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ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

佐冶川ダム

2018-10-15 20:19:15 | 鳥取県
2018年10月8日 佐冶川ダム
 
佐治川ダムは鳥取県鳥取市佐冶町尾際の千代川水系佐冶川源流部にある鳥取県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省の補助を受けて建設された補助治水ダムとして1971年(昭和46年)に竣工しますが、1983年(昭和58年)に鳥取県企業局佐冶発電所が増設され多目的ダムとなりました。
現在は佐冶川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、鳥取県企業局佐冶発電所での最大5000キロワットのダム水路式発電を目的としています。
 
佐冶川ダムは国道482号線沿いにあり、今回は岡山県の恩原ダムから辰巳峠を越え佐冶川ダム上流側からアプローチしました。
国道を進むとダム湖越しに佐冶川ダムの上流面が見えてきます。
クレストにはラジアルゲートが1門、右岸にインクラインと艇庫、左岸に佐冶発電所への取水塔があります。
 
佐冶発電所の取水塔
1983年(昭和58年)に発電所が増設されました。
 
ダム下へと回ります。
弥留気(やるき)地蔵の脇を進むとちょうどダム正面に出ます。
放流設備としてクレストにラジアルゲート1門、コンジットゲート2門、ホロージェットバルブ1条を装備しています。
注目すべきはその配置でコンジットゲート機械室の屋根がクレストゲートのジャンプ台式減勢工となっています。
 
コンジットゲートおよびバルブ操作室
左右に高圧ラジアルゲートが2門、中央にホロージェットバルブがあります。
 
右岸天端脇にあるダム名及び諸元碑。
 
下流面
コンクリートの色が異なり、導流壁が改修によってかさ上げされているのがわかります。
 
天端から導流部と減勢工。
 
アングルを変えて。
 
ダム湖は『名馬湖』
総貯水容量は231万立米で、県営の多目的ダムの貯水池としてはずいぶん小ぶりです。
 
上流面
堤体のかなり上まで水の跡があり先日の台風の際に目いっぱい貯め込んだことが伺えます。
 
コンジット操作室の屋根の上のジャンプ台は一見の価値あり、なかなかいいダムです。
 
追記
佐治川ダムには147万6000立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに31万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1682 佐冶川ダム(1389
鳥取県鳥取市佐治町尾際
DamMaps
千代川水系佐冶川
FNP
46.5メートル
105メートル
2310千㎥/1880千㎥
鳥取県県土整備部
1971年
◎治水協定が締結されたダム

奥津発電所調整池

2018-10-15 14:07:26 | 岡山県
2018年10月8日 奥津発電所調整池
 
奥津発電所調整池は岡山県苫田郡鏡野町奥津川西にある中国電力奥津発電所の上部調整池です。
1933年(昭和8年)に当時の中国合同電力によって建設され、日本発送電による接収を経て戦後は中国電力が管理運用を行っています。
当調整池から奥津発電所に水圧鉄管が伸び、有効落差115メートルを利用して最大7400キロワットの発電を行っています。
調整池の堤体はいわゆるバットレスで3メートル間隔の扶壁と水平梁によるグリッドで45度に傾斜した上部水槽の外周壁体を支えています。
堤高14メートルのため河川法上のダムとはなっていませんが、バットレスの堤体が2箇所で屈曲しており、『カド』のあるバットレスとなっています。
当調整池を含めた奥津発電所の関連施設13か所がその土木技術・文化的価値を評価され国の有形文化財に登録されているほか、堰堤はAランクの近代土木遺産に選定されています。
 
奥津温泉手前で国道179号線から左の旧道に入り郵便局を左折、次の十字路を右折してひたすら山道を登ってゆくと奥津発電所調整池に到着します。
ダム下の広場入口には門扉がありますが破損したままで、特に立ち入り禁止の看板等がなかったので中を見学させていただきました。
 
バットレス堤体
3メートル間隔で扶壁が並んでいます。
堤高14メートルのため河川法上のダム基準は満たさずダム便覧にも未掲載です。
 
奥津発電所最大の特徴はバットレスの『カド』
2箇所で堤体が屈曲しています。
 
 
こちらは南側の『カド』
 
バットレスの内側。
 
登録有形文化財のプレート。
 
上部水槽の建屋。
 
奥津発電所への水圧鉄管。
有効落差115メートルを利用して最大7400キロワットの発電を行っています。
 
調整池の天端。
 
上流面は45度の傾斜がついています。
 
帰宅後中国電力に確認したところ、本来は立ち入り禁止だがゲートが破損して開放状態になっているとのこと。
開けっ放し状態だったことから今回の立ち入りは事後承諾していただけました。
当調整池だけではなく登録有形文化財に指定されている奥津発電所の一連の施設全体を水の流れに沿って見学すべきなんでしょうが、遠方ゆえなかなか時間に余裕がないのが残念なところです。
 
岡山県苫田郡鏡野町奥津川西
吉井川水系吉井川
14メートル
---メートル
51.7千㎥/51.7千㎥
中国電力(株)
1933年

川上ダム

2018-10-15 12:34:42 | 岡山県
2018年10月8日 川上ダム
 
川上ダムは岡山県美作市川上の吉井川水系真船川にある灌漑目的の用アースフィルダムです。
ダム便覧には1967年(昭和42年)に岡山県の事業で竣工と記されていますが、現地竣工記念碑では岡山県の農地開拓事業で『昭和48年完成』と記されています。
これはダムの竣工は1967年で、農地開拓事業全体の竣工が1973年(昭和48年)という解釈でいいのかと思います。
なおダム便覧では河川は吉井川水系川上川になっていますがこれは誤りで、正しくは吉井川水系真船川です。
具体的なダム管理者を確認することはできませんでした。
 
美作市川上の国道429号線から真船川に沿って市道を北に進むと川上ダムに到着します。
写真では分かりづらいですが、下流面の下部3分の1程度は表面に石が葺かれています。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
洪水吐導流部に沿って堤体よりも高く盛り立ててあります。
 
右岸から。
 
天端は車道になっておりさらに上流へと続いています。
 
右岸の横越流式洪水吐
一週間前に通過した台風の影響で大量の流木が引っ掛かっています。
 
完成記念碑
碑では昭和47年完成となっています。
 
総貯水容量25万1000立米。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
左岸の斜樋。
 
底樋は確認しませんでした。
 
1877 川上ダム(1387)
ため池コード 332151006
岡山県美作市川上
吉井川水系真船川
25.5メートル
83メートル
274千㎥/274千㎥
管理者未確認
1967年