共通一次試験から名称がセンター試験と変わっても、歴代のセンター長は、慶応義塾大学の塾長経験者が勤めている。
1979年1月から始まった共通一次試験では、参加大学は国立、公立大に限られていた。そこで、私立大学でも独自入試の他、センター試験も利用できるように、全ての教科を受験しなくともよしとする、アラカルト形式を導入し、私立大学には必要な科目の成績のみセンターから通知することを可能とした。これが平成2年以降のことである。慶應義塾大学の参加により、他の私立大も参加を初め、今やセンター利用方式を取らない私立大学を探す方が難しい時代となった。そういった意味では、センター試験からの完全撤退を決めた慶應義塾大学の大きな方針転換の意味するところを検証する必要がある。
ここで、現在の入試制度における、入試形式を分類すると、一般入試、推薦入試、AO入試、センター利用と4分される。
AO入試は、今や大半の私立大学では導入されえている制度である。自己推薦精度であり、本来は特色ある学生を入学させるための制度である。余談ながら、このAO制度を日本で最初に導入したのは慶應義塾大学湘南藤沢の総合政策学部と環境情報学部である。
一般に、センター利用タイプ以外の入試では、初めから受験大学への入学意思が固いものが受験している。したがって、合格すればまずほとんどが間違いなく入学してくる。こうした学生に対して、センター利用タイプは、大学を併願する学生が大半であり、センタータイプでまづ落ち着き先を確保しておき、本命大学を受験するケースが多い。当然、センタータイプで合格したとしても、本命大学に合格すれば、そちらに流れてしまうのは当然である。その大学にどうしても入学して、そこで4年間しっかり学びたいという、当該大学への帰属意識がセンタータイプの合格者とそれ以外の合格者では、根本的に異なる。それは、AO入試合格者の歩留まり率を見れば明らかである。
また、センタータイプの合格者の得点もハイレベルに密集している。つまり、差がつかない。例えば、法学部のセンタータイプでは、合格者(正規合格者50名)の平均は850点以上といわれる。これだけの得点率を上げられる学生ならば、国立他大学(例えば東大文一)も十分狙える層であり、事実かなりの学生が抜けている。
以上の検証により、明らかなように、「慶応義塾大法学部の大学入学者選抜試験としてセンター試験を利用することはもはや無意味となっている現状」をかんがみ、平成24年度入試より、センター試験利用入試から完全撤退とした。
いづれにしろ、貴方がどの入試タイプで大学を受験するかを、早期に決めておくことが、成功に繋がる。慎重に、かつ大胆に自分の進路を見極めよう。方針を早く決めた人が、当然ながら成功する確率は高い。
(参考資料:旺文社パスナビ)