動を覚えました。
 武器を持たずに平和的な行進を続ける僧侶と一般の人達を、しかし軍部政権はあくまで弾圧にかかりました。日本人ジャーナリストの死という犠牲まで出しています。
 この誰が見ても非難すべき国家の犯罪に、国連は無力です。自国の利益を優先する大国の自分勝手な論理がまかり通っています。せっかく立ち上がりかけた民主化の波を応援することができずにいるのです。

 でも、きっと民主化の火は消えることはないと信じています。情報は力です。武力よりも大きな力です。国の中から外から、真実を伝える人達を応援したいと思います。
 長井健司さんのご冥福を祈ります。