まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本② 8月

2023-08-23 12:20:27 | 文庫のページ
新しく買った本②
③『すなはまのバレリーナ エリアナ・パヴロバのおくりもの 川島京子/ささめやゆき のら書店2022.8
 日本で初めてのバレエ学校をつくったロシア人のエリアナ・パヴロバとその学校でエリアナに師事し、バレエダンサーとして振付家として活躍した橘秋子と、娘の牧阿佐美の物語です。
 1917年のロシア革命で故郷を追われ、日本に亡命したエリアナが鎌倉の七里ガ浜に日本で初めてのバレエ学校を創設したのは1925年のことです。全国からたくさんの生徒が集まります。その一人が橘秋子です。世界が戦争に巻き込まれる中、エリアナはまたしても苦しい選択を迫られます。バレエ学校を続けるため、名前を「霧島エリ子」に変え、日本人として戦地慰問にも参加します。慰問先の中国で病に倒れ、命を落としますが、エリアナのバレエへの熱い思いは戦後、橘秋子へ、そして秋子から娘牧阿佐美へ確かに引き継がれていきます。
 ささめやさんの味わい深い絵が心に残ります。とくに中表紙の踊るバレリーナの姿が美しいです。
④『ニワシドリのひみつ 庭師鳥は芸術家 鈴木まもる 岩崎書店2014.4
 ニワシドリはオーストラリアとニューギニア島だけにすむ鳥で、「あずまや」というふしぎな形のものを作ります。ニワシドリの仲間は全部で20種類、そのうちの17種類が「あずまや」を作るそうです。しかも作るのはオスです。「あずまや」の形もさまざまで、表紙はアオアズマヤドリが作った「あずまや」です。木の枝をあつめて地面に立て、自分の体の色と同じ青いものをあつめて並べています。
 8種類のニワシドリの「あずまや」が紹介され興味深いです。大きいものでは直径2メートル、高さ1メートルのものもあります。その絵の見事さにも圧倒されます。小枝の一本一本が丁寧に描きこまれ、感動的です。なぜニワシドリは「あずまや」を作るのか、その謎にも迫ります。
⑤『ニワシドリのひみつをもとめて』 ものづくりをする鳥のふしぎをさぐる旅 鈴木まもる 理論社2023.7
 ④で紹介した『ニワシドリのひみつ 庭師鳥は芸術家』が誕生するまでの興味深い話です。
 子どもの頃、図書館で見たアオアズマヤドリの「あずまや」の写真のことがずっと気になっていた鈴木まもるさんは、大人になって絵本作家になり、鳥の巣に出会い、ニワシドリについてもっと知りたくなります。ニワシドリはなぜ、何のために「あずまや」を作るのか、その謎を解明すべく、2006年にオーストラリアに、2007年にパプアニューギニアに、2010年にイリアンジャヤに出かけます。なんとそれは6万キロに及ぶ旅になりました。現地で8種類の「あずまや」を間近で見ることができた旅のすべてが詳細に語られています。
 ニワシドリのさまざまな謎について解明していく鈴木さんの姿勢にも感動できます。さらにニワシドリの「あずまや」が私たちに教えてくれることについて書かれた第7章は感動的です。大人の方はもちろん、中高生にもぜひ読んでほしい本です。
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寄贈本・新しく買った本① 8月

2023-08-23 11:33:53 | 文庫のページ
寄贈本 ありがとうございます。
■武田節子さんからいただきました。
『みちのく妖怪ツアー 謎解き編』 佐々木ひとみ・野泉マヤ・堀米薫/東京モノノケ 新日本出版社 2023.7
 2018年に出た『みちのく妖怪ツアー』シリーズの6冊目。東北6県に伝わる妖怪にたくさん出会える興味深いシリーズです。でもちょっと怖い話。
 県内で子どもの本の書き手として活躍する堀米さんたち3人が一緒に一冊の本を作るという試みに挑戦した意欲作といえます。今回はそこに謎解きが加わり、おもしろいです。ただ妖怪に興味を持ち、妖怪に本当に出会ってしまう5人の子どもたちの最後が気になります。最後の優くんの話は、ちがった展開でほっとできます。

