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小島教育研究所

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高校でも“1人1台”の時代に突入 『GIGAスクール構想』で教育現場が変わる!

2021-05-04 | コンピュータよもやま話
 1人1台の学習端末所有を骨子とする『GIGAスクール構想』。小学校、中学校に続き、今年度から高校でも本格的なデジタル学習がスタートしている。

そこで、ICT環境の導入によるシステム上のメリットをはじめ、教育現場での活用例や現状抱えている問題点など、1年前倒しされて開始された高校向け『GIGAスクール構想』の現状を学研プラス社の文教担当者に伺った。

今までデジタル学習への取り組みを行なっていた“現場を知る人”の話だけに、教育ICT環境の現実的な部分が見えてくるはずだ。

生徒と教員をつなぐ「学習eポータル」準拠のプラットフォーム
現在は、2019年度より採り入れられた“探究学習”をはじめ、高校の授業内容の変化・深化が進み、生徒はもちろん、教員からもICTの活用が期待されている状況。必要となるのは、情報の共有や利活用がしやすい“学習のハブ”だ。


↑高校教育コンテンツ事業部で“学習eポータル”を担当する田中宏樹さと教材編集室の室長を務める志村俊幸さんに、ICT環境導入の現状についてお聴きした


「探求学習は、以前アクティブラーニングと呼ばれていたもので、単純な暗記ではなく、自身で考えて能動的に学ぶことができる授業のこと。例えば古地図を見て“この庄屋の生活として考えられることは何か”といったように、正解が書かれていないものを調べ、自分で考えて答えを出すというものです。この例でいえば、地図上にある倉に年貢として集められた米が保存されていたのではないかとか、そういったことが考えられるわけですね。ただし、これだけでは知識と想像止まりです。ここにICTが加わると、文化遺産として現存している屋敷や倉の様子を調べる、検索で異なる見解を見つける、専門家へと連絡してコメントをもらうといったことまで実現できます」(志村氏)

「現実世界と知識を結び付け、自分事として扱うというのが、従来との大きな違いでしょう。小学校や中学校ではこういった傾向がありますが、高校ではもう少し踏み込んだところ、例えば世界が取り組むべき課題に対し、調べながらレポートを作成するとか、問題点を洗い出すとか、それらをまとめてプレゼンする、といったことが考えられていそうです。グループ内の議論やデータの取りまとめなどで“学習eポータル”が活用されれば、教員があとから議論の中身をチェックでき、どの生徒がどんな役割をしていたのかの把握も可能になります」(田中氏)

このように、教科書の中で完結していた学習と違い、外部からの意見を採り入れたり、新しい情報を検索で探せるというのがICTが得意とする部分だ。そして最終的な答えだけでなく、その過程まで共有できる学習のハブとしての役割が“学習eポータル”に期待できる。

「こういった学校での学習はもちろんですが、それ以外でもICTは期待されています。そのひとつが、留学。本来であれば海外へ行くような学ぶ意欲の高い人たちが、コロナ禍によってその道が閉ざされてしまっています。こういった人向けに、世界の人たちとつながれる場所、また、海外の専門家と直接やり取りできる方法として、ICTが活用できるのではないでしょうか」(田中氏)

【ミニコラム01】

『学習eポータル』とは?
ICT環境導入のメリットは、データが収集しやすく、学習や生徒指導、校務などの効率をアップできる点だ。とはいえ、ただデータを集約すれば良いというわけではない。一定のルールに沿ってデータを記録することで、手軽にデータを分析したり、利活用したりといったことが可能になる。収集するデータのルールを定めるのが文部科学省の提唱する『学習eポータル』だ。児童生徒・教職員・学校の基本情報をまとめた“主体情報”、学習内容を記録する“内容情報”、出欠や成績・評価などの“活動情報”の3分野に区分される。全国の学校や児童生徒の属性など、共通化することが目的だ。


生徒の状況を“見える化”することで、効果的な指導を実現!
ICT導入の大きなメリットとなるのは、生徒の状況を“見える化”できること。学習の進捗状況や生徒の行動を把握でき、学力の向上や生徒指導なども、生徒個人に合わせて、より効果的なアドバイスが可能になる。

「ある高校生が数学の成績で悩んでいるといった場合、過去の宿題の提出状況とか、テストの結果などと突き合せれば、どこで悩んでいるのか、何が問題になっているのかを教員が見つけやすくなります。漠然と“勉強しろ”というだけではなく、より効果が高く、生徒に寄り添った指導ができるようになるわけです」(志村氏)

ICTの活用は、生徒の状況を“見える化”することで、問題点を見つけるまでの時間を大きく短縮できるのがメリットだ。今まで以上に的確な指導ができるようになるため、全体レベルの底上げや優秀な生徒のさらなる能力向上も見込めるようになるだろう。


↑ビジネスシーンでは、さまざまな情報をデータ化して記録をとり、そのデータを元に作業の効率化や製品開発の方向性などへフィードバックするのが常識に。今後は教育機関でも同様のデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められる


一方で、教材や教育コンテンツとしてデジタル学習が増えていくと、プリントや資料の配布準備といったものが必要なくなり、教員の負担が軽減されていくことは想像に難くない。そうなれば、生徒と向き合える時間がさらに増えるだろう。

また、デジタル学習で期待されていることのひとつが、配信を使ったリモート授業だ。


「以前から配信を使った授業、学習を行なうというのは言われてきていましたが、普及はせず、足踏みしている状態でした。この理由は簡単で、日本では通える範囲に学校があるというのがほとんどで、必要性がなかったからです。海外では学校に行こうとすれば移動だけで半日かかるとか、冬場は雪で閉ざされてしまうので通えないといった地理的問題があり、こういった生徒向けに通信を使った教育が普及してきました。日本ではコロナ禍の影響で学校へ通えなくなってリモート授業の必要性が高まり、多くの現場で急遽導入されるようになりました」(志村氏)

