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小島教育研究所

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大学入試新テスト導入の舞台裏について。

2016-01-21 | 大学受験
 国公立大学入試に関する新テストのイメージ問題について、昨日述べたが、一体何を目指しているのか一般の方には分かりづらいのではないでしょうか。これは、大学をはじめとする高等教育機関の入学要件として、アメリカではSATやSATⅡ、あるいはGAMTといった統一試験があり、個々の大学では、日本におけるような一般入試が存在しないことに起因します。つまり、ある程度公の機関が標準的なテストを行い、大学側が統一テストのどの科目を受験しなさいと指示する場合が一般的です。例えば、MITの工学系を受けるならば、SATⅡの物理と英語(ライティングを含む)の結果を申込時に提出させます。特にAO入試では、書類審査を合格すると、個別に面接が実施されます。スタンフォード大学の場合、面接官がわざわざ日本にまで来てくれます。おおよそ2時間の面接試験が1対1で行われます。学生の学力は統一試験で測り、多彩な才能は面接等で確認するのが一般的です。
 またヨーロッパではEUの統合を見据えて、高等教育機関への入学者の流動化をはかるために、ボローニャ宣言がなされ、フレームワークの統一化、統合化が目指されています。もっと分かりやすく言えば、国ごとに高等教育機関の制度が異なり、EU内での人の移動は起きにくい。また異なる教育制度で学んだ人を雇い入れるとき、卒業証書一つでは、判断が付かないという事情があります。そこで、卒業時には何が出来るかを明示し、質を保証する修了書を発行する必要があるのです。入学から卒業までに身につけた学識・技能を有る程度の共通尺度で評価する必要があるのです。先のボローニャ宣言により、毎年各国の文部大臣級の閣僚が会合し、その進捗状況を確認しています。
 一方、OECDの調査による学力調査の国際比較等で一時期、日本の低迷ぶりが話題になりました。また英国の雑誌社による世界の大学ランキングでも、その国際性の低さから、日本の主要大学ですら、その国際的な順位はそれほど高くはないです。
 以上の状況を踏まえ、国際社会における日本の教育を見直し、大衆化、一般化された大学の送り出す卒業生の質を高レベルに保つための方策の一つとして、大学入試における新テストが取りざたされているのです。
 いずれにしろ、大切なキーワードはコンピテンスです。その人に何が出来るか、それを高レベルにするための教育制度が求められているのです。
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