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小島教育研究所

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勤務校の教員全員で「Google 認定教育者」の資格取得を目指してみた!

2021-03-22 | コンピュータよもやま話

 「GIGAスクール構想」元年となる2021年。1人1台端末の環境がようやく実現する一方で、十分に活用されないことも危惧されています。せっかく整備されたのであれば、死蔵することなく有効的に使うことが望ましいでしょう。そこでおすすめしたいのが、端末を使いこなすポイントを体系的に学べる教員向け資格です。前回の記事ではApple、Microsoft、Googleの3つの資格を取得した鈴谷大輔先生に、それぞれの資格のポイントをご紹介いただきました。今回は学校の先生全員で「Google 認定教育者」の取得に向けて取り組んだ事例をご紹介いただきます。(編集部)
はじめに
 私の勤務する学校では、2月から「Chromebook」および「Google Workspace for Education」が導入されています。導入に際して、広く浅く知っていただくモチベーションを保つためにも、資格取得を教員全員で目指すことを提案しました。予算も確保することができたので、研修をスタートさせる前にバウチャー(受検のためのクーポン券)を購入、あとには引けない、やるからには資格取得を目指しましょうと、計画しました。教員向けの資格「Google 認定教育者」の概要は前回の記事をご参照ください。

まずは受検に必要なバウチャーを購入
 Google 認定教育者の試験は、通常はクレジットカードでの支払い(10ドル)となりますが、バウチャーを事前に購入することで、日本円かつ請求書が発行される形での支払いができます。

 日本でバウチャーを取り扱っている主な企業は、株式会社スマートストリートさんや、イーディーエル株式会社さんなどです。レベル1のバウチャーは、スマートストリートさんでは1100円、イーディーエルさんでは1000円で販売されています(※記事執筆時点の価格、どちらも税別)。

 私はイーディーエルさんで購入しました。20を超える数となるため、一度Webサイトのフォームから問い合わせ、電話での確認後、受検者の名簿をスプレッドシートで共有(編集権限も付与)しました。その後、請求書が送付され振り込みで支払い後、スプレッドシートにバウチャーコードが追加されました。このコードを研修資料に差し込み印刷して、研修開始よりも先に、先生方へ渡しました。これで試験を受ける準備が一歩進み、手元にコードまで届いているので「少しはやってみよう」という気持ちになっていただけたのではないかと思います。

校内研修の進め方
 私はGIGAスクール構想による端末導入に際し、「超充GIGA(ちょうじゅうぎが)」というお便りを先生方に向けて発行しています。

 その紙面において、ほぼ毎日、放課後に10分だけの研修を持つことを周知しました。時間を10分に設定したした理由は、まず新しいものに触れることが苦手な先生方にとってはギリギリ耐えられる時間だと考えたからです。そして、せっかくのGIGA端末との出会いを苦行でスタートさせたくなかったので、本当に簡単な使い方を10分で教えるという縛りを設け、スモールステップで進めていきました。

 学校には端末導入時に、各ツールの簡単な使い方に関する冊子が配布されており、その冊子内のテーマごとに担当を分け、私がすべての研修を受け持つことは避けるようにしました。全体の研修であるという空気感を作りたかったからです。

 1回目の研修は「Chromebookとはなにか」からスタート。「ドキュメント」や「スプレッドシート」「スライド」「Meet」「マップ」といった各種ツールについての研修を毎日実施しました。

 担当分けをして10分の制限を設けたもう1つの理由として、担当者が何を伝えるべきかを選択する必要が出てくる(結果、そのツールについてはある程度習熟している状態になる)ようにデザインしたかったことも挙げられます。研修でそのツールを担当した人が詳しくなる。そこで、わからないことはその担当者に聞くことで、教員同士の教え合いが進むようにしました。

 また、ツールの使用方法以外の座学部分についてはGoogleのトレーニングページを案内し、学習を各自で進めてもらうようにしました。本当に初歩の初歩から始めたい方には、オンライン講座「gacco」が提供している「はじめての Google for Education」をおすすめしました。

試験申し込み時の注意点
 一通りのツールについての研修が終わったところで、いよいよ試験の申し込みです。試験の申し込みページから「バウチャーをお持ちの方」を選択して進んでいきます。

 試験を受けるためには、オンラインテスト配信会社であるKryterionのアカウントを作成する必要があります。このフォームはもともとは英語表記だったものを直訳しているようで、少しわかりづらいためご注意ください。「州」では都道府県名を項目から選択しますが、その場所よりも下にある、国の選択を先に行わないと選択項目が出てきません。さらに「州」で都道府県名をすでに設定しているため、「都道府県,市区町村 / City:」には市町村名のみを入力します(※記事執筆時点)。