ただし多くの場合、教員の工夫や努力による部分が大きかったのも事実。ソフトやサービスの選定から機器の用意まで、保護者の協力を得ながらなんとか実現したというところも少なくなかっただろう。


しっかり環境が整ったプラットフォームが導入され、1人1台学習端末が行き届くようになれば、こういった準備の苦労をすることなく、授業ができるようになるのだ。


↑以前に取材した埼玉県の『学校法人塩原学園 本庄第一高等学校』では、すでに“1人1台”環境を実現し、リモート授業も対応。加えて、校務の効率化にも活用され、教員をサポートしているという


【ミニコラム02】

“高校GIGA”を視野に入れた教育機関向けのソリューションが登場
ICT導入やデジタル学習におけるメリット、デメリットを多くあげてきたが、運用が軌道に乗れば、教員の負担が減り、授業や生徒への指導に割ける時間が増えるというのは間違いないだろう。そこで注目したいのが、NECの教育クラウドサービス『Open Platform for Education』だ。

↑今年2月に機能強化された『Open Platform for Education』。“探究学習のサポート”や“オンライン進路相談”など、高校教育に役立つ機能を実装されるという

従来までの提供していたデジタル教科書や教材の利用に加えて、新たに文科省の『学習eポータル』へ対応。学習履歴の確認や分析などを前提とした仕組みを取り入れている。

また、設定したテーマに対して専門家や識者なども交えて議論ができる“探究学習のサポート”、社会人や大学生と面談することで将来の目標をより具体的にできる“オンライン進路相談”など、今後、教育現場で必要になる強化が図られている。

今後、本格的にICT環境の導入を検討している高校は、チェックしておきたいソリューションだ。

事前の準備や対策で、ICT導入直後のトラブルは回避できる
ICT導入といっても、生徒に情報端末を配れば完了ではない。情報端末を活用できる環境を整えられなければ、スタート地点にすらたどり着いていないことになる。環境とは、インターネットへ接続可能なネットワーク設備、コンテンツの用意、情報端末のセットアップ、利用マニュアル、トラブル対応できる人材など、多岐に渡る。

こういった点を考えると、Wi-Fi環境の構築と管理ができ、教員の情報端末操作をサポートする仕組み……いわゆる“情報システム部”が欲しくなる。学校ごとに数人常駐させるというのが理想だが、予算や人材面を考えれば不可能に近い。どうしても一部のわかる教員が頼りにされ、負担が大きくなってしまいがちだ。


↑企業では、専門の部署を設けたり、アウトソーシングしたり、ICT環境の構築やメンテナンスは切り分けるのが常識。教育機関では、それらを一般の教員が兼務していることが多く、なおざりにされるケースも


ここで問題となるのは生徒の端末だ。今年度からスタートした、高校向けのGIGAスクール構想では、生徒の端末は“BYOD”が前提となっている。BYODとは“Bring Your Own Device”の略称で、生徒が使う情報端末は保護者が用意し、それを学校に持ち込んで利用するという方法。このBYODのメリットは、情報端末の予算を保護者が負担するため、1人1台のICT導入コストが抑えられることだ。

その反面、教員がカバーしなければいけないデメリットは大きい。

「共通の情報端末でも操作に困るというのに、生徒それぞれがOSもメーカーも性能も違う情報端末を持ってきた時、対応できる先生がどれだけいるでしょうか。トラブルがあった場合の原因切り分けすら難しいでしょう」(志村氏)

パソコンのサポートが本業の人でも、利用したことのない端末をサポートすることは難しい。再起動するだけでも、電源ボタンの場所がわからず、手間取ることもある。ましてや、ICTが触れる機会の少ない生徒や保護者、そして教員である。無制限に端末を持ち込めば、授業の妨げになりかねない。


「こういったデメリットを考えると、メモリーが4GBでCPUがセレロンといった低性能パソコンでもいいから、確実に学習コンテンツが使える共通の情報端末を全員に配る方がよいでしょう。もちろん、小学校から高校まですべて同じにする必要はありませんが、せめて、学年で使う機器を統一する、もしくは、数機種に絞って選べるようにすると運用しやすいでしょう」(志村氏)

↑ビジネスシーンでも、同じタイミングで導入されるパソコンは統一されているのが一般的。いくつかの種類から選べる場合もあるが、BYODのように個人の端末をメインマシンにすることは稀なケースと言える

たとえ“1人1台”環境が実現できたとしても、それを十全に利用できる環境を用意できないのであれば本末転倒だ。とはいえ、高校向けの『GIGAスクール構想』は、本年度からスタートしており、待ったなしの状況になっている。ICTのリテラシーが高い担当者を用意できないのであれば『Open Platform for Education』などのような、統合型のソリューションの導入を検討したほうがよいだろう。

以上

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学校のタブレット 家ではゲーム機 小中学生配備端末に「抜け道」 中日新聞本日朝刊より

2021-05-01 | コンピュータよもやま話
アクセス制限/使い方教育必要

以前関西の私立中高一貫校で全生徒にスマホを持たせた。時間管理の目的もあった。当然有害サイト防止用のフィルタリングも施されていた。
ところが、生徒はフィルタリングを無効としてしまった。どうやって?
初期化して、OSを初期設定に戻して使い始めた。これにはNTTも学校側もお手上げ状態となった。