新しく買った本①
世界みんわ絵本 《アメリカ》『ノガモのうた』 木島始/スズキコージ ほるぷ出版1992
 昔話としても、黒人民謡としてもアメリカではよく知られているお話のようです。とても不思議なお話です。
 鉄砲撃ちの男が野ガモの群れを見つけ、一羽の野ガモを撃ち落とし、家に持ち帰っておくさんに料理を頼みます。不思議なことに野ガモは鉄砲で撃たれても、羽をむしられても、鍋で煮られても、歌い続けます。野ガモが繰り返し楽しそうに歌う歌が印象的です。
 スズキコージさんの描く野ガモの群れの迫力に圧倒されます。食べられそうになる仲間を助け出すシーンは特に画面全体に野ガモの力がみなぎります。お話の最初で鉄砲を構えて野ガモを撃つ力強い男の絵の構図が見事です。男にとってはよほどショッキングな出来事だったのでしょう、気の毒に最後、男の力強さはすっかり影をひそめてしまいます。
②『マルスさんとマダムマルス』 ささめやゆき ひだまり舎2023.5
 1972年から73年にかけて、ささめやさんはノルマンディ半島の先端に位置する、地図にものっていない海辺の町で暮らします。それから25年後の1997年、その頃を思い出して絵を描き、出版したのがこの絵本(出版工房・原生林)です。その後出版社がなくなり、絵本も幻の絵本になってしまいます。ところが25年後の2022年、この絵本を復刻したいという出版社が現れ、今年出版になりました。その海辺の町で出会った出来事や人々との思い出を静かなタッチで描いた絵本です。
 マルスさんとマダムマルスは大家さんです。マルスさんは毎日、家の修理に明け暮れ、マダムマルスはクッキングに余念がない、そんな静かなたたずまいのご夫婦です。変わらないものと変わりゆくものの中で絵を描き続ける若いささめやさんの姿が見えてくる、絵も文章もすてきな絵本です。
 仙台文学館で今も開催されている「ささめやゆき物語」のチラシの絵はこの絵本の一場面です。
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お知らせ 8月

2023-08-23 11:06:32 | 文庫のページ
①文集「なかま」45号の発行について
 夏休み明けには完成できると思ったのですが、今年の夏は異常な暑さで、思ったように作業が進みませんでした。9月末の46周年のお祝い会までにはお届けしたいと思います。
 もう少し早くでき上がるかもしれませんが、まだまだ暑さは続きそうですので、無理をせず、仕上げたいと思います。もう少しお待ちください。
 昨年10月の若菜晃子さんの講演記録が載りますので、楽しみにしていてください。
 ***秋の特別おはなし会は11月18日(土)、クリスマス会は12月16日を予定しています。
②子ども市 今年はお休みします!
 昨年は3年ぶりに子ども市を開くことができ、ありがとうございました。お手伝いくださった方にも、当日来てくださった方にも、感謝しています。今来ている小さい人たちにとっては初めての子ども市でした。楽しんでもらえてよかったです。
 今年も開くつもりでいたのですが、9月から11月まで、思いがけず忙しいことが次々と出てきてしまいました。今年はお休みしようと思います。2年に一度の開催なら、これからも続けていけるように思います。来年は開催したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
③仙台手をつなぐ文庫の会50周年記念講演会
  日時:2024年1月21日(日)13:00~15:30
  場所:未定(決まりましたらお知らせします)
  講師:絵本作家・鳥の巣研究家 鈴木まもるさん
  テーマ:絵本と鳥の巣の不思議 ―鳥の巣が教えてくれること―

チラシができたらまた詳しくお知らせします。予定に入れておいてください。
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