 また、受検の際には以下のものが必要です。

Webブラウザ「Chrome」の最新バージョン(シークレットモードでの受検が必要です)
Webカメラ
インターネット接続
 不慮の事故による試験の中断を防ぐためにも、安定したインターネット接続環境が確保できる場所で受検しましょう。

困ったことが発生……
 ここまで順調に進んでいたのですが、困ったことが発生します。私が勤務している市では、Gmailが管理者によって無効にされていました。しかしながら、学校で配布されたGoogleのアカウントは一見するとメールアドレスに見えますし、Gmailの制限が解除されればメールアドレスとして機能します。そのため申し込みをする際に、誤って学校で使っているアカウントを入力してしまう先生が数名いらっしゃいました。

 もちろん、試験の準備ができたことを伝えるメールは届きません。申し込み方法の研修をした際には、個人のメールアドレスを入力するように伝えました。このメールアドレスに、受検する際に使う、受検用のアカウントの情報が送信されます。メールが届かなかった先生方には、個別に問い合わせフォームから問い合わせを行い、対応していただくことができました。

 また、学校で貸与されているChromebookはChromeのシークレットモードが使えないように制限が入っていました。受検にあたっては、シークレットモードでの操作が求められています。そのため、自宅で受検していただく必要が出てきてしまい、Webカメラがない方や、そもそもパソコンを持っていない方に、私が多めに所有していたものを貸し出す事態となりました。パソコンの買い替えをしたばかりで複数台持っていたことが幸いしました。

 さらには長いお休みに入ってしまい、バウチャーをお渡しすることができない方がいらっしゃいました。せっかくのバウチャーを無駄にすることは避けたかったので、試験の数日前にダメ元で事務の先生にバウチャーをお渡ししました。研修はGoogleのトレーニングコースのQRコードを渡しただけでした。急なお願いにも「とりあえずやってみます」と答えてくれた事務の先生。ありがたかったです。

いざ、試験!
 さて、いよいよ試験です。

 各自での受検となりますし、試験中は話し合うこともできません。あとで聞くと、3時間いっぱい時間を使った方が多かったようです。なお、ほとんどの方は土日に受検されていましたが、どうしてもWebカメラが使えず、私にヘルプのメールが届いた以外は、特に大きなトラブルもなく受検できたようです。

いよいよ結果発表
 結果からお伝えすると、23名の受検者中、合格者は3名でした。これで本校には私ともともと合格していたもう1人の先生を含め、5人のGoogle 認定教育者レベル1を持つ教員がいることになります。公立の小学校で5人の認定教育者がいる職場はそれほど多くないのではと思います。

 残念ながら不合格になった先生からも、メールに書かれた得点率を教えてもらうと、あと数%の方も多く「悔しいですね。もう1回やりたいです」という声や、「今回の試験で初めて知った機能がある。それさえ知っていれば合格だったのに」といった声が聞かれました。

 ちなみに、数日前にバウチャーを渡した事務の先生は合格でした。日ごろから事務仕事でパソコンをバリバリ使っており、さらに努力を惜しまない方なので、合格するとは思っていたのですが、ほかの先生もかなりびっくりしていました。

 また、校長先生と教頭先生にも受検していただきました。校長先生は「時間が足りなかったよ」とおっしゃっていましたが、管理職まで巻き込んで受検することには大きな意味があったと思っています。

 情報部会で来年度にリベンジすることも決まりました。予算をどこかで確保できるようにがんばるのが私の仕事になりそうです。

みんなで試験を受けることにより得られたもの
 試験を受けるという強力なモチベーションがあったおかげで、職員室内ではGoogleの各種サービスに関する雑談が飛び交うようになりました。複数のツールを組み合わせながら授業に活かそうとする様子もあります。端末が正式に配布されて2週間後、実際に空き時間に校内を見て回ったときには4、5年生のすべてのクラスでChromebookを活用した授業を行っていました。

 4年生はスピーチの練習や、フォームを使って班ごとにアンケートをとって考察を書くといった学習活動をしていましたし、5年生は総合や国語の発表のためにプレゼンテーションを作っていました。

 こうした活動も、少しずつでもいいから触れてみて、できることやアイデアを増やしていったからこそできたのだと思います。そして、学校の全教員で取り組むことで、その効果は何倍にも膨らむこと間違いなしです。

 あなたも「1人1台」ロケットスタートのために、先生向けの資格を取ってみませんか?

以上 edtechzine より
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