で、対策はどうするか?
生徒用端末をシンクライアント化するか、起動時に毎回初期状況にするかどちらかだろう。
いづれの場合も、生徒の作成したファイルはクラウドに置くことになる。
また、生徒の使用状況をサーバー側でモニタリングし、通信量が一定の限度額を超えたら通信を遮断もしくは通信速度の低速化を行うようにすることが大切だ。


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【2021年版】GIGAスクール構想とは?文部科学省が目指す新たな教育の姿

2021-04-24 | コンピュータよもやま話
SoftBank

Future Stride より

目次

・GIGAスクール構想とは
  ・定義
  ・背景
・GIGAスクール構想で変わること
  ・子供1人1人に最適化された学び
  ・教員と生徒、生徒どうしなど、双方向のコミュニケーション
  ・教員の働き方改革
・GIGAスクール構想実現のために必要な環境整備
  ・子供1人1台の端末
  ・校内の高速通信ネットワーク
  ・クラウド活用
・GIGAスクール構想の5つの課題
  ① 授業や自宅学習での端末の利活用促進
  ② 授業での活用事例の創出・共有
  ③ 教員の指導スキルの向上
  ④ コンテンツのリッチ化
  ⑤ 高校のICT環境の整備
・まとめ

 2023年度までを目標としていた「GIGAスクール構想」が、新しい生活様式への対応を経て大きく前進し、次のステージへと進みつつある。まだ課題は多くあるものの、1人1台の端末と高速通信ネットワーク、クラウドなどを活用し、教員と子供が双方向にコミュニケーションを取り、それぞれの子供に最適化された学びを提供する環境に徐々にアップデートされつつあるのだ。本稿ではGIGAスクール構想の全体像をわかりやすく解説する。

GIGAスクール構想とは
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定義
 GIGAスクール構想とは、1人1台の端末と高速通信環境の整備をベースとして、Society 5.0の時代を生きる子供たちのために「個別最適化され、創造性を育む教育」を実現させる施策である。GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「全ての人にグローバルで革新的な入口を」という意味が込められている。

 GIGAスクール構想の発表当初、文部科学省はリーフレット「GIGAスクール構想の実現へ」にて、1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワーク環境の整備を取り組みの中心に位置づけていた。2023年度までの1人1台端末の整備を掲げて取り組みが進んでいた中、新型コロナウイルスの流行と新たな生活様式への対応を受けて、GIGAスクール構想は急加速する。
「GIGAスクール構想の加速による学びの保障」として追補版が発表され、補正予算も4,610億円と大きく増額された。その結果、2021年3  在、ほとんどの自治体ですでに1人1台端末や高速通信ネットワークが実現できている状況だ。
現在の取り組みの中心は、「授業や自宅学習での端末の利活用促進」「授業での活用事例の創出・共有」「教員の指導スキルの向上」「コンテンツのリッチ化」「高校のICT環境の整備」などの課題解決にシフトしてきている。

背景
 GIGAスクール構想が推し進められた背景は、日本の学校のICT環境整備の遅れだった。前掲の「GIGA スクール 構想の実現へ」では、「脆弱かつ危機的な状況」と表現されている。
GIGAスクール構想の発表当初、教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数は全国平均で5.4人/台と1人1台には遠く及ばず、地域間格差も大きかった。また、その当時は世界的に見ても日本の学校におけるICT活用は遅れており、34カ国の先進諸国で構成されているOECDの中で、「学校の授業におけるデジタル機器の使用時間が最下位」という結果になっていた。こうした状況を打破するために、政府は校内通信ネットワークの整備と児童生徒1人1台端末の整備に補助金制度を導入し、GIGAスクール構想を推し進めることになった。
加えて、GIGAスクール構想より前から取り組み自体は始まっていたプログラミング教育もGIGAスクール構想の一部としてあらためて提唱された。AIやIoTを積極的に活用するSociety 5.0の時代の到来に備え、プログラミング教育を通して、情報活用能力と論理的思考力を身に付ける狙いだ。
 こうした背景により始まったGIGAスクール構想は、新型コロナウイルスの世界的な大流行を受けてその必要性が急速に高まり、2023年度までとした当初目標も2020年度内とアップデートされ、それに伴う予算措置も取られ、端末などの整備が進み、現在に至る。

GIGAスクール構想で変わること

子供1人1人に最適化された学び
 1人1台の端末が配布されることで、子供1人1人に応じたコンテンツや教材を配信できるため、学習状況に合わせた学びが可能になる。
これまでの一斉型の授業では子供たちの理解力に差があっても、1人1人に最適化した教材や指導を取れないことが課題だった。また地域間での教育格差など、学ぶ場所によって学習レベルが異なるという課題も存在していた。
GIGAスクール構想の目標である1人1台の端末と家庭を含むネットワーク環境整備が大きく進んだ現在、学習状況や地域を問わず、全ての子供が自分に合った教育を受け、災害や感染症による臨時休校時でも学びの機会を奪われない土台ができたと言える。
今後は授業や自宅学習での有効な利活用を進める、それを支える教員のスキルを向上させる、よりリッチなコンテンツを作るなど、端末や通信環境などのハードを活用したソフト側の高度化を進めることで、より質の高い教育が実現されるだろう。

教員と生徒、生徒どうしなど、双方向のコミュニケーション
 生徒1人1人に端末を持たせることで、子供が互いの考えをリアルタイムで共有でき、双方向での意見交換が活発になると期待される。生徒どうしのみならず教員と生徒のコミュニケーションも行えるため、教員が生徒の学習状況や反応をより深く知ることができる。
従来の一斉型の授業では、手を挙げた子供だけが回答や意見を発表していたため、自ら表現できない子供も多かったが、GIGAスクール構想では、全ての子供の意見が情報端末を活用して共有されるなどして、コミュニケーションを活性化させることが期待される。
また、学びの機会は授業中の教員と生徒間でのコミュニケーション以外からも得ることができる。例えば、整備された端末を活用して子供たちが興味を持ったことを調べたり、写真や動画などでアウトプットしたり友達どうしで共有したりする過程で、創造性を育む学びにつながるとも言える。
 GIGAスクール構想の重要な考え方として「創造性を育む学び」がある。愛媛県新居浜市の事例では、「タブレットを活用することで主体的かつ対話的な学習が可能になり、大きな効果を発揮する」としている。ICTは一方通行の勉強を教えるツールではなく、子供たちが学ぶためのツールであり、授業のみに留まらず、勉強にも遊びにも活用し、日常の一部として創造的に学ぶために活用されてこそ、真価を発揮すると言えよう。

教員の働き方改革
 GIGAスクール構想は教員の働き方改革にもつながる。従来の教育現場では、多くの業務が効率化されておらず、教員の勤務時間は長くなる傾向にあったが、GIGAスクール構想を通してこれらの解決につながる事例もある。
奈良県の事例では、各教員が紙やExcelなどで管理していた子供の成績や健康データ、行事のスケジュール、教員の出退勤などを、県域統合型校務支援システムを導入して共通管理することで、業務効率化が実現されている。
奈良県立教育研究所がソフトバンクと協力して行った教員の働き方調査では、統合型校務支援システムを導入したことで、「出席や学籍に関する情報共有ができ、児童生徒の指導に活かせるようになった」「グループウェアなどで情報を共有でき業務負担が軽減した」などといった肯定的な意見が多く見られた。
 GIGAスクール構想の実現は、子供はもちろん教員にも多くのメリットにつながると言える。
参考:奈良県の先生の働き方調査 - 奈良県立教育研究所

GIGAスクール構想実現のために必要な環境整備
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子供1人1台の端末
 GIGAスクール構想では1人1台の情報端末の環境整備するための補正予算が組まれている。前述の子供1人1人に合わせた教育や双方向のコミュニケーションなど、GIGAスクール構想を実現するためには、1人1台の端末はなくてはならない。
文部科学省の「GIGAスクール構想の実現パッケージ」では、「学習者用端末の標準仕様」として端末のモデル仕様を示しており、こうした端末を十分な数揃えることが大前提と言える。

校内の高速通信ネットワーク
 GIGAスクール構想の実現のためには、校内外に高速通信ネットワークが整備されることが前提になる。子供が1人1台の端末を持ち、教員と子供が双方向で情報をやり取りするには、途切れたり遅延したりすることのない高速な通信環境が必要となるからだ。今後、動画を教材に使った授業や、遠隔授業などが円滑に行われるためには、校内LANや超高速インターネット環境整備、LTE通信の活用など、まずはその土台となる通信環境が整備されていなければならない。

クラウド活用
 GIGAスクール構想ではクラウド活用も推奨されている。授業で使う学習ツールや、授業以外で教員が使う校務ツールなどにクラウドサービスを活用すれば、利便性や効率を高めることができる。
出欠や成績の管理ツール、学習支援ツール、グループウェアなど、教育現場で活用できるクラウドサービスは多数存在する。GIGAスクール構想では、子供はもちろん教員の働き方改革も期待されるため、こうしたツールを積極的に活用したい。

GIGAスクール構想の5つの課題
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① 授業や自宅学習での端末の利活用促進
「GIGAスクール構想で変わること」の章でも語った通り、GIGAスクール構想は端末の導入で達成されるものではなく、端末を活用して1人1人に最適な学びが実現されることにこそ価値がある。授業はもちろん、自宅学習や遊びまで、端末を活用して子供が幅広い学びの機会を得るために、教員や保護者がサポートしつつ促進する環境を作ることが必要だ。
現状では、まだ全ての学校で十分な利活用促進が実現できているとは言えないため、引き続き端末を活用した学習について促進していく必要がある。

② 授業での活用事例の創出・共有
 GIGAスクール構想を推進するためには、授業での活用方法や指導内容などの事例やナレッジを全国の学校で共有し、各学校や教員が利用しやすい環境を用意する必要がある。この点について、文部科学省は「StuDX Style」というサイトでさまざまな活用シーンの発信を行っている。
 StuDX Styleでは、タイピング方法やタブレットのカメラの利用方法といった基礎的な使い方の授業から、パスワード管理やオンラインコミュニティへの投稿といったネットリテラシーを育てる授業、子供と教員間でのチャットやカレンダーでの予定共有方法、作成したスライドを共有して互いの意見を深め合う授業など、幅広い活用シーンを紹介している。このほか、保護者とのやり取りや教員の働き方改革などにも触れている。
 事例の共有によって全国の学校で同水準の授業を受けられる環境を作ることは、GIGAスクール構想の重要な要素であるため、今後も事例の創出・共有は継続して進める必要がある。

③ 教員の指導スキルの向上
 ICTを活用した教育方法は従来のやり方とは大きく異なる側面もあり、指導する側である教員や保護者のITリテラシーをいかに向上させるかも課題となっている。前述の2018年度の奈良県立教育研究所とソフトバンクの協力調査では、統合型校務支援システムへの期待・不安への質問に対して「校務支援システムを利用するイメージがわかない」と回答した割合は29%に上った。また、加えて第2回調査では、「PCが得意な教員にとっては大変便利であるが、PCが苦手な教員にとっては、大変ハードルが高い」との意見も出ている。
しかし、前述の愛媛県新居浜市の事例で市内小中学校の全教員約600名を対象とした学校現場での端末利活用を推進するための研修では、多くの教員が前向きに取り組んでいたという。また、昨今の保護者はスマートフォンを日常的に使う世代でありリテラシーも高くなってきており、教員・保護者ともに徐々にリテラシー不足は解決しつつあると言える。

④ コンテンツのリッチ化
 端末を使って何を学ぶかが問われるフェーズに進んだGIGAスクール構想の次の課題のひとつが、コンテンツのリッチ化だ。リッチな学習コンテンツが豊富に取り揃えられていなければ、子供に提供できる学びの機会が限られてしまう。
前述の「StuDX Style」の事例のように、様々なツールを活用した学びの機会を今後も増やしていく必要がある。授業における端末を利用した学習やコミュニケーションはもちろん、自宅学習のオンライン化やオンライン授業、健康観察、さらには日本語が十分に話せない子供のための翻訳機能を使ったサポートなど、幅広いコンテンツを用意することが求められる。
近年では、新型コロナウイルスによる自宅学習に伴い、CBT (Computer Based Testing) と呼ばれる端末を使った試験の実施も増えてきており、今後も授業や試験のコンテンツが端末越しに行われるケースは増えていくだろう。

⑤ 高校のICT環境の整備
1人1台の端末整備が進んでいる小中学校と比べ、公立高校のICT端末の整備状況は遅れていると言わざるを得ない。文部科学省の「GIGAスクール構想における高等学校の学習者用コンピュータ等のICT環境整備の促進について」によると、2021年3月末時点の端末整備状況の見込みには、整備完了率・整備予定時期・予算負担などで自治体ごとに大きな差が生まれてしまっていることが示されている。
上記資料でも、義務教育段階で1人1台端末の環境で学んだ子供が、高校に進学してもシームレスに同様の学習環境で学ぶことができるよう、端末整備を推進していくと語られているように、高校においても端末整備を含む教育情報化に向けた環境整備は今後も進めていく必要があると言える。

まとめ
 Society 5.0が目指す効率的な社会に向けて、文部科学省はGIGAスクール構想を進めてきた。当初は1人1台の端末や通信環境の整備など、ハード面の導入の議論が多かったGIGAスクール構想も、現在では「ICTを活用して、どのような学びをいかに提供するか」というソフト面にシフトしてきている。
皮肉にも、新型コロナウイルスによる新しい生活様式はGIGAスクール構想の推進の必要性を高め、現在では多くの自治体が2023年度までの目標とされた水準に達しつつある。デジタルネイティブな世代の子供たちが、勉強や遊びなど日常のあらゆる場面でICTに触れ、学ぶ楽しさや意義を覚え、Society 5.0の社会を生き抜く力を育んでくれることを、切に願う。

以上 現時点でのSoftBankのGIGAスクール構想に対する基本的なスタンスを表明する文書である。


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MicrosoftのEdgeがリニューアル。タブが左側一列に上から下に並ぶようになる。

2021-04-21 | コンピュータよもやま話
このところ、挙動が怪しかったウィンドウズ。
ウィンドウズの一部手直しとEdgeのリニューアルが背景にあった。
自動でスリープになることはなくなったか?

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2022年から始まる高等学校、情報1の教科書が届きました。

2021-04-20 | コンピュータよもやま話
文科省の指導により各校1冊の原則あり。
老舗のJikyouさん。編集責任者は東大のHagiyaさん。
Python 、Java scriptの文字が表紙に踊る。
4種類の教科書はどれも楽しそう。

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コンピュータは身の回りに溢れている。

2021-04-08 | コンピュータよもやま話
IoT
ユビキタスコンピュータ
機械学習
AI
どこでもコンピュータ

うまくコンピュータと付き合おう。

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11万台を超える「Chromebook」を導入した川崎市――選定の理由とは?

2021-04-05 | コンピュータよもやま話

 いよいよ4月より、GIGAスクール構想に伴う小中学校の1人1台端末の活用が本格的にスタートする。中でもGoogleが提供する「Chromebook」は、比較的安価で導入できることから半数近くの自治体で採用されている。3月26日に開催された「Google for Educationの活用支援および川崎市の導入事例に関する記者説明会」では、現場の教員を支援する研修プログラムと、神奈川県・川崎市における先行導入事例の紹介が行われた。
充実した研修で現場の教員を支援
 説明会ではまず、Google for Educationのアジア太平洋地域 マーケティング統括本部長を務めるスチュアート・ミラー氏が登壇。同社が提供する教員向け研修について説明を行った。

 Google for Educationは、児童生徒がいつでもどこでも学習できるツールを提供しており、教育での利用を想定して開発された端末であるChromebook、協働学習や遠隔授業、校務支援に活用できるクラウド型の学習プラットフォーム「Google Workspace for Education」とそれに含まれる「Google Classroom」で構成される。

 スチュアート氏は、自治体がGoogle for Educationを採用した理由をいくつか紹介。「高いセキュリティ」「管理のしやすさ」「シンプルで使いやすい」「研修などの支援が充実している」といった声を挙げた。特に研修については、同社が提供する「Google GIGA School Package」に「Kickstart Program」という研修プログラムが含まれており、Chromebookを初めて使う教員にも好評だという。

GIGAスクール構想にもとづいて提供されているGoogle GIGA School Packageでは、ChromebookとGoogle Workspace for Education、教員向け研修のKickstart Programがセットになっている

GIGAスクール構想にもとづいて提供されているGoogle GIGA School Packageでは、ChromebookとGoogle Workspace for Education、教員向け研修のKickstart Programがセットになっている

 Kickstart Programは、1人1台の学習者用端末としてChromebookを導入するすべての自治体を対象に無償で提供される研修プログラムだ。Google for Educationに関するすべての「わからない」「使えない」をなくすことを目標に、オンラインと対面の研修を実施している。内容は、運用管理のセットアップや業務負担を軽減させるためのスキルアップトレーニング、主体的対話的で深い学びを実現するための授業での活用方法などだ。すでに政令指定都市をはじめとする、多くの自治体で実施されており、希望する自治体には引き続き提供を行っていく。

 研修コースは大きくに3つにわけられる。1つ目はオンラインで好きな時間に受講できる「プレ研修」。1時間の動画を視聴することで基礎知識を習得でき、理解度を把握するための確認テストも含まれている。動画の内容はデジタルスキルトレーニングWebサイト「Grow with Google」にも掲載されているため、誰でも視聴することができる。なお同サイトには、ほかにも教員向けのトレーニング動画が多数掲載されている。

 2つ目は対面で行う「コア研修」で、実際にChromebookとGoogle Workspace for Educationを教員自身が操作しながら、どのような活用ができるか基本的な操作を学ぶ。

 3つ目の「アドバンス研修」は状況に応じて実施される。こちらも対面で実施されるもので、基礎をすでに習得した教員が発展的な活用方法を学ぶ。座学だけでなくワークショップを通じて、実践的な活用アイデアも体験することができる。なお、コア研修とアドバンス研修は希望に応じてオンラインでも提供される。

段階に応じて実施される3つの研修コース
 これらの研修を受講した教員からは「実際の授業での活用イメージがわいた」「現場で使えるスキルを学ぶことができた」といったポジティブな感想を聞くことができたという。

以上edtechzineより


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LINEの出沢社長陳謝「信頼を裏切った」 個人情報問題

2021-03-24 | コンピュータよもやま話

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」の個人情報が中国の現地法人からアクセスできる状態になっていた問題で、ライン社の出沢剛社長は23日、東京都内で記者会見し、「ユーザーにご心配をおかけし心から申し訳ない。信頼を裏切ることになり、非常に重く受け止めている」と陳謝した。

 出沢社長は「『ラインメッセンジャー』のトークはテキスト、動画ともにファイルは韓国から日本に移管する。ラインアカウント、ワクチン予約システムも(データの)保管場所は日本に持ってくる。完了時期は、多くのものは2021年度中に行う」と明らかにした。

 また、「ラインの開発拠点は世界7カ国にある。報道にあるように中国にも開発会社がある。世界7カ国で連携して開発してきた。インフラは世界5カ国でデータセンターを使っている」と述べた。ラインメッセンジャーのトークのデータについて「画像については韓国のデータセンターにクラウドを作って保管している。認証管理は日本だが、2021年6月までに日本国内のデータセンターに移管する」と明らかにした。

 さらに「公式アカウントのテキスト部分は日本に保管、ファイル部分は韓国に保管している。韓国から2021年8月までに日本に移管する。ラインペイの取引情報や一部の利用者情報は韓国に保管しているものもある。これは21年9月までに国内に移管する」と述べた。 

以上毎日新聞より


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LINEでの行政サービス停止 総務省

2021-03-22 | コンピュータよもやま話

通信アプリのLINEが利用者の個人情報を業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題で、武田総務大臣は事実関係の把握を急ぐとともに総務省がLINEを通じて提供している行政サービスの運用を停止する考えを示しました。

LINEをめぐっては、システムの管理を委託している中国の会社が日本国内のサーバーに保管されている利用者の名前や電話番号といった個人情報にアクセスできる状態になっていたことが明らかになっています。

これについて、武田総務大臣は19日午前記者団に対し「ユーザーが安心してサービスを利用できる環境を確保する観点から適正な事業運営が必要だ。関係省庁と連携し、事実関係を把握して適切な措置を講じていきたい」と述べました。

また、武田大臣は総務省が現在、LINEを通じて提供している意見募集や問い合わせの対応などの行政サービスの運用を停止する考えを示しました。

さらに、保育所の入所申請や粗大ゴミの収集の受け付けなど行政サービスにLINEを活用しているすべての自治体に対し、3月26日までにLINEの利用状況を報告するよう依頼したことを明らかにしました。

 加藤官房長官 「各省庁のLINE利用状況を確認中」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で「政府ではLINEを含め民間企業が不特定多数の利用者向けにインターネット上で提供するサービスを利用する際には、機密情報は取り扱わないということで運用している。この基準に沿って各省庁で対応していると認識しているが現在、内閣官房を含め各省庁におけるLINEの利用状況を改めて確認している」と述べました。

そのうえで「内閣官房では個人情報などの管理上の懸念が払拭されるまでは利用を停止するなどの対応を予定している」と述べました。

 平井デジタル相 「国民の関心非常に高い 迅速に対応を」

平井デジタル改革担当大臣は記者団に対し「外国の第三者への個人データの提供などを含め個人情報保護委員会が事実関係の詳細についてLINE社側に説明を求めている。国民の関心も非常に高いので迅速に対応してもらいたい」と述べました。

また、記者団からLINEを使用しているかどうか問われたのに対し「個人では使っているが大臣としては使っていない。個人での使用はとりあえずやめない。不都合な事象が起きていることは確認していない」と述べました。

