ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

旭ダム

2016-08-04 15:37:45 | 奈良県
2016年8月1日 旭ダム
 
旭ダムは奈良県吉野郡十津川村旭の新宮川水系旭川にある関西電力(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
奥吉野発電所は関西電力3番目の純揚水式発電所として1983年(昭和58年)に完成し、旭ダムは同発電所の下部調整池として前年の1982年(昭和57年)に竣工しました。
上部調整池である瀬戸ダムと有効落差505メートルを利用して最大120万6000キロワットの純揚水式発電を行っています。
旭ダムはドーム型アーチダムで、ダム中央部はオーバーハングになっているのが特徴です。
また堆砂対策として日本で初めて排砂バイパストンネルが併設されました。
一方上部調整池である瀬戸ダムは管理道路入り口が閉鎖され関係者以外立ち入ることができません。
 
国道168号線の田長瀬トンネルの先から村道を旭川沿いに進むと旭ダムに到着します。
ダム中央がオーバーハングになったドーム式アーチ。
 
放流設備としてはクレストラジアルゲート3門のほか、堤体下部にホロージェットバルブ2条を装備。
 
クレストラジアルゲートはもちろん関電ブラック。
 
堤体下部にはホロージェットバルブが2条
奥は常用洪水吐に相当し最大放流量100㎥/秒、手前は河川維持用で10㎥/秒。
 
天端は立ち入り禁止で見学は左岸からのみ。
 
上流面をみるとドーム型アートであることがよくわかります。
訪問したのは夏の午前、電力需要が高まる午後に備えて夜間のうちに上部ダムに揚水されたため水位は低くなっています。
 
インクライン。
 
ダムの説明板。
 
東日本大震災前までは奥吉野発電所に隣接した旭エレハウスで地下発電所や瀬戸ダムの見学を受けてけていました。
しかし原発停止による関西電力の収益悪化で、旭エレハウスは閉鎖、見学も中止されています。 
 
追記
旭ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1571 旭ダム(0498)
奈良県吉野郡十津川村旭
新宮川水系旭川
86.1メートル
199.4メートル
16920千㎥/12500千㎥
関西電力(株)
1978年
◎治水協定が締結されたダム


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