 大阪市もLINE使った行政サービス停止

大阪市は情報管理に懸念があるとして安全性が確認されるまで、LINEを使った行政サービスの提供を停止することを決めました。

停止されるのはLINEのサービスを活用した市民向けの情報発信のほか、個人情報を取り扱ういじめの相談受け付けや公共料金の支払いなどだということです。

大阪市の松井市長は記者団に対し「保護されるべき情報が外に出るようなことになれば人権侵害にもなりうる問題だ。運用の見直しを検討するよう指示した」と述べました。

 大阪府もサービス提供停止
大阪府も個人情報を取り扱う相談事業や施設の予約などLINEを使ったサービスの提供を停止することを決めました。

 三重県鈴鹿市 ワクチン接種予約見合わせ

三重県鈴鹿市は新型コロナウイルスのワクチン接種の予約をLINEでも行えるよう準備していましたが、見合わせることにしたということです。

また三重県も就職氷河期世代の就職に関する相談窓口のLINEアカウントを一時的に停止しました。個人情報を扱い、データがLINE側のサーバーに残るためとしています。

 自民党「看過できない」徹底調査求める

通信アプリのLINEが利用者の個人情報に業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題で、自民党の会合では「看過できない問題だ」として、政府に徹底した調査を求める意見が相次ぎました。

この問題で自民党は19日、総務部会などの合同会議を開き、LINEの幹部らから事実関係の聞き取りを行いました。

この中でLINE側は「利用者に不安や心配をおかけし誠に申し訳ない」と陳謝したうえで、業務委託先の中国の会社から日本国内の利用者の個人情報などへのアクセスを遮断する措置を取ったことを報告しました。

また、韓国のデータセンターで管理している画像や動画の一部についても、ことし6月までに日本国内へ移転することなどを説明しました。

これに対し出席した議員からは「看過できない問題で、政府は情報が悪用されたケースがないのか調査を徹底すべきだ」という意見が相次ぎました。

そして、政府の個人情報保護委員会が事実関係の確認などを進めていることを踏まえ、党としても必要な対応を検討していくことになりました。

 国民民主党「ゆゆしき問題」公務のやりとりいったん停止

通信アプリのLINEが、利用者の個人情報に業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題で、国民民主党は、党の活動に関するやりとりでLINEを使うのをいったん停止することになりました。

国民民主党の榛葉幹事長は、記者会見で「ゆゆしき問題だ。会社側には、情報セキュリティの確保を万全にするとともに、過去に個人情報の流出がなかったのか明確にしてもらいたい」と述べました。

その上で「LINEが便利なのは事実で、党でも政策勉強会の日程などの連絡で使っていたが、公務に関わるやりとりでの利用は、いったん停止することにした」と述べました。

今回の問題をめぐっては、立憲民主党も、国会対策委員会の幹部間のやりとりでLINEを利用するのを、当面、控えることを決めています。

以上NHKより


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勤務校の教員全員で「Google 認定教育者」の資格取得を目指してみた!

2021-03-22 | コンピュータよもやま話

 「GIGAスクール構想」元年となる2021年。1人1台端末の環境がようやく実現する一方で、十分に活用されないことも危惧されています。せっかく整備されたのであれば、死蔵することなく有効的に使うことが望ましいでしょう。そこでおすすめしたいのが、端末を使いこなすポイントを体系的に学べる教員向け資格です。前回の記事ではApple、Microsoft、Googleの3つの資格を取得した鈴谷大輔先生に、それぞれの資格のポイントをご紹介いただきました。今回は学校の先生全員で「Google 認定教育者」の取得に向けて取り組んだ事例をご紹介いただきます。(編集部)
はじめに
 私の勤務する学校では、2月から「Chromebook」および「Google Workspace for Education」が導入されています。導入に際して、広く浅く知っていただくモチベーションを保つためにも、資格取得を教員全員で目指すことを提案しました。予算も確保することができたので、研修をスタートさせる前にバウチャー(受検のためのクーポン券)を購入、あとには引けない、やるからには資格取得を目指しましょうと、計画しました。教員向けの資格「Google 認定教育者」の概要は前回の記事をご参照ください。

まずは受検に必要なバウチャーを購入
 Google 認定教育者の試験は、通常はクレジットカードでの支払い(10ドル)となりますが、バウチャーを事前に購入することで、日本円かつ請求書が発行される形での支払いができます。

 日本でバウチャーを取り扱っている主な企業は、株式会社スマートストリートさんや、イーディーエル株式会社さんなどです。レベル1のバウチャーは、スマートストリートさんでは1100円、イーディーエルさんでは1000円で販売されています(※記事執筆時点の価格、どちらも税別)。

 私はイーディーエルさんで購入しました。20を超える数となるため、一度Webサイトのフォームから問い合わせ、電話での確認後、受検者の名簿をスプレッドシートで共有(編集権限も付与)しました。その後、請求書が送付され振り込みで支払い後、スプレッドシートにバウチャーコードが追加されました。このコードを研修資料に差し込み印刷して、研修開始よりも先に、先生方へ渡しました。これで試験を受ける準備が一歩進み、手元にコードまで届いているので「少しはやってみよう」という気持ちになっていただけたのではないかと思います。

校内研修の進め方
 私はGIGAスクール構想による端末導入に際し、「超充GIGA(ちょうじゅうぎが)」というお便りを先生方に向けて発行しています。

 その紙面において、ほぼ毎日、放課後に10分だけの研修を持つことを周知しました。時間を10分に設定したした理由は、まず新しいものに触れることが苦手な先生方にとってはギリギリ耐えられる時間だと考えたからです。そして、せっかくのGIGA端末との出会いを苦行でスタートさせたくなかったので、本当に簡単な使い方を10分で教えるという縛りを設け、スモールステップで進めていきました。

 学校には端末導入時に、各ツールの簡単な使い方に関する冊子が配布されており、その冊子内のテーマごとに担当を分け、私がすべての研修を受け持つことは避けるようにしました。全体の研修であるという空気感を作りたかったからです。

 1回目の研修は「Chromebookとはなにか」からスタート。「ドキュメント」や「スプレッドシート」「スライド」「Meet」「マップ」といった各種ツールについての研修を毎日実施しました。

 担当分けをして10分の制限を設けたもう1つの理由として、担当者が何を伝えるべきかを選択する必要が出てくる(結果、そのツールについてはある程度習熟している状態になる)ようにデザインしたかったことも挙げられます。研修でそのツールを担当した人が詳しくなる。そこで、わからないことはその担当者に聞くことで、教員同士の教え合いが進むようにしました。

 また、ツールの使用方法以外の座学部分についてはGoogleのトレーニングページを案内し、学習を各自で進めてもらうようにしました。本当に初歩の初歩から始めたい方には、オンライン講座「gacco」が提供している「はじめての Google for Education」をおすすめしました。

試験申し込み時の注意点
 一通りのツールについての研修が終わったところで、いよいよ試験の申し込みです。試験の申し込みページから「バウチャーをお持ちの方」を選択して進んでいきます。

 試験を受けるためには、オンラインテスト配信会社であるKryterionのアカウントを作成する必要があります。このフォームはもともとは英語表記だったものを直訳しているようで、少しわかりづらいためご注意ください。「州」では都道府県名を項目から選択しますが、その場所よりも下にある、国の選択を先に行わないと選択項目が出てきません。さらに「州」で都道府県名をすでに設定しているため、「都道府県,市区町村 / City:」には市町村名のみを入力します(※記事執筆時点)。

 また、受検の際には以下のものが必要です。

Webブラウザ「Chrome」の最新バージョン(シークレットモードでの受検が必要です)
Webカメラ
インターネット接続
 不慮の事故による試験の中断を防ぐためにも、安定したインターネット接続環境が確保できる場所で受検しましょう。

困ったことが発生……
 ここまで順調に進んでいたのですが、困ったことが発生します。私が勤務している市では、Gmailが管理者によって無効にされていました。しかしながら、学校で配布されたGoogleのアカウントは一見するとメールアドレスに見えますし、Gmailの制限が解除されればメールアドレスとして機能します。そのため申し込みをする際に、誤って学校で使っているアカウントを入力してしまう先生が数名いらっしゃいました。

 もちろん、試験の準備ができたことを伝えるメールは届きません。申し込み方法の研修をした際には、個人のメールアドレスを入力するように伝えました。このメールアドレスに、受検する際に使う、受検用のアカウントの情報が送信されます。メールが届かなかった先生方には、個別に問い合わせフォームから問い合わせを行い、対応していただくことができました。

 また、学校で貸与されているChromebookはChromeのシークレットモードが使えないように制限が入っていました。受検にあたっては、シークレットモードでの操作が求められています。そのため、自宅で受検していただく必要が出てきてしまい、Webカメラがない方や、そもそもパソコンを持っていない方に、私が多めに所有していたものを貸し出す事態となりました。パソコンの買い替えをしたばかりで複数台持っていたことが幸いしました。

 さらには長いお休みに入ってしまい、バウチャーをお渡しすることができない方がいらっしゃいました。せっかくのバウチャーを無駄にすることは避けたかったので、試験の数日前にダメ元で事務の先生にバウチャーをお渡ししました。研修はGoogleのトレーニングコースのQRコードを渡しただけでした。急なお願いにも「とりあえずやってみます」と答えてくれた事務の先生。ありがたかったです。

いざ、試験!
 さて、いよいよ試験です。

 各自での受検となりますし、試験中は話し合うこともできません。あとで聞くと、3時間いっぱい時間を使った方が多かったようです。なお、ほとんどの方は土日に受検されていましたが、どうしてもWebカメラが使えず、私にヘルプのメールが届いた以外は、特に大きなトラブルもなく受検できたようです。

いよいよ結果発表
 結果からお伝えすると、23名の受検者中、合格者は3名でした。これで本校には私ともともと合格していたもう1人の先生を含め、5人のGoogle 認定教育者レベル1を持つ教員がいることになります。公立の小学校で5人の認定教育者がいる職場はそれほど多くないのではと思います。

 残念ながら不合格になった先生からも、メールに書かれた得点率を教えてもらうと、あと数%の方も多く「悔しいですね。もう1回やりたいです」という声や、「今回の試験で初めて知った機能がある。それさえ知っていれば合格だったのに」といった声が聞かれました。

 ちなみに、数日前にバウチャーを渡した事務の先生は合格でした。日ごろから事務仕事でパソコンをバリバリ使っており、さらに努力を惜しまない方なので、合格するとは思っていたのですが、ほかの先生もかなりびっくりしていました。

 また、校長先生と教頭先生にも受検していただきました。校長先生は「時間が足りなかったよ」とおっしゃっていましたが、管理職まで巻き込んで受検することには大きな意味があったと思っています。

 情報部会で来年度にリベンジすることも決まりました。予算をどこかで確保できるようにがんばるのが私の仕事になりそうです。

みんなで試験を受けることにより得られたもの
 試験を受けるという強力なモチベーションがあったおかげで、職員室内ではGoogleの各種サービスに関する雑談が飛び交うようになりました。複数のツールを組み合わせながら授業に活かそうとする様子もあります。端末が正式に配布されて2週間後、実際に空き時間に校内を見て回ったときには4、5年生のすべてのクラスでChromebookを活用した授業を行っていました。

 4年生はスピーチの練習や、フォームを使って班ごとにアンケートをとって考察を書くといった学習活動をしていましたし、5年生は総合や国語の発表のためにプレゼンテーションを作っていました。

 こうした活動も、少しずつでもいいから触れてみて、できることやアイデアを増やしていったからこそできたのだと思います。そして、学校の全教員で取り組むことで、その効果は何倍にも膨らむこと間違いなしです。

 あなたも「1人1台」ロケットスタートのために、先生向けの資格を取ってみませんか?

以上 edtechzine